MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 最終戦 in 鈴鹿

開催日
2012年10月27日(土)〜28日(日)
開催サーキット
鈴鹿サーキット
天候
決勝 雨-路面状況:ウェット
出場クラス
JSB1000/J-GP2/ST600/J-GP3
ライダー
高橋巧/小林龍太/浦本修充/徳留真紀
予選結果
高橋巧:(R1)2位、(R2)2位/小林龍太:8位/浦本修充:5位/徳留真紀:6位
決勝結果
高橋巧:(R1)2位、(R2)25位/小林龍太:8位/浦本修充:13位

 2012シーズンもラスト1レースとなった。 開催されるコースは鈴鹿サーキット。 今年の開幕前に西コースを中心とした路面改修が行われたが今季、全日本は第2戦の2&4、さらに鈴鹿8耐と、 JSB1000クラスのみ行われ、その他のクラスのライダーにとって初めてのレースとなる。 今回はスケジュールの関係から事前テストは行われなかったため、路面改修への対応ということもあり、 レースウイークは通常の金曜からではなく、1日早い木曜から特別走行枠が設けられてスタートした。 今回の大会にMuSASHi RT ハルク・プロはJSB1000クラスの高橋巧、J-GP2クラスに浦本修充、J-GP3クラスに徳留真紀、ST600クラスに小林龍太と レギュラーライダーで参戦。徳留はシリーズランキングトップで最終戦に臨むこととなり、 また高橋はケガからの復帰戦となり、チームにとっては通常の最終戦とはやや異なる戦いとなった。

JSB1000

 最終戦は二つのレースが行われるこのクラス。 ケガからの復帰戦と言うことで、まずは体調の回復具合がチームとしては要チェック項目となったが、 木曜の走行から安定したタイムを高橋は刻むことができ、チームとしては一安心できた。 今回の予選もノックダウン方式が採用され、最初のセッションで第1レースのスターティンググリッドを決め、 2回目のセッションで上位12名を決定。最後のセッションで第2レースの上位グリッドを決めることになる。
 順調にタイムを詰めていく高橋は、最初のセッションで自己ベストとなる2分6秒989と、 自身初となる6秒台へタイムを入れることに成功して2番グリッドを獲得した。 2番目のセッションでも2分6秒879を記録。3番目のセッションではさらにタイムを伸ばして2分6秒709を出し、 第2レースも2番グリッドからスタートすることとなった。
 一夜明け、決勝日は朝からあいにくの雨となってしまった。 昨年、一昨年も最終戦は雨のレースとなり、その中で苦しい戦いを強いられた高橋だったが、 今回はどんなレースになるか注目が集まった。雨のウォームアップ走行でも高橋は2番手のタイムをマーク。 決勝への期待が高まる。そうした中で第1レースがスタート。 スタートでやや出遅れ、雨の状況の確認もあって慎重な走りを見せる高橋はオープニングラップを4位でクリア。 そこから路面状況を確認しながら2周目に3位に上がる。そこからは単独走行となり、2位でチェッカーとなった。
 続く第2レースは絶妙のスタートからトップで1コーナーに入る。 その後、2番手となったが7周目にマシントラブルが発生してしまい、 ピットイン。マシンを修復してコースに戻り、25位でチェッカーとなった。

ST600

 改造範囲が非常に狭いこのST600クラス。 そのために、使用するハードの基本性能がレースでは結果に大きく影響を与える。 その部分でどうしても劣勢の戦いを強いられているチームだが、 それでも新たなトライを行ってなんとか結果につなげようとライダー、 チーム一丸となって今回のレースに取り組んだ。 特に前回の岡山国際大会で取り組んだ新たなアプローチがいい流れを生み、 今回も金曜日の1回目の走行では全体の2番手に小林龍太は付けることができ、 確かな手応えを感じながらこのレースウイークを過ごすことができた。 土曜の予選はタイム的に前日のテストと同じレベルだったが、 マシンの仕上げはさらに進めることができていた。 ドライであれば、この流れでレースが戦えそうだったが、 決勝日は朝からあいにくの雨となってしまった。 限られた時間の中でウエットでのウォームアップ走行を行ったが、 17番手とタイムを今一つ上げられずにセッションは終了となってしまった。
 そうした中、決勝がスタート。いい飛び出しで1周目を6番手でクリア。 さらに上位進出が期待されたが、そこからなかなかタイムを上げることができず、 3周目に8位になると、そこから単独走行となり、そのままチェッカーとなった。

J-GP2

 開幕戦での優勝以来、思うような走りができずに苦しみ続けている浦本修充。 何とかその流れを打開しようと木曜日の走行からトライするが、出口が見えてこない。 ドライで行われた金曜日のART走行は7番手。好天に恵まれた土曜日の予選は前日より1秒タイムを詰めたが、 それでもスターティンググリッドは5番手だった。 決勝日は朝からあいにくの雨。今年、このクラスは雨のレースはなく、 しかもテストなどで走行したウエットコンディションでの浦本のフィーリングはドライ以上に苦しんでいる。 何とかこの状況を打開しようとチームも全力でバックアップするが、 朝のウォームアップ走行ではトップから12秒遅れの13番手。非常に苦しい戦いとなってしまった。 そんな状況の中でレースがスタート。1周目を13番手でクリア。 何とか雨の中でリズムをつかもうとトライする浦本だったが状況を変えることはできず、 そのまま13位でチェッカーとなった。

