レースレポート
全日本ロードレース選手権 第7戦 in 鈴鹿サーキット
- ■開催日
- 2010年10月30日(土)〜31日(日)
- ■開催サーキット
- 鈴鹿サーキット(三重)
- ■天候
- 決勝 曇のち雨 路面状況:ウエット
- ■出場クラス
- JSB1000/J-GP2/ST600/J-GP3
- ■ライダー
- 高橋巧/小西良輝/小林龍太・中上貴晶/浦本修充
- ■予選結果
- 高橋R1:9位 R2:6位/小西3位/小林9位・中上6位/浦本17位
- ■決勝結果
- 高橋R1:4位 R2:13位/小西3位/小林8位・中上7位/浦本8位
レース結果
2010年シーズンも、いよいよ最終戦を迎えることとなった。
最終戦はMFJ-GPとされ、第6戦までのポイント獲得者のみが参加できる特別なレースとされている。
特にJSB1000クラスは、決勝日に2回のレースが行われることから、
王手をかけているJ-GP2クラスの小西良輝のタイトル獲得と同時に、
逆転チャンピオン獲得をねらうチームにとって、大きな期待を抱きながらサーキット入りすることとなる。
この大会にMuSASHi RT ハルク・プロは、JSB1000に高橋巧、ST600に小林龍太と中上貴晶、
J-GP2に小西良輝、J-GP3に浦本修充の5名のライダーが参加した。
このレースウイークに台風の接近が予想されており、金曜日に施設側が主催して緊急ブリーフィングが行われ、
予選が出来なかった場合、金曜の午後のART合同テストのタイムを使用することもあるということがアナウンスされた。
しかし影響を及ぼすことはなく、予定通りに予選スケジュールは消化されることとなった。
JSB1000クラス
今年からチームに加わり、好調に進んだ序盤に対し、
後半のレースが進むにつれリズムを崩してしまい本来の走りが見せられずにいる高橋巧。
暫定のシリーズランキング2位で迎える最終戦でリズムを取り戻し、逆転チャンピオン獲得を果たしたいところだ。
金曜のART合同テストで意欲的にラップを重ね、徐々に第2戦鈴鹿2&4の時の感覚を取り戻しつつある高橋。
タイム自体はトップから2秒ほど離されてしまっているが、マシンと自分のフィーリングが良い。
しかし土曜の予選はハーフウエットからドライという難しいコンディションとなってしまい、
思い切ったライディングが出来ない状況となってしまった。その結果、ノックアウト方式の第1セッションで9位となり、
第3セッションは6位。第1セッションの結果が決勝第1レースのグリッド、
第3セッションの結果が第2レースのグリッドとなるため、それぞれ3列目と2列目からのスタートとなった。
ドライとなった決勝の第1レースは慎重に序盤を6位で走行。
そうして徐々にペースを上げ、4位でフィニッシュ。
ランキングトップに0.5点差で第2レースを迎えることとなった。
しかし第2レースは雨となってしまい、高橋にとって厳しい状況となってしまった。
その不安が的中してしまい、スタートで15位まで落ちてしまうとそこからなかなかペースが上げられず、
したがって順位も上がってこない。結局、13位でチェッカーとなった。
J-GP2クラス
5点差での暫定ランキングトップで最終戦を迎えることとなった小西良輝。
今年から新設されたカテゴリーへチームの新たなチャレンジということで、
是非ともタイトル獲得を果たしたいと、意欲を持ってレースウイーク入りした。
しかし後半戦になってさらなるポテンシャルアップのために行った車体周りのスープアップが、
まだまだねらった性能を発揮できる状態になっていない。それはこのレースウイークに入っても変わらず、
非常に厳しい戦いを強いられてしまうことになった。
それでも雨となってしまった予選では着実に周回をこなし、3番手という好位置を獲得した。
ランキング2位に付けるライダーが金曜日の走行で転倒。
負傷したため決勝はキャンセルとなり、タイトル争いでのライバルが1人消えたが、
それでも小西は気を引き締めて決勝を迎えることとなった。
