岩崎 裕介
2015年入社/研究開発部 SV検証グループ
豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 機械システム工学専攻 修了
目に見えない音と振動を、いかに抑えるか。
SV検証グループは、製品の音(sound)と振動(vibration)を扱うグループです。ムサシの製品のうち、エンジンの動力を伝達するデファレンシャルギヤやトランスミッションギヤは、噛み合って回転する際に必ず音や振動が発生します。当社で設計・試作した製品が、お客様の要求する音量以下になるように。具体的な指定がないものは、自分たちで検討した目標値を提案し、そのレベルになるように。試作品をテストして音と振動を測定し、要対策箇所を特定します。そして「この音量まで下げるには、この部分の肉厚を厚く、歯面の形状をもっとこうして」といった方向性を設計に打診します。対策を施した試作品ができ上がれば、またテスト。時間とコストと手間がかかるため、むやみに何度も試せない中、様々な計測機器や解析手法を用いて、目に見えない音と振動を相手に試行錯誤します。

明確で具体的な改善策を、設計に示せる存在に。
音の原因は複雑で、歯面の寸法精度や剛性、固有振動数といったギヤ自体の条件はもちろん、動力が伝わる際の経路など、ほかの部品とも関係した複合的な要素が関係します。パラメータは無数。いいと思った対策によって、逆に悪くなることもあります。単純にはいかない分、予想した原因が合っていると気持ちいいですね。一回でうまくいくことは、まずありませんが。それでも当初は音と振動の測定を行うだけだったSV検証グループが、現在では改善の方向性を設計に提案できるまでに技術力を高めました。次は「○dB下げるには、この箇所の寸法を△mm小さくすればいい」などと明確に示せる状態を目指しています。そのためにテストを行ってデータを蓄積し、音と設計の相関を明らかにする、より研究的な仕事に挑み始めています。