J-GP3

 17点というアドバンテージをもってタイトル争いをリードし、 最終戦を迎えることとなった徳留真紀。 チームもこの最後の戦いを有利に戦うべく、マシンを急ピッチで仕上げ、 大幅なモディファイが加えられて鈴鹿に持ち込まれた。 このバックアップに応えるべく、徳留は木曜の走行から好調さを見せ、金曜日の走行は5番手に付けた。
 ドライで行われた土曜日の予選は6番手。ポールポジションから1秒5の差はあったが、 未だマシンのポテンシャルを十二分に発揮できる状態ではなく、 さらにタイムを詰める余地はある。その部分を綿密なミーティングを重ね、詰める徳留とメカニック。 決勝日はあいにくの雨となったが、鈴鹿のコースを熟知する徳留にとっては何も問題はない。 マシンの状態を朝のウォームアップ走行で確認し、決勝に向けて準備を進めた。 決勝へ向け、サイティングラップを行ってスターティンググリッドにマシンを付けたが、 雨の降りは非常に強い。このレースの前に行われたJSB1000クラスの第1レースでは雨に足下をすくわれ、 ハイドロプレーニングを起こしてトップグループのマシンが転倒するほどの状況で、 特に軽量級のこのクラスのマシンにとって、路面の水の多さは危険度を増す。 ライダーが協議した結果、レースをいったん遅らせて行うこととなったが、 雨の降りは弱まらずタイムスケジュールの関係からレースはキャンセル。 この決定の瞬間、徳留の全日本タイトル獲得となった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 GP3クラスはレースが中止という残念な結果で終わってしまったのですが、 それまで積み上げた結果がそれがチャンピオンということで徳留真紀の手に渡ったと言うことはとても嬉しいことです。 ハルク・プロにとっても年間チャンピオンが獲得できたと言うことは、 我々がやってきたことは間違いではなかったということ、そして徳留の頑張り程度が形に表れて、素直に喜びたいと思います。
 ST600は近年、非常に苦しい戦いが続いています。これについて我々としてもありとあらゆる手を講じている中で、 龍太がそれを何とか形に表そうと努力していますがなかなか結果に結びつきません。 そうした流れを変え、苦しい思いを何とか早いうちに晴らさなければならないし、 龍太のモチベーションも含め我々の中で必ず近い将来、取り逃がして久しいST600チャンピオンをまた取り戻すべく、努力していきたいと思います。
 J-GP2クラスの浦本修充はこのところウエットでの走行に非常に自信をなくしていて、 結果としてそれが本当に最悪の結果として現れてしまいました。 このシーズンオフにライディングスキルを上げ、彼にとって乗りやすいオートバイというのを探し出して、 彼のポテンシャル、そして我々のJ-GP2で死守してきたチャンピオンの座をぜひ来年は取り戻したいと考えています。
 JSB1000クラスは、今年ケガが続き、高橋巧にとってあまりいい年てではありませんでした。 そしてこの最終戦もオートポリスのケガ、復帰後のレースと言うことで非常に厳しい戦いを強いられました。 でもその中でも巧は自分の持てる力、今まで蓄積してきた力というものを最大限に発揮し、 予選でも自己ベストを更新し、そしてレースでも久々のウエットレースにも関わらず、 果敢に攻めて頑張っていました。その姿は絶対に高橋巧のまた来年以降のレースにつながるはずだし、 我々もサポートして、さらに強い高橋巧を見せられるように頑張りたいと思っています。
 今年1年間、いろんなことがあってチームとしては決して満足できるシーズンではありませんでしたが、 武蔵精密工業さん、本田技研さん、その他たくさんのスポンサーの皆様のおかげで頑張りことができました。 1年間、応援ありがとうございました。また来年も宜しくお願いいたします。

高橋巧選手

 久しぶりのレースで、しかも雨になってしまってどうなるか不安な部分もありましたが、 ドライで気持ち良く走れていたし、朝のウォームアップ走行でのフィーリングも良かったので自信を持ってレースに臨むことができました。 第1レースはスタートで出遅れてしまい、それが最後まで尾を引いてしまいました。 第2レースは途中までいいリズムで走れていたのですが、マシントラブルが出てしまって残念な結果になってしまいました。 今年はケガをして思うような戦いができず、苦しかったです。 でもチーム、スポンサー、ファンの皆さんの応援をいただき、とても力強かったです。 ありがとうございました。来年も頑張ります。

