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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第8戦 in 鈴鹿サーキット

開催日
2014年11月1日(土)〜2日(日)
開催サーキット
鈴鹿サーキット
天候(決勝)
曇りのち雨
出場クラス
JSB1000/J-GP2/J-GP3
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充/水野涼
予選結果
高橋巧:4位・4位/亀谷長純:6位/浦本修充:9位/水野涼:13位
決勝結果
高橋巧:2位・リタイヤ/亀谷長純:4位/浦本修充:3位/水野涼:6位

レース結果

2014シーズンも残り1レースとなった。この最終戦鈴鹿MFJ-GPは事前テストがなかったことから、通常よりも一日早い木曜日から走行スケジュールがスタートした。
この最終戦にMuSASHi RTハルク・プロは、JSB1000クラスの高橋 巧がランキング2位で、J-GP2クラスの浦本修充がランキング3位で、J-GP3クラスの水野 涼はランキング3位で臨むことになり、レース次第ではタイトル獲得の可能性を持ってサーキット入りすることとなった。またJ-GP2クラスの亀谷長純は前回の岡山国際大会で発表したとおり、今回のレースが現役最後の戦いとなる。それぞれがそれぞれの課題を持ち、レースウイーク入りした。

JSB1000

ドライの走行となった木曜日のセッションで高橋 巧は安定した速さを見せ、2分7秒508でトップタイムをマーク。順調な滑り出しとなった。しかし翌金曜日の走行では、レースを想定して準備したセッティングが今一つうまくコンディションに合わず、苦戦を強いられてしまう。このため、午前中のセッションが2分8秒91で6番手となった。例年、この最終戦は雨にたたられており、今年も事前の天気予報では土曜、日曜に雨マークが付いていた。ところが雨雲の動きが予報よりも早くなり、この日の午後のセッションはウエットとなってしまった。しかし高橋は5番手でこのセッションを終え、雨でもまずまずの走りを見せることができていた。
ノックダウン方式で行われる土曜日の予選も雨となってしまった。毎年この最終戦は2レースが行われ、Q1がレース1の、Q2がレース2のそれぞれスターティンググリッドを決める。高橋はQ1を4位で、さらにQ2も4位で終え、両レースともに4番手からスタートすることとなった。
決勝日は早朝まで雨が降っていたため、朝のウォームアップはウエットコンディションでの走行となった。その後、路面は乾き、午前中のレース1はドライとなった。
レースがスタート。高橋はまずまずのスタートを切り、2番手で1コーナーへ入っていく。
オープニングラップは3位となったが、3周目のダンロップコーナー立ち上がりで2位に上がり、さらにデグナー立ち上がりでトップに立つ。チャンピオン争いをする中須賀克行選手(ヤマハ)が高橋の背後にピタリと付け、130R入り口でトップを奪い返す。
所々ウエットパッチが残っており、今一つペースを上げにくいトップ争いのため、後ろから集団が追い付いてくる。そのために高橋は5周目に3位へ落ちてしまうが、8周目のシケイン入り口で2位に順位を戻し、再び中須賀選手へのアタックをねらう。終盤になり、2分8秒台でのトップ争いになると、このバトルは中須賀選手と高橋の2台となり、一騎打ちとなった。ラストラップに中須賀選手がスパート。高橋もこれに付いていくが、1コーナー立ち上がりで周回遅れが高橋の前を塞いでしまい、このままゴール。ポイント差は7から10に広がってしまった。
雨になってしまったレース2。高橋はまたしてもうまくスタートを切り、スタート直後のS字入り口でトップに立つ。オープニングラップをトップで走り、レースを引っ張る高橋だったが、この秀のシケイン入り口で中須賀選手がトップに出る。その後ろに付け、再び前に出るチャンスをうかがう高橋だったが、4周目のMCコーナー入り口でマシントラブルが発生。再スタートはできず、リタイヤとなった。

