レースレポート
全日本ロードレース選手権 第5戦 in 岡山国際サーキット
- ■開催日
- 2010年9月25日(土)〜26日(日)
- ■開催サーキット
- 岡山国際サーキット(岡山)
- ■天候
- 決勝 晴後曇 路面状況:ドライ
- ■出場クラス
- JSB1000/ST600/J-GP3
- ■ライダー
- 高橋巧/小林龍太・中上貴晶/浦本修充
- ■予選結果
- 高橋巧20位/小林龍太12位・中上貴晶21位/浦本修充2位
- ■決勝結果
- 高橋巧5位/小林龍太10位・中上貴晶24位/浦本修充7位
レース結果
9月末のタイミングに毎年開催される岡山国際サーキットでの全日本選手権。
このコースは全長3.7kmで、その中に中低速コーナーを組み合わせている。
ストレートはメインが600m、バックストレートが700mと2本あり、ここで速度を稼ぐのがポイントとなる。
ほとんどのコーナーの立ち上がりが開いていないため、
ライダーはアクセルを大きく開けながら走る場所が少ないことからリズムに乗りにくく、
フラストレーションが溜まりやすい難しいコースといえる。
この第5戦大会はJ-GP2クラスは開催されないためMuSASHi RT ハルクプロからは、
JSB1000に高橋巧、ST600クラスには小林龍太と中上貴晶、J-GP3クラスの浦本修充の4名のライダーが参加した。
JSB1000クラス
事前テストから今ひとつ波に乗り切れない高橋巧。
このレースウイークにトップレベルの走りを取り戻したいところだったが、
予選開始直前に雨が降り出してしまい、レースウイーク初のウエットコンディションとなってしまった。
ベテランの多いJSB1000クラスを戦う若手ライダー高橋にとって、
こうしたコンディションの急変は経験の少なさから、対応が難しくなる。
今回の予選はノックダウン方式が採られ、最初に40分の走行が行われ、
そこから24名が次の15分間のセッションに進め、さらに12名に絞られてラスト15分のセッションが行われる。
雨が止み、路面が乾いていく難しいコンディションとなってしまった。
最初のセッションは難なくクリアした高橋。しかし次のセッションはまだ路面が乾かないと判断していたのだが、
強く風が吹き始めたことから瞬く間に乾いていき、周囲はスリックタイヤでタイムアタックしていく。
高橋はレインタイヤでこのセッションを最後まで走る予定だったことから、
急遽ピットインし、タイヤを換える時間はないのでサスペンションセッティングだけ行ってタイムアタック。
しかしスリックタイヤで走れる状況をレインタイヤでのタイムアタックは非常に厳しく、
20番手で終了となり、最終セッションに進むことはできなかった。
それでも決勝ではスタートで一気に13位あたりまでジャンプアップし、ここから追い上げ開始。
最終的には15台抜きの5位でチェッカーとなった。
この結果、16点を獲得し、トータルポイント89点で依然シリーズランキングトップの座をキープしている。
ST600クラス
今シーズン、原因不明のエンジントラブルに見舞われているST600マシン。
今回も金曜日のART合同テストでトラブルが発生してしまい、午前、午後と2回のセッションを走行できたのだが、
2台ともまったく全開走行に入ることが出来ず、厳しい状況となってしまった。
それでも土曜日午前中の予選で小林、中上ともにコースを攻めた。
朝からどんよりとした空模様だったが、昼前に雨が落ちてきてしまい、一時はフルウエットに。
しかし急激に天候は回復。このクラスの午後の予選はドライで行うことが出来たが、
路面に雨が染み込んで乾ききれなかったようで滑りやすいコンディションとなってしまった。
少しでも周回してマシンを仕上げたい小林と中上はラップを重ね、
周囲は午前中よりタイムが上がらない中、午後にタイムを更新して見せた。
しかし前日に走れなかった影響は大きく、小林が12番手、中上は21番手と、
追い上げのレースを強いられるポジションとなってしまった。
ドライでレースはスタート。しかし1周目に多重クラッシュが起きたことから赤旗中断となり、
レースは仕切り直しとなった。絶妙の飛び出しで一気に5位まで順位を上げていた小林だったのでこの赤旗中断は痛かったが、
再び同じダッシュを見せるしかない。
しかし同じスタートダッシュを決めることは出来ず、
1周目の順位は小林が7位、中上は19位。ここから激しい追い上げに持ち込みたいところだったが、
2台ともにまたしてもマシントラブルが発生してしまい、小林は10位で、中上に至っては24位という順位でゴールせざるを得なかった。
J-GP3クラス
前回のSUGO大会でやっとトップレベルでレースが戦える状態に仕上がってきた浦本とRS125R。
今回はより高いレベルでレースが出来るよう、事前テストから意欲的に走りこみを続けた。
その積極性が功を奏し、土曜日の予選では1分37秒809のタイムで総合2番手となり、フロントロー2番手という好位置を獲得した。
軽量な125ccマシンで戦うこのクラスは体重の軽いライダーが有利で、