小林龍太選手

 木曜日は少し苦戦して、金曜日はマシンを大きく変更してそれがいい方向になってそれからいいタイムで刻めていました。 あと少しというところまでに詰められていたので、決勝が晴れでいったら行けそうな雰囲気だっただったで、 重ね重ね天候が残念です予選でロングディスタンスを走ってその確認もできていましたし、そこまではいい流れでした。 岡山でトライしたこと、それが今回のいい流れにつながっていました。 決勝は雨でも行けそうは雰囲気だったのですが、今日はグリップ感が出ず、厳しい戦いになってしまいました。 スタートはいつものように前に行けたのですが、そこからペースを上げられず、我慢のレースになってしまいました。 最終戦は晴れのレースで終わりたかったですね。 手応えもあったし。すごく悔しい。でも雨でもセッティングの方向性は見えていたので、本当に残念でした。

浦本修充選手

 もう言葉がありません。雨には不安があったのですが、それがはっきりと結果となって出てしまいました。 何とかしようとトライしたのですが、それがことごとく裏目に出て、ペースを思うように上げられず、 文字通り手も足も出ない状態でした。悔しい、それがすべてです。

徳留真紀選手

 地方選で三つのチャンピオンは獲りましたが、全日本に上がってGPに行って、 全日本に戻ってきて、これまでチャンピオン争いに3回絡みましたが、 すべてプレゼントする結果になっていたのでとても嬉しいです。 安定して速いマシンを用意してくれたMuSASHi RTハルク・プロの皆さんと、 応援して下さるたくさんのスポンサーの皆さんの協力があって、タイトル獲得を果たせました。 チーム力と、安定して走れたことが、こういう結果につながったと感じています。 本当に皆様のおかげです。家族、チーム、スポンサーさん、ファンの皆さんのおかげで気持ちを奮い立たせてレースに取り組めて、 気持ちに弱いところも皆さんの応援のおかげで勇気づけられて前に向かってレースに取り組めたのが一番大きいです。 本当にありがとうございました。

堀尾勇治チーフメカニック

 最終戦を迎えるにあたり、徳留真紀がチャンピオンをかけた戦いに挑むと言うことで、 我々の最終戦を戦う上でのプライオリティを考えたとき、巧の復帰もありますが、 タイトル争いをしているJ-GP3を一番に考えました。 会社の工場も本当に全員でマフラーを造ったりシートレールを造ったり、エンジンベンチをかけたり、それを補佐したり、テストしたり、全員がチャンピオン取りのために最終戦までのインターバルの時間を使いました。また、社長が「やり残すな」と後押しもしてくれました。我々はレース屋だから、やり残すことなく全力でトライしました。その結果、天候のせいもあったけど、ウイークをねらえる位置で戦えて、しっかりチャンピオン獲れたのは良かったです。部外スタッフという立場で仕事をしてくれたメカニックの飛鳥井ですが、情熱をもってやってきた彼が、徳留真紀というベテランと一緒に戦い、酸いも甘いも共有して、チャンピオンが獲れたと言うことは彼の財産になりますし、一人のメカニックが一段階上がれるのに手助けできたという点においても良かったと感じています。
 巧は今年、いいスタートを切っていたにも関わらず、途中ケガをして8耐で不完全燃焼してしまいました。 スーパーバイクをやっていると、8耐と8耐後、最終戦まででどう乗っていけるかという、その部分がいつも重要になり、そしてその部分が毎年うまくできませんでした。 今年も例年に漏れず8耐前にケガをして調子を崩して、自分の100%じゃないところでもがいてしまいました。やはり8耐は100%の状態で行けないと、120%で来るワールドスーパーバイクの連中とは戦えません。最終戦で秋吉選手に続くのは俺だとアピールでき、やっと秋吉の背中が見えるところまできたのは大きな評価だと思います。
 小林龍太は今年苦しいハードの部分を抱えていて、そこに成績の原因を押しつけがちですが、その言い訳に終始せず、自分でできる部分にトライし、メカともコミュニケーションを図り、結果は残らなかったけど、ライダーとしての成長を感じます。
 浦本修充は、開幕戦を勝ったところまでは良かったのですがその後、シーズンが進むにつれて意気消沈してしまいました。せっかくの彼のいいところが活かせないジレンマ。若いライダーが生き生きと楽しそうに乗ってくれないと、こちらとしても本当につまらないものになってしまいます。それが一番、悔いが残ります。社長にしても我々としてもあの手この手を試したものの、彼にとって最高に感じられるバイクに仕上げられなかったのが悔やまれます。彼もマシンのせいににするわけでもなく、自分のせいと言うのでそれが余計につらいですね。結果的にはシーズン中盤の転倒が尾を引いてしまいました。転倒することでリセットされてしまう。身体の傷、心の傷、癖が付いてしまう。最後までそれを払拭できずに来てしまった。そんな情けないシーズンの終わり方でした。

JSB1000高橋選手

JSB1000表彰式

ST600小林選手

J-GP2浦本選手

J-GP3徳留選手

徳留選手がチャンピオン獲得