市川 貴啓
2013年入社/Musashi AI株式会社
名古屋工業大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 修了
AIを使った、外観検査工程の自動化に挑む。
「AIに興味ある?」――社内ネットワーク構築を担当していた入社5年目のある日、上司から尋ねられました。「あります」と答えると、現在のMusashi AI株式会社の前身であるAIプロジェクトに参加することになりました。いろいろな仕事を任せてもらえそうだと期待してムサシに入社しましたが、さすがにAIは予想を超えていましたね。プロジェクトのスタート時点では、AIで何をするかも未定の状態。メンバーで話し合いを重ねて決まった一つが、検査工程の自動化でした。自動車部品の傷やヘコみ、バリなどを見つける外観検査は、機械では判断が難しく、人に頼る部分が多い業務です。しかし経験によるスキルの差が出るうえ、同じ人でも疲れや集中力低下でミスが起きます。AIならそれらの問題を解決し、しかも24時間、検査が可能になるのです。

すでに製品化を果たし、次の展開を視野に。
AI技術は、共同開発先であるAI専門のベンチャー企業から学びました。使用したディープラーニング(深層学習)技術は、人の脳のニューロンのように、コンピュータがデータから自動的に特徴を学習する仕組みです。ただしそれを可能にするためには、大量の不良品の画像から学習データを作成してコンピュータに正解を覚えさせる、膨大な作業が必要でした。またテスト段階では、一度成功したことが急にできなくなり、原因究明の苦労も。それらを乗り越え、検査システムはひとまず完成し、お客様企業で実証試験中です。最先端技術で新しい市場を開拓する仕事は魅力的で、カメラの操作用インタフェースを開発するなど、自分の発想も形にできました。AIプロジェクトは現在、イスラエルのテックセンターと合弁でMusashi AI株式会社を設立。今後は金属以外の製品への応用など、さらなる市場拡大を狙っています。