J-GP2

今回のレースが現役最後となる亀谷長純。チームは最後のレースを気持ち良く追われるよう、マシン選択を亀谷に託した。これに対して亀谷は実績と結果の出ているHP6をリクエスト。限られた時間の中でチームはもう一台のHP6を造り上げ、最終戦には2台のHP6を持ち込むことになった。
木曜日の走行で、浦本は2番手のタイムをマーク。またHP6に乗り始めたばかりの亀谷も順調にマシンへの対応を見せ、6番手に付けた。金曜日の午前中のセッションで浦本は、自身の前日のタイムを1秒短縮する2分11秒412のトップタイムをマーク。亀谷は11番手となった。雨となった午後のセッションでは亀谷がトップタイムをマークし、自身の走りのレベルの高さ、さらには乗り始めたばかりのHP6のパフォーマンスの高さを改めて証明することとなった。土曜日の予選はかなり激しい雨が降る中で行われることとなり、亀谷は6番手、浦本は9番手に付け、それぞれセカンドロウ、サードロウからのスタートとなった。
決勝日朝のウォームアップ走行は、所々ウエットパッチが残るコンディションとなった。浦本、亀谷の二人は決勝がドライになる可能性が高いことから、レインタイヤで目の前のセッションでのタイムを出すことよりも決勝に向けたセットアップを進めることを選択。多くのライダーがレインタイヤを装着する中、スリックタイヤで走行。このため、浦本15番手、亀谷17番手という順位でこのセッションは終えた。
厚い雲が空を覆う中、ドライコンディションでレースがスタートした。ところが直後の立体交差下のオフィシャルが雨が振り出したことを告げるレッドクロスフラッグを提示後、西コースでは大粒の雨が激しく降り出し、スプーンコーナーでは多重クラッシュが発生。すぐに赤旗が提示された。
結局、2度ほどスタート時間がディレイされ、15周で予定されていた決勝は10周に短縮され、再スタートされることになった。完全なレインコンディションの中、レースはスタート。亀谷はまずまずのスタートを切り、オープニングラップを5番手でクリア。浦本も順調に順位を上げ、7位までポジションをアップしてくる。4周目、亀谷が3位に上がり、その後ろに浦本が追い上げてくる。8周目、浦本が亀谷を捉え、3位に。結局、そのまま順位は変わらず、浦本3位、亀谷4位でレースは終了となった。

J-GP3

この鈴鹿の走行は昨年の最終戦以来開催がないことから、水野にとってもほぼ1年ぶりの走りとなった。ドライで行われた木曜日の走行では7番手となり、まずまずの滑り出しとなった。翌日の走行では、ライバルが一気にタイムを大幅に詰める。水野もタイムアップを果たし、前日から1秒5ほどタイムを詰めて3番手となる。
雨の中での予選にはサスペンションの中身を大幅に変えて臨んだが、これが思うようにコンディションと合わず、13番手と厳しい順位となってしまった。しかし原因は明確であり、セットアップを戻して決勝日朝のウォームアップ走行をしたところ、本来のライディングのリズムを取り戻すことができ、順位も5番手となった。
決勝は所々にウエットパッチが残っているものの、全車スリックタイヤでのレースとなった。できるだけスタートで前に出たいところだったが、なかなかそれをライバルたちにさせてもらえず、オープニングラップは11位。早く前に出たいのだが集団に飲み込まれ、さらには3周目終わりのシケインで後続のマシンに追突され、コースアウト。転倒は免れたものの、14位まで順位を下げてしまう。それでも5周目にはこの時点でのファステストラップをマークして追い上げ、ランキング争いをしている山田誓己選手(ホンダ)の前に出て6位になったところでゴールとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督
「J-GP3クラスの水野 涼は、チャンピオン獲得のチャンスがある中での最終戦となり、十分に獲ることのできるチャンスがあっただけに、残念な結果となりました。取り逃がしたのは痛いですが、今年の悔しい経験をぜひ、今後のレースに活かしてもらえればと思います。今年の水野はとても成長しましたし、シーズンを通しての戦いは良かったと感じています。また来年、さらなる飛躍を期待したいと思います。J-GP2クラスの浦本修充もタイトル争いに絡んでおり、ランキング3位ということでまず彼自身は勝つことが求められていました。決して得意とは言えないウエットコンディションでのレースになってしまいましたが、その中で精一杯頑張りを見せましたし、結果的に勝つことはできませんでしたが、来年以降につながる良いレースをしてくれました。より高いレベルの浦本のレースを見たいですし、我々も引き続き、精一杯のサポートをしていきたいと考えています。亀谷長純は今回のレースが最後ということで、本人の希望もあり、マシンを変更してHP6で戦うこととなりました。急遽マシンを仕立て、準備して鈴鹿に持ち込みましたが、限られた時間の中でしっかりとセットアップする亀谷の仕事ぶりには、ライダーとしてのポテンシャルがまだまだ高いということを十分に感じることができました。引退は残念ですが、本人が決めたことですし、尊重したいと思います。今後も若手育成などの活動など、一緒に仕事をしていきたいと思いますし、貴重な人材なのでぜひレース界で活動をしていって欲しいですね。JSB1000クラスの高橋 巧は、レース1で勝つことができず、レース2は勝ちしかないと最初から全力で走りましたが、思いもよらぬマシントラブルが発生してしまい、リタイヤとなってしまいました。雨の中、全力で勝ちを目指したその姿勢は高く評価したいですし、進歩も感じられました。この進歩が、来年以降の彼のレースに活かしてくれれば、より高いレベルでのレースができるはずです。来年に関してはまだ白紙ですが、この形を継続していけるのであれば、さらにサポート体制を強化していきたいと思います。ハルク・プロとして今年は無冠に終わりましたが、悪いシーズンではなかったと感じています。ジョイントチームの小林龍太がST600クラスでチャンピオンを獲っただけになり、私としてその部分は寂しい結果なのですが、精一杯戦って出た結果なので、受け入れたいと思います。今年もたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。来年以降も引き続き応援いただけますようお願いいたします。」

