レースレポート
全日本ロードレース選手権 第1戦 in 鈴鹿
- ■開催日
- 2014年4月12日(土)〜13日(日)
- ■開催サーキット
- 鈴鹿サーキット
- ■天候(決勝)
- 曇-路面状況:ドライ
- ■出場クラス
- JSB1000
- ■ライダー
- 高橋巧
- ■予選結果
- 高橋巧:3位
- ■決勝結果
- 高橋巧:2位
レース結果
通常、開幕戦は全クラスが行われるのが基本とされてきた全日本選手権なのだが、今年は四輪のスーパーフォーミュラと併催される2&4スタイルでの鈴鹿のレースが第1戦となった。 この鈴鹿2&4は鈴鹿サーキットで行われるということで、国内最大規模の二輪レースである鈴鹿8耐も戦うMuSASHi RTハルク・プロにとって、耐久へ向けたセットアップも進めておきたいという、多くのテーマを持って臨まなければならないレースとなる。さらに今回のレースは四輪と併催ということで、フォーミュラカーが路面に残すタイヤのゴムの影響があることから安定したコンディションになりにくく、さらに例年よりも5周多い20周のレースということで、着実なマシンセットアップが非常に重要となる。 チームは3月上旬の鈴鹿でのテスト、さらに3月下旬のツインリンクもてぎでのテストをこなし、鈴鹿のレースウイーク入りすることとなった。
JSB1000
昨シーズンの課題を踏まえ、さらにマシンを進化させるためにチームは新型のサスペンションを金曜日の走行で投入した。これは3月末のツインリンクもてぎでもテストしてきたものであり、より高いレベルでの走りを具体化するための一つの方策であった。 しかし事前テストが十分に時間を取って行ったものではないこともあり、ライダーのフィーリング、タイム共に良いレベルへ持っていくことができない。そのためにチームはこの日のスケジュール終了後、サスペンションメーカーのエンジニアを交えてミーティングを行い、実績のある昨年のパッケージングに戻すことに決めた。 すべてを新しいパッケージングでのレースに向けて準備してきたため、タイヤの選択など、様々な課題を土曜日の予選時間の中でクリアしていかなければならない。そのためには35分の走行時間1回という予選は厳しいものだったが、それでも実績のあるパッケージングだけに作業は着実に進み、高橋は周遅れに前をふさがれながらも2分7秒323をマーク。この結果、決勝はフロントロー3番手からのスタートとなった。 決勝日朝のウォームアップ走行でもさらにマシンのセットアップを進め、このセッションでは途中にトップタイムをマークするなど安定して速いペースで周回を重ね、2分7秒592で3番手と決勝に向けて期待の高まる仕上がりを見せた。 決勝がスタート。課題とされる序盤の出遅れが今回はなく、積極的にプッシュする高橋。しかしライバルも黙って高橋の後ろに並んでいるはずもなく、前に出ようと仕掛けてくる。そうしたアタックを受け、ライバルたちが前に出てラインをふさいでしまうため、高橋のペースは思うように上げられず、トップを走る中須賀克行選手、秋吉耕佑選手の二人から8周目終わり時点で2秒6ほど離されてしまう。 しかしライバルたちのミスもあり、クリアラップになった8周目から高橋は再びペースアップ。9周目2分7秒0、10周目6秒903、11周目6秒981と予選を上回るタイムでラップ。トップ2台の背後にピタリと迫った。 18周目、秋吉選手のミスもあり、高橋は2位に浮上。中須賀選手の背後にピタリと付ける。ここから一気に前に出たいところだが、2人の前には次々と周回遅れが現れ、なかなかパッシングラインを見出すことができない。 最終ラップのシケイン入り口で中須賀選手のアウト側に並びかけた高橋だったが前に出切れず、そのまま2位でチェッカーとなった。
チームメンバーのコメント
本田重樹監督
今回は全日本として初めての20周のレースということで、タイヤ戦略が大きな鍵となりました。そのレースに対し、我々は以前より実績のある手堅い手法で臨みました。序盤のペースはそれほどでもありませんでしたが、後半になると回りのマシンのペースが上がらなくなり、この展開は我々の思惑通りだとほくそ笑んだのですが、そこは昨年のチャンピオン、苦しみながらも高橋に隙を与えてくれませんでした。結果的に僅差の2位。ここは勝っておきたかったので残念でした。次回また頑張ります。
堀尾勇治チーフメカニック
毎回勝つために準備をし、戦っているわけですがそれでも常に勝てる状態まで持っていくのは大変です。今回はそうした戦いの中でライバルに対し、アドバンテージを作ることができたレースだっただけに、2位という結果はとても残念です。本来であれば新しいサスペンションを投入し、セットアップを進めたかったのですが、高橋巧はホンダのエースライダーとして結果を出すことが求められるため、シリーズのポイントを考えて手堅い方法を採りました。見事その選択が功を奏し、優勝争いをするところまでたどり着けたのですがもう一歩、その前に出ることができませんでした。勝つために足りないモノは何か、はっきりと確認することができたので、その点では大きな収穫のあるレースとなりました。オートポリスに向けてテストをすることができるので、そこでしっかりとマシンのセットアップを進め、次こそは勝ちたいと思います。
高橋巧選手 JSB1000
序盤に遅れてしまうのが自分の大きな課題と認識していて、そこはクリアできたのですが、せっかくトップ争いに追い付いたのにそこで勝負を仕掛けられず、周回遅れに前をふさがれて2位に終わってしまいました。後ろから見ていて中須賀さんの状況はかなり厳しそうで、自分の方がアドバンテージがあると確認できていたので、もっと早く勝負を仕掛けるべきでした。悔しくて言葉がありませんが、しっかりとこの気持ちを受け止め、同じことを繰り返さないようしっかりと次のレースに反映させ、勝利したいと思います。

2014シーズン開幕

JSB1000高橋巧選手

2位表彰台の高橋選手