【開催レポート】2023年度サステナビリティ説明会 第2部 「ムサシの持続的な成長に向けたガバナンスと取り組み」

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武蔵精密工業株式会社(本社:愛知県豊橋市、代表取締役社長:大塚浩史)ではこのたび、ステークホルダーの皆さまに当社グループのサステナビリティの取り組みについて理解を深めていただくため、初となるサステナビリティ説明会を本社・植田工場にて開催しました。

第2部では、「ムサシの持続的な成長に向けたガバナンスと取り組み」と題し、社外取締役の小野塚惠美、CHO(最高人事責任者)の前田大、人事部長の清水佳代子より、当社のサステナビリティに対する考え方と気候変動、人的資本、ガバナンスに関する具体的な取り組み状況をご説明しました。
説明概要は以下のとおりです。

人事部長 清水佳代子より 「ムサシのサステナビリティおよびGXの取り組み」

当社のOur Purpose(当社の存在意義)は「人と環境が“調和”した豊かな地球社会の実現」への貢献です。事業活動そのものを通じて社会課題の解決への貢献を目指すことが、当社のサステナビリティへの基本姿勢です。

Our Purpose・Visionの達成にむけて、ダブルマテリアリティを特定しています。特定にあたっては長期と中期の視点で整理をしています。
長期マテリアリティの特定にあたっては、ムサシフィロソフィーを基軸にムサシに何ができるのか、どの分野に注力すべきかについて、国際的な基準やガイドラインを参考に社会課題を洗い出しています。中期マテリアリティについては、事業展開を進める上で当社が社会から受ける影響をSASBを始めとする国際的なESG開示基準を参考に中期方針に基づく課題と照らし合わせ整理、分類しています。どちらのマテリアリティもステークホルダーの皆様のご意見や要望と当社の方針や課題と照らし合わせ、重要度の高い課題を絞り込み、経営会議や取締役会での議論を経て意思決定を行いました。
これらマテリアリティに基づき、気候変動の問題に取り組んでいます。当社は2021年にカーボンニュートラル宣言を行っています。2038年(当社100周年)に事業活動(*Scope1,2)でのCO₂排出量を実質ゼロにすることを目指しています。そのマイルストーンとして2030年度のCO₂排出量50%削減(2018年比)の達成に向けて、省エネ・電気のグリーン化を推進しています。また、当社ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しています。CO₂削減に貢献できる商品・サービスの創出、・エネルギー効率化,消費の最小化を通じ、今後も当社のGXを推進してまいります。

常務執行役員CHO(最高人事責任者)前田大より 「人的資本に関する取り組み」

ムサシフィロソフィーの体現とビジョンへの挑戦に向け、人事ミッションを推進しています。

その中でも要である人財育成の取り組みは、当社の海外売上高比率が85%を超えていることから、グローバルでの展開が不可欠です。次世代リーダーを継続的に育成・排出していくために当社では、グローバルポジションへの地域人材の登用と計画的な後継者の配置、フィロソフィー、ビジョンの実践者と挑戦者の全社での拡大、変革リーダー、イノベーション人財、DX・GX人財の育成という3つの柱で中長期の経営戦略と連動した人財育成を推進しています。
このうち、グローバル次世代リーダーの育成については、次世代リーダーのキャリアパスの要件を定め、後継者の計画的な育成に取り組んでいます。今年度はフィロソフィーと全社方針、事業戦略を深く理解・体現できる次世代の地域経営リーダーの育成を目的とした「Go Far BEYONDER研修」を開催し、世界各地から19名が参加しました。

このほか当社の特徴的な取り組みとして、イノベーション人財の育成にも着手しています。具体的には、当社が豊橋駅前に設置しているイノベーションラボ“MUSASHi Innovation Lab CLUE”の機能を生かして、地域事業の創出に自ら挑戦してもらうプログラムを開催しています。

最後に人材育成以外の事例としてMMサークルをご紹介します。MMサークルはQC改善の小集団活動であり、今年度には第19回の世界大会を開催しました。このMMサークルこそが当社の改善文化の基盤となっています。

社外取締役 小野塚惠美より 「-ガバナンス- 社外取締役から見たムサシの現状」

社外取締役である私の視点で、今のサステナビリティや当社の活動を3つの視点からお話しします。私が取締役会でほかの取締役会と協働する際に念頭においているのは、ビジネスにおいては“ビジネスモデルのサステナビリティ”であり、“サステナビリティのためのサステナビリティではない”ということはサステナビリティ戦略会議でも申し上げています。その態勢を作っていくところでもさまざまな意見を入れさせていただいており、当社における着実な前進については、嬉しく思います。サステナブル経営に向けた変革についても着実に進行していると感じています。
その中で株主価値の提供に関しては、投資家のエンゲージメントを受け、当社では社外取締役が取締役会議長となりました。これは資本市場との対話による前進です。また、例えばInternational Corporate Governance Network(ICGN、国際コーポレートガバナンスネットワーク)に事業会社として所属しています。ICGNは日本政府との意見交換を求められる国際的なガバナンス団体であり、このネットワークに参加することは、世界の投資家とやりとりができるということで重要と認識しています。現在、新しいフェーズに向けた議論が活発であるということは、素晴らしいと思います。一方で、今後の期待としては、経営資源の最適配分に関しての監督など取締役会ができることがまだまだあると感じています。

2つ目の株価に関する意識向上では、私はこの2年間取締役会に参加しているなかで、これまで以上に社外取締役の意識が株主価値に向いており、株価に関する議論が起こることもあるなど、着実に前に進んでいると感じています。それに対する今後の期待としては、価値の伝え方、例えばDXや新規事業の取り組みを価値化して見せていくかなどまだまだできることがあります。今までものづくりに特化してきた企業が、広報やIRを通じて「伝える」という機能をどう強化できるかが課題だと感じています。カルチャーチェンジという点では、かなりグローバルに向けた次世代リーダーの育成が進んでいますが、愛知県豊橋市の本社から発信することが多いこともあり、もっとグローバルの視点でグローバルの人財を活用できるようになる必要があります。

3つ目の環境価値では、各国のEV化のスピードと見極めについてはかなりしなやかに対応していると感じています。EV一辺倒ではなく内燃機関が一部残る中でどう会社の態勢を維持していくのか、逆にEV向け部品の強みなどは、他の自動車部品メーカーにはない当社特有の強みがあると認識しています。今後の期待としては、創出する環境価値の数値化によるコミュニケーションです。さまざまな施策が具体的にどのような環境価値に変化しているのか、CO2の削減量や商品の数など、もっと表現する方法があると思います。知的・無形資産の活用と部門間連携という点では、知的財産部門が経営企画や法務部門とどのように連携していくか、あるいは知的財産に関するアプローチの仕方をもっと洗練させることができると考えています。実際に知的財産のチームとも話しています。

最後の社会価値では、例えばESGスコア、特にサプライチェーンについてまだまだやるべきことが多いと考えています。また、私は今期から報酬委員会の委員長を拝命しており、役員の評価と報酬の連動について、社会価値に対してどのくらいのインパクトを出しているかが最終的な株主価値につながるという観点で、指標の組み方を考えてまいります。

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