堀尾勇治チーフメカニック
「J-GP3クラスの水野 涼は、接触などもあり少し消化不良なレースになってしまいました。まだまだライダーとしての伸び代は大きく、多少問題があってもベストタイムを更新する走りができるので、そのあたりの強さをさらに磨ければと思います。J-GP2クラスの浦本修充もまったく同じで、持っているポテンシャルは相当高いものがあると常々感じているので、さらに大きく成長してもらいたいです。でも今日のレースは得意とは言えないウエットコンディションの中、最後まで攻め切りましたし、成長を感じました。亀谷長純は現役最後のレースということで、本人が乗りたいというマシンを選択。限られた時間の中できっちりとまとめ上げ、残念ながら表彰台に上がることはできませんでしたが、亀谷の最後のレースを見たいとサーキットに足を運んでくれたお客さんには十分に魅せるレースをしたと思います。さすがプロフェッショナルだと感じました。JSB1000クラスの高橋 巧は、レース1でマシンの速さが本来の調子ではなく、苦戦を強いられてしまいました。レース2ではこれまでに出たことのないトラブルが出てしまい、不完全燃焼で終わってしまったので残念です。」

高橋 巧
「ドライでの走りはいい感触がありましたが、レース1では本来のマシンのスピードが出ていなくて、その部分で苦戦を強いられてしまいました。レース2は失うモノは何もないと監督に言われ、自分もそう感じたのでとにかく勝ちだけをねらって走っていたのですが、突然マシンが加速しなくなり、そこでレースを諦めざるをえない状況となってしまいました。残念の一言です。」

亀谷長純
「現役最後のレースだったのですが、自分としては特にそうした気負いもなく、いつもの自分の中の一つのレースという感覚で、そういう意味では気負いなくレースウイークを通して、集中して仕事に取り組みました。監督が最後のレースなので自分で乗りたいマシンを選んで良いと言ってくれたので、データも豊富なHP6をリクエストしました。限られた時間ではありましたが、とても楽しく乗ることができました。でも、今年は開発という契約をし、その仕事はしっかりと全うできなかったので、その部分は残念ですし自分の力不足を感じます。今後は自分の経験を活かし、後進の育成に力を注ぎます。」

浦本修充
「今年、高橋裕紀さんがグランプリから全日本に戻り、このクラスのレベルが大きく上がったと思います。その中で自分のレベルももっともっと上げていこうと考えていたのですが、今日も雨の中、勝てませんでしたし、まだまだ実力不足であることを痛感しました。もっと努力して成長します。」

水野 涼
「すべてはスタート位置の悪さに尽きます。雨の走りも自信はあったのですが、サスペンションの中身を変える変更を土曜日の予選に行い、走り出してすぐにそれが良くないことは分かったのですが、ピットインしても中身を戻す時間はないことから、そのまま最後まで走ったのが痛かったです。決勝も後ろから追突され、それが大きく順位に響きましたが、そんなところを走っている自分の責任でもありますから、やはり予選ではいい位置に付けておかなければいけないですし、全セッション、常に上位にいなければダメだと言うことも痛感しました。」