ドライでレースはスタート。ところが4周目に入ったところで雨が強く振り出してしまって赤旗中断。
ウエットレースで残り12周を戦うことになった。
雨のために慎重にラップしたことから5番手で第2レースをスタートすることとなった小西。
滑りやすく状況が読みにくいレースとなり、完走してポイント獲得することに意識を切り替え、安定して周回。
3位でチェッカーとなり、見事J-GP2クラスの初代チャンピオンとなった。
ST600クラス
使用するハードの問題から、なかなか思うような結果を残せていない小林、中上の二人。
しかし今回の予選はウエットコンディションとなり、ドライとはまた異なる状況での走行となった。
このチャンスを生かし、中上は6番手、小林は9番手と、上位をねらえる位置で決勝をスタート出来ることとなった。
台風が通過してもすぐに低気圧の影響によってどんよりとした曇り空となり、
しかも北風が吹いていることから気温は16度と低め。そうしたコンディションの下で決勝はスタートすることとなった。
中上はうまくスタートを決め、1コーナーに4番手で飛び込む。
しかしタイムをここから上げることができず、タイムを上げていく後ろの集団に飲み込まれていってしまう。
1周目を終えて小林8位、中上9位でクリアする。2周目に小林は6位、中上8位まで上がるが、二人ともそこからペースアップしていけない。
終盤、5位争いの中の先頭に出ようとチャレンジした中上だったが、MCシケインでオーバーラン。
この集団の後ろまで下がり、再び追い上げようとしたが届かず。中上7位、小林8位でゴールとなった。
J-GP3クラス
やっと本来の速さを発揮し、トップグループでのレースをすることが出来るようになった浦本修充。
しかし、鈴鹿サーキットをまだ本格的に走ったことがない。
レースウイークの前週に走ることができたが、それでもまだ十分なマシンのセットアップを行うレベルにまでは到達できず、
続きはレースウイークに入ってから行わなければならなかった。
そうした状況でも金曜日のART合同テストで午前、午後と35分の走行を2回走り、
総合で10番手に入る順応性の高さを見せた。期待された予選だったが、ウエットコンディションになってしまい、
この天候に対応するためのキャブレターセッティングに手間取り序盤は走行できず、結局、9周のみ走行し17番手になってしまった。
決勝はひたすら追い上げるのみ。決勝日朝のウォームアップ走行では7番手に付け、
確かな手応えを感じつつ、スターティンググリッドに並ぶこととなった。
そうしてレースがスタート。うまく飛び出しオープニングラップを6位でクリア。
さらに上位をねらったが、集団に飲み込まれてしまう。
身長181cmと小排気量クラスを戦う浦本にとって大柄な身体はハンディとなり、
得意の高いコーナリングスピードも、他車に前をふさがれてしまうと生かしきれない。
自分の走りのリズムが取れないまま周回は進み、8位でチェッカーとなった。
チームメンバーのコメント
本田重樹監督
J-GP3クラスの浦本は、後半戦になってトップグループに絡めるようになり、
安定してその位置をキープできるようになって来ました。
今回も序盤はトップグループに加わってレースを戦うことが出来ていましたが、集団に飲み込まれてしまい、
順位を上げられずにレースを終えてしまったのは残念です。
ですが今年1年大きく成長し、安定してトップグループでレースが出来るようになりました。来年がとても楽しみになってきました。
ST600クラスは依然としてハード面の厳しい状況を変えることができず、その中で小林、中上ともに健闘してくれました。
結果を見ると、小林がシリーズランキング6位で、これがブリヂストン勢の最上位となり、
この点を見ても現状のパッケージの中でこれが精一杯の戦いだったのかな、とも思います。
来年は巻き返しを図りたいところです。
J-GP2クラスの小西はチャンピオンのかかった大事なレースとなり、レースコンディションが変わった難しい状況の中、
無理せず自分の戦いをしっかりとやり遂げたのは立派でした。
