レースレポート
鈴鹿300km耐久ロードレース
- ■開催日
- 2010年6月12日(土)〜13日(日)
- ■開催サーキット
- 鈴鹿サーキット
- ■天候
- 決勝 --- 気温:---度 路面状況:---
- ■出場クラス
- ---
- ■ライダー
- 高橋巧・中上貴晶
- ■予選結果
- 4位
- ■決勝結果
- 2位
レース結果
2010シーズンの全日本ロードレース選手権シリーズも第3戦が終了し、8月末まで一休み。
そうして、国内最大規模のモータースポーツイベント「鈴鹿8時間耐久ロードレース」、
通称8耐へ向けて国内ロードレース界は大きく動き出す。
8時間を2人、あるいは3人のライダーで7回のピット作業をして交代しながら走り続ける8耐。
燃費とラップタイムの高いバランス、
終始周回遅れのマシンを交わしながら走り続けなければならなく、走りに自由度のあるマシン作りやピット作業など、
通常のスプリントとは違った要素も求められることから、
レースへ向けて数多くのテストを重ねて準備していかなければならない。
毎年6月の第2週に行われる鈴鹿300kmは1人、あるいは2人のライダーで鈴鹿のコースを52周走るという、
8耐序盤の2スティントをこなすのと同じ条件が設定されていることから、8耐に向けた格好のテストの場となる。
MuSASHi RT ハルク・プロも今年の8耐へ向けて、JSB1000クラスのライダーである高橋巧と、
ST600クラスを戦う中上貴晶に将来へ向けた新たな挑戦の場を与えようと起用し、
2人のライダーでこの鈴鹿300kmにチャレンジすることとした。
大排気量の4サイクルマシンでサーキットを走るのは今年が初めてである中上は、
もちろん1000ccのマシンで鈴鹿のコースを走るのは初の経験となる。
チームはそんな中上にできるだけ走行する時間を作ろうと、金曜日の公式練習、
予選と高橋の走りは押さえ気味にし、中上の周回を多めに取ることにした。
中上もそうしたチームの期待に応え、毎走行ごとに1秒ずつラップタイムを削っていく順応性の高さを見せる。
結局予選は、高橋が出した2分9秒063のタイムで4番手。
中上は2分10秒665が自身のベストタイムとなった。
心配なのは決勝日の天候だ。6月の第2土・日の開催ということで、梅雨入りの時期となる。
今回は金曜、土曜とドライコンディションでスケジュールを消化できたが、梅雨前線が西日本で停滞しており、
それが動き出す気配を見せていることから、決勝日は雨の予報が出ていたのだ。
決勝日朝のウォームアップ走行はドライ。しかし決勝へ向け、
全車サイティングラップに入ったところでついに雨がパラパラと落ちだし赤旗提示。
スタートは仕切り直しとなってしまった。このため、ほとんどのマシンがレインタイヤを装着し、
ルマン式スタートでレースは序盤を展開することとなった。
スタートライダーを務めた高橋はまずまずの飛び出しを見せ、2番手で1コーナーに飛び込む。
しかし1000ccマシンでの雨の走行経験が少ない高橋はこのハーフウエット路面でどこまでペースを上げていいか判断が付かず、
1周目は9位まで順位を落としてメインスタンド前に戻ってくる。さらに2周目11位、
8周目には13位まで順位を落としてしまった。
高橋を含め、上位陣が装着しているのはレインタイヤだったが、
雨はその後上がり、スリックタイヤを履くライダーが順位を上げてくる。
チームはスリックタイヤに換えることを決断し、10周目に高橋をピットに戻し、
スリックタイヤに換えて再びコースに戻す。路面コンディションに合ったタイヤを得た高橋は、水を得た魚のように本来の速さを取り戻し
ペースアップ。23周目にはついに3位まで順位を挽回してきた。
雨はパラパラと降っては止みということを繰り返し、
本格的に降り出してはいない。フルドライのような走りはできないが、スリックタイヤでも注意すれば足元をすくわれるような
状況ではない。
イレギュラーのピットインをしたため、
もう一度ピットインしてガソリン補給をしなければならないMuSASHi RT ハルクプロは36周目にピットイン。
もう路面コンディションは大きく変わらないだろうと判断し、タイヤを交換せず、
そのままスリックタイヤで走りきることを決断。同時に、雨が降ったり止んだりのペースが作りにくい路面コンディションの上、
スポット参戦でこうしたコンディションに惑わされているライダーがコース上に多く存在することから、