身長のある浦本は62kgと決して太っているわけではないのだが、このクラスのトップライダーは皆40kg台であるため、
10kg強のハンディを常に背負っている。速いスピードでコーナーに飛び込み、
その速度を落とさずに立ち上がり加速へつなげるのが浦本にとっては速いラップタイムを記録する大原則なのだが、
そのためには前が開いていないとならない。
決勝では早いタイミングでトップに出て、そのまま自分のラインを走り続けることが優勝するためには要求される。
うまくスタートを決め、2周目にトップに立ってレースをリードしようとした浦本だったが、
3周目のメインストレートでスリップストリームを使ってパスされてしまい、
抜き返そうと高いスピードでコーナーへ入ったところ速度が高すぎてラインを外してしまい、
一気に6位までポジションを落としてしまう。
前をふさがれ、自分のラインで走れない厳しい状況になってしまった浦本だったが、
それでも諦めずに攻め続けた。一時は9位まで順位を下げたが、再度盛り返して6位チェッカーとなった。
チームメンバーのコメント
本田重樹監督
J-GP3クラスの浦本はやっと彼本来の速さを予選で見せることができ、
いい雰囲気の中で決勝を迎えることが出来ました。序盤トップに出て、
その位置でレースを戦えればよかったのですがミスもあって順位を落とし、
大きな集団に飲み込まれて厳しい展開となってしまいました。
ですがその集団の前でゴールすることができ、最後まで高い集中力を維持できたことは今後のレースにつながる好材料です。
今後が楽しみになりました。
ST600クラスはこのレースウイークに残念なトラブルが発生してしまい、
厳しい戦いを強いられることになってしまいました。
中上はレース中に致命的なトラブルが発生してしまい、それでもライダーが無事にレースを走り終えてくれたことはホッとしました。
結果は残念ですが、厳しい状況の中でライダーは最善を尽くしてくれたので、次につながるレースになったと思います。
小林も決していい状況ではありませんでしたが、
少しでも前に行こうとチャレンジする気持ちを最後まで持ち続けてくれたのは評価したいと思います。
レース終盤の巻き返しは立派でした。
JSB1000クラスの高橋は予選が難しいコンディションになってしまい、ライダーの経験不足が露呈する形となってしまいました。
セッティング出しも不完全で、スタート位置の悪さが、最後まで結果に大きく影響を及ぼしてしまいました。
レース中のアベレージは高いレベルのものでしたが、いかんせん、スタート位置が後ろ過ぎました。
高橋は今回のレースを終えてまだシリーズランキングトップにいますので、残りのレースを全力で戦います。
今回もたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。次のレースも頑張りますので引き続き応援、宜しくお願いいたします。
高橋巧選手
事前テストから今ひとつ波に乗り切れず、予選は絶対に雨になって欲しくないと思っていたのですが、 ウエットコンディションになってしまいました。 このクラスのトップライダーたちはベテランが多く経験豊富なので、 コンディションの急変は経験の少ない自分にとって不利になることが分かっていたからです。 状況を読みきれず、ドライタイヤでの走行を考えていなかったことから最終セッションに進むことが出来ず、 20番手という位置からのスタートが、最後まで尾を引いてしまいました。 気持ちを切り替え、残りのもてぎ、鈴鹿に臨みたいと思います。
小林龍太選手
最初のレースは絶妙のスタートが切れたのでしめたと思ったのですが、 再スタートではそれが出来ず、しかもレース中にトラブルが出てしまい、その対応に手間取り順位を落としてしまいました。 何とか走りながら対応できるようになり、順位を盛り返しましたが辛いレースになってしまいました。 でもマシンのセットアップの方向性も見えてきて、とてもいい状態になってきています。 次のツインリンクもてぎのコースは得意ですから、このセットアップで走るのが楽しみです。
中上貴晶選手
金曜日ほとんどまともに走れず、ライバルに対してかなり遅れを取ってしまった印象でした。 ですがそれでもセットアップの方向性が見えてきたので、決勝は楽しみにしていたのですが、 シリアスなトラブルが序盤から出てしまい、走りきれるかどうかマシンの状態を見ながらレースをすることになってしまいました。 そういう状況だったので、攻めるとかバトルするとか、全くそういうことは出来ませんでした。 でもマシンのセットアップはいい感覚になってきていますので、残りのレースは高いレベルで戦えると思います。
浦本修充選手
とにかく前に出てレースを引っ張るつもりで決勝に臨んだのですが、ちょっと突っ込みすぎてしまいました。 でもメカニックの仲地さんにいろいろアドバイスいただきながら、高いレベルの走りを目指していて、 少しずつそれが出来ている実感があります。 この流れでさらに頑張り、先輩方に負けないリザルトを出していきたいと思います。

高橋巧選手

小林龍太選手

中上貴晶選手

浦本修充選手