レースレポート
全日本ロードレース選手権 第4戦 in オートポリス
- ■開催日
- 2012年5月26日(土)〜27日(日)
- ■開催サーキット
- オートポリス
- ■天候
- 決勝 晴れ-路面状況:ドライ
- ■出場クラス
- ST600
- ■ライダー
- 小林龍太
- ■予選結果
- (R1)7位・(R2)8位
- ■決勝結果
- (R1)3位・(R2)12位
レース結果
今年2回目となる四輪・フォーミュラニッポンとの併催2&4スタイルの全日本選手権第4戦が大分県オートポリスで5月26日・27日と開催された。阿蘇の山間に作られたこのコースは日本国内でも非常に路面グリップの高いサーキットで知られているが、このシーズンオフに路面を全面改修。経年劣化でできていた凸凹が直され、フラットで非常に走りやすいコースとなった。開催クラスはST600。一クラスのみの開催ということから、一つのレースウイークに2つのレースがスケジューリングされた。このレースにMuSHASHi RTハルク・プロはST600クラスのレギュラーライダーである小林龍太を擁して参戦。新しいコースに対応するため、4月末に事前テストを行い、レースウイークを迎えた。
ST600
チームは事前テストを行っていたものの、チーム、ライダーが思うようなセットアップが出来上がっていないなかった。レースウイークはできるだけ安定したコンディションで走行を進めたいところだったが金曜日は朝から雨。ウエットでの走行となってしまった。そのまま雨が降り続くのであれば問題ないのだが、3本目の走行途中に雨は止み、終了後には青空が雲の隙間からのぞく天気となった。
このままドライコンディションでの予選を迎えるのは危険であるとの判断から、天候が回復してドライになった場合は、最初に20分間のウォームアップ走行を行い、その後に15分のインターバルをはさんでノックアウト方式の予選1を20分間、また15分のインターバル後に15分間の予選2という予選の形に変更された。
全車走行する予選1は1分53秒990のタイムで7番手。小林を含む上位11人のライダーがコースレコードを更新し、路面改修が大幅なタイムアップにつながっていることを証明して見せた。この結果、レース1は7番グリッドからスタートすることとなった。上位24人のライダーによってレース2のスターティンググリッドが決められる予選2を小林は8番手で終了。いよいよ土曜日のレース1を迎えることになった。
チームは思うように仕上がらないマシンのセットアップに対し、大幅なセッティング変更を敢行。これまでの方向性とは違う、大胆なセットアップをマシンに施し、スターティンググリッドに並んだ。うまいスタートダッシュを見せた小林はオープニングラップを2番手でクリア。2周目の1コーナー飛び込みでスリップストリームから絶妙のタイミングで飛び出し、トップに出る。その後抜き返されるが、トップグループの1分53秒台のペースに対して小林も安定して53秒ラップ。3位に付け、再びトップに出るチャンスをうかがう。最終ラップに1台に抜かれて4位に順位を落としたが、トップ争いをしていた1台が転倒しその結果、一つ順位が繰り上がって3位表彰台獲得を果たした。
日曜日は気温が上がり、前日より5度高い23.4度の気温の中でレースがスタートとなった。朝のウォームアップ走行で気温上昇への対応をして確認したチームであったが、上昇幅が想定以上となり、小林のタイムが序盤から上がらない。トップグループが1分54秒から55秒台でスローペースなのだが、小林は55秒真ん中から56秒台とさらにスローペース。このため、1周目の8位の位置からなかなかジャンプアップしていけない。集団に飲み込まれたこともあり、思うようなラインが取れず、16周のレースが終わるときには12位の順位になっていた。
チームメンバーのコメント
本田重樹監督
4月末にテストに来たときに新しい路面舗装への対応をいろいろと考え、セッティングを進めたのですが、その中でいい結果が得られなかったことから、レース1に対しては我々がそれまで取り入れていなかった新しい手法を投入し、レース1に臨みました。それは賭けでもあったのですが、予選からの流れを見ていると、いい方向に進んではいたので、そこから推測して決めた、という種類のものでした。今までのレースではなかなかトップグループを見ながら周回することができなかったのですが、最後までトップグループに加わってレースができたという事実は、我々の大きな力となりました。喜ぶべき3位表彰台獲得ではあるのですが、我々は勝とうとしてレースを戦っているわけで、3位は嬉しさ半分、悔しさ半分、といったところでした。とは言え、小林にとって2009年の第5戦岡山大会以来という3年ぶりの表彰台獲得で、おめでとうと言いたいと思います。レース2はレース1でセッティングを振っていい方向に進んだのでそれを確認し、自信を持って臨みました。ところがレースがスタートしてすぐに、路面温度の上昇に対して我々が選択したタイヤが合わないということが判明。路面が改修されて良好なグリップ力が得られるようになった中、ミスマッチのタイヤでもがき苦しむ走りをしたことからタイヤをさらにいじめてしまい、レース中盤、終盤とタイムを落としていくことになってしまい、結果としてペースを上げることができなくなってしまいました。そういう厳しい状況の中でも小林はライダーとしてトライできることを行い、なんとか頑張りました。これから夏場に向かい、高い路面温度でのレースをすることになっていくので、我々も足りないものがあることを実感したレースでしたので、次のSUGOに向け、じっくりテストしてより精度の高いセッティングを目指して頑張り、後半戦に臨みたいと思います。今回もたくさんの応援、特に九州武蔵精密のたくさんの方々に応援いただき、ありがとうございました。大きな力をいただきました。
堀尾勇治チーフメカニック
筑波のレースが終わってから、会社としての総力を今回のST600に注ぎ込み、準備してきました。エンジンもこの1週間ずっとベンチで回し、その結果データを比較すると、風などの影響もあるとは言え、4月末のテスト時から今回はストレートスピードで約10km/h、上げることができました。そうしたバップアップを受け、小林もライダーとして精一杯の努力をしてくれた結果がレース1の3位表彰台につながったのではないかと感じています。レース2はさらに上を目指したセットアップにして臨んだのですが、高温下へのセッティングがやりきれていなかったということから、非常に厳しいレースとなってしまいました。ですが、今まで抱えてきていた問題点を明確にし、どう修正していったらいいのかというチームとしての方向性が今回のレースへの準備、そしてレースウイーク中の戦いの中ではっきりすることができたので、これは大きな意味を持つレースになったと思います。さらに開発を進め、後半戦はより高いレベルのレースができるよう準備を進めたいと思います。
小林龍太選手
今回はチームがTカーまで用意してくれて、メカニックも三人体制だったので短い走行時間でもコメントしたことがすぐにフィードバックされ、形になって返ってくるので走りたびにマシンのセットアップが進みました。予選はタイム自体よくはなかったのですが、フィーリング自体はとてもよかったのでスタートを決めればいいレースができると自信を持ってレース1のグリッドに並びました。実際にレースでもいいスタートが切れ、課題だったタイヤのマネージメントも意識して行うことができた結果、最後までトップグループを走れたことは大きな収穫です。レース2は厳しいレースになってしまいましたが、それでもおかれた状況の中でベストを尽くすことだけ考え、チャレンジし続けました。マシンも大きな進化を遂げ、さらにこのセットアップを進めていくのが楽しみです。

決勝レースがスタート!

小林龍太選手

第1レースで3位表彰台獲得