初代のチャンピオン獲得を果たせたのはチームにとって大きな喜びですし、
小西にはおめでとうと心から祝福したいと思います。
JSB1000クラスの高橋は、ここのところ少し調子を落としていたのですが、明るい兆しを見せてくれました。
ところが、チャンピオン争いというプレッシャーもあったとは思いますが、
天候が変わった第2レースでは大きくトップから離されてしまった点は課題が残ります。
このシーズンオフにしっかり課題を克服し、来年は本当の意味でのチャンピオンになれるよう頑張りたいと思います。
今年は結局、J-GP2クラスだけのチャンピオン獲得となりましたが、
それでもタイトル獲得を果たすことが出来たのは、皆さんの応援があったからこそのものだと感じています。
応援ありがとうございました。来年もまた、新たな目標に向かって頑張りたいと思いますので応援、宜しくお願いします。
高橋巧選手
シーズン後半になって今ひとつ自分のリズムで走ることが出来ずにここまできてしまいました。 金曜日からの走行でやっと自分本来のリズムを取り戻せてきた感覚があったのですが、 雨になってしまった第2レースではまたしても逆戻りしてしまいました。 まったく自分の走りができず、自分自身にがっかりしています。 このシーズンオフにしっかりとトレーニングをし、新たな気持ちで頑張りたいと思います。 今年1年、たくさんの応援をありがとうございました。
小西良輝選手
今日はコンディション的に難しく、 前を走っているライダーが転倒したりしていたのでリスクを冒さず、 確実に走りきってチャンピオンを獲得しようとそれだけを考えて走りました。 こんな恵まれた環境を与えてくれているチーム、スポンサーの皆さんに結果で少しお返しできたのは嬉しく思います。 今年はどのサーキットへ行っても、今まで以上にたくさんのファンの方に声をかけていただいたりして、 とても嬉しいシーズンでした。皆さんの応援があったからこそ、タイトル獲得を果たせたのだと思っています。 ありがとうございました。
小林龍太選手
金曜日の走行からマシンのセッティングも詰まってきて、 予選の雨も8耐のテストでたくさん走っていたので自信を持って臨むことが出来ました。 予選は最後のタイムアタックで失敗してしまい、順位を落としてしまいましたが手応えはあったので、 決勝では必ず上位に上がれると思っていました。出来れば他車と絡まずにレースを走りたかったのですが、 後ろの集団に飲み込まれてしまい、前をふさがれてしまってバトルをすることになってしまったので苦しいレースになってしまいました。 最終的にはブリヂストン勢ではランキングトップとなりましたが、自分としてはもっともっと上でレースをしたかったです。 今年は武蔵精密工業の社員の方にいろいろとサポートしていただき、とても充実したレースをすることが出来ました。 本当に感謝しています。ありがとうございました。
中上貴晶選手
レースはスタートでうまく飛び出してトップに絡める位置に出たのですが、 そこからうまくタイムを上げていくことができず、厳しいレースになってしまいました。 それでも5位集団の前でチェッカーを受けようとトライしたのですがミスをしてしまい、 7位でゴールとなってしまいました。自分としてはせめて5位でゴールしたかったので、 悔しいレースになってしまいました。
浦本修充選手
先週鈴鹿のコースを初めて走って、そこから少しずつセットアップを進め、 金曜日の走行でやっと方向性が見えてきたのですが、土曜の予選でミスしてしまい、 20分ほど時間をロスしてしまったのが痛かったです。 決勝ではトップグループについていきたかったのですが、自分のミスで集団に飲み込まれてしまい、 前に出ることが出来ずに終わってしまいました。 でも課題は見えたので、このシーズンオフにたくさん練習してさらに速くなりたいと思います。とても悔しいレースでした。

高橋巧選手

小西良輝選手

小林龍太選手

中上貴晶選手

浦本修充選手

チャンピオン獲得の小西選手