走り以外にも注意しなければならないことが多く、雨の走行経験のない中上を走らせるのはリスクが高いと監督が判断。
高橋を最後まで走らせることにした。
ピットインし、少しの水分補給をしてまたマシンにまたがってコースに戻る高橋。
しかしラスト15周となる37周目あたりに雨が強く降り出し、上位陣の中でもピットインしてレインタイヤに換えるチームも出てきたが、
またしても雨はすぐに止んでしまった。
高橋の疲労がチームとしては最大の懸念だったが、
ラスト2周となる50周目にはこのレースのファステストラップとなる2分10秒962という、40周も走ってきたスリックタイヤで
高橋はマーク。その勢いをキープし、無事に2位でチェッカーを受けることとなった。
チームメンバーのコメント
本田重樹監督
8耐前哨戦という位置付けのレースである今回の鈴鹿300kmで、 自分たちの目的は8耐で勝利するためのデータ収集となります。その一つが、 8耐の第3ライダーに予定している中上貴晶の1000ccマシンに乗ったときのポテンシャルを計るというものも含まれていました。 金曜日の公式練習、土曜日の予選とセッションごとにタイムを縮め、我々も彼がどれくらい走れるか、 確認することができたのは大きな収穫でした。予定通りであれば決勝中の走りも見てみたかったのですが、 コース状況があまりにも難しいものであったことから、安全を最優先して彼には我慢してもらうことにしました。 そうした難しいコンディションを高橋巧は自分の中で着実に消化し、尻上がりに良い走りになっていきました。 巧のポテンシャルを我々もある程度理解しているつもりではいますが、その中で彼は、 我々がこなしてほしいと考えている仕事きちんと理解してクリアし、いい仕事をしてくれたことも大きな収穫でした。 ああした状況の中、今回のレースの中で採ったチームとしての戦略は間違っていなかったと思いますし、 2位という結果を残すことができたのは本番に向けていい弾みにもなると思います。 これからテストをこなし、8耐ではライダー、メカニック、チーム一丸となって力を合わせ、 表彰台の中央に立ちたいと思います。今回もたくさんの方に応援していただきました。ありがとうございます。 8耐に向けて全力で頑張りますので応援宜しくお願いいたします。
高橋巧選手
1000ccのバイクでレインタイヤを履いて走行した経験がほとんどないので、 レース序盤はどこまで行っていいのかまったく分からずに順位を大きく落としてしまいました。 状況はチームが判断して指示するからとにかく無理せず自分のペースで走るようにチームからスタート前に言われていたので、 走りだけに集中するように心がけました。路面コンディションがころころ変わるし、 やっと自分のパートが終わったとピットに戻ったらそのまま走るように言われて走り続けたので疲れましたが、 自分は普段からトレーニングを重ねていて体力には自信があるので、 バテてしまうようなことは終盤でもありませんでした。 しかしライダーとしてはまだまだ足りない部分があるのはよく分かっているので、 これからのテストでその部分をクリアしていきたいと思います。 難しいコンディションの中でのレースで2位になることができて、そのことはとても嬉しいです。
中上貴晶選手
オートポリスのレースウイーク中に監督から鈴鹿300kmに参戦するからと言われ、 当初は事前テストができるはずだったので、その中でどういう準備をしていくかイメージを作っていました。 ですがその後、監督からテストができないと言われ、これは自分の能力を試されているんだなと思い頭を切り替え、 レースウイークの走りに集中できるよう、イメージを作って臨みました。予選では2分9秒台まで入ると思っていたのですが、 最後に集団に引っかかってしまい、10秒台で終わってしまったのは残念です。 8耐の第3ライダーというチャンスをいただけるかもしれないので、テストではいい走りをしてアピールしていきたいと思います。 今日の決勝はもちろん走りたかったですが、 「あの難しいコンディションの中でウエット走行をしたことがない僕が走ると、ケガをするリスクが高いからできれば避けたい」と チームから言われ、それに従いました。信頼しているチームの判断ですから、それは間違いなかったと思います。 今度は走るチャンスがもらえるよう、自分の力を上げる努力をしていきます。

高橋選手と中上選手

高橋巧選手

中上貴晶選手

2年連続2位の表彰台