第12回 国際スマートグリッド展 セミナー「ハイブリッドリチウムイオンデバイス開発の方向性」

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2022年3月17日、第12回[国際]スマートグリッド展にて、武蔵精密工業株式会社バッテリーシステムグループマネージャーの柴田が「ハイブリッドリチウムイオンデバイス開発の方向性」をテーマにセミナーを行いました。

本ブログでは、セミナー内容を抜粋してレポートいたします。

ムサシ公式YouTubeでは当日の様子を動画でも公開しておりますので、ぜひご覧ください。


▼第12回[国際]スマートグリッド展

HLIDとは

Hybrid Lithium Ion Device(以下HLID)は武蔵エナジーソリューションズのリチウムイオンキャパシタの高出力、高サイクル耐久性、広温度範囲という技術と、リチウムイオンバッテリーの高容量を合わせた蓄電デバイスです。
リチウムイオン電池の課題としては、周辺温度が高温な状態で使用した場合の劣化、充放電サイクルを繰り返すことでの劣化が挙げられます。

HLIDは高温耐久性、高サイクルでの耐久性が高いという特徴を持っています。そしてASEANなどの高温地域に特化した着脱式の電池パックをターゲットに開発をしております。着脱式の電池パックは高温地域の小型の移動体をターゲットにしています。小型の移動体の電池パックに高温耐性が必要な理由ですが、小型移動体には冷却装置を設置するスペースは無いと予想されます。そのため高い高温耐久性が求められます。また小型の移動体ですと、バッテリーパックの交換などで頻繁に充放電を繰り返されます。よって高い充放電サイクルの耐久性が求められます。
モーター駆動の発進や停止時に大きな放電電流や回生電力が流れます。

大電流が流れると、抵抗値が同じ場合は電流の二乗で損失が増えますので発熱が非常に大きくなります。それを低抵抗のリチウムイオンキャパシタ(LIC)で吸収することで、温度に弱いリチウムイオンバッテリーの電流値を減らして、温度上昇を抑えます。そして最適なマネジメントシステムを合わせたものがHLIDです。

HLIDの優位性

HLID内のハイブリッドセルには、リチウムイオンキャパシタと共通している電圧範囲が広いリン酸鉄バッテリーを使います。リチウムイオンキャパシタの電圧範囲が2.2~3.8Vに対して、リン酸鉄バッテリーは2V~3.6Vとなります。あと希少材材料を使用していないので、価格や入手性といった面で優位性があります。

また発火に対するに安全性が高い、充放電サイクルと高温の耐性が高いといった特徴があります。このグラフはリン酸鉄バッテリーと三元系バッテリーの充放電サイクル性能を比較したものです。0.5C充電で1C放電の場合、三元系バッテリーだと容量が95%以下まで下がっています。一方リン酸鉄バッテリーはほぼ低下していません。
ハイブリッドセルの特徴である大電流への耐久性を表す実験結果がこちらです。
5Cの放電電流で試験した場合、リン酸鉄バッテリーでも100サイクルで容量が85%まで劣化します。一方ハイブリットセルは95%の容量を維持しています。
こちらのグラフでは、リチウムイオンキャパシタの特徴である低抵抗により大電流でもバッテリーの電圧変動は非常に小さくなります。

同等の容量で抵抗値が50%減ることで、同じ電流の場合、電圧変動は50%減ります。電圧変動が小さくなり非常に安定した動作が可能になります。
また制御について、リン酸鉄バッテリーは容量100%から0%まで電圧の変化が非常に小さいです。一般的な三元系バッテリーは電圧の変化が大きく、SOCの推定が比較的容易です。リン酸鉄バッテリーは電圧からSOCなどの推定が難しいと言われていますが、MSI独自のアルゴリズムを開発し、高精度なSOC、SOHを推定します。

HLIDの展開

続いて着脱式パックの実装例です。50V13.5AH、700Whで重量は5.5kgと小型軽量です。着脱式パックのメリットは、いつどこでも誰でも充電済みのパックと交換ができます。動画のように20秒以内で交換実装できます。待ち時間がなくて、連続稼働ができることが非常に大きなメリットです。1パック交換するだけで、AGVの場合、約4時間稼働できます。
リン酸鉄系の着脱式のバッテリーパックは2023年度サンプルリリース、ハイブリッドセル搭載したバッテリーパックは2024年にサンプルリリース予定です。

ムサシは、HLIDを提案し、高温地域の長期間使用、電動化を実現しCO2を削減できるような製品を開発していきます。

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武蔵エナジーソリューションズは、カーボンニュートラル社会の実現に向けLICの特徴を活用した社会課題のソリューションをご提案いたします。ご興味のある方は下記URLよりお問い合わせください。

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