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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第3戦 in ツインリンクもてぎ

開催日
2014年5月24日(土)〜25日(日)
開催サーキット
ツインリンクもてぎ
天候(決勝)
晴-路面状況:ドライ
出場クラス
JSB1000/J-GP2/J-GP3
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充/水野涼
予選結果
高橋巧:1位/亀谷長純:15位/浦本修充:2位/水野涼:4位
決勝結果
高橋巧:1位/亀谷長純:-位/浦本修充:4位/水野涼:3位

レース結果

今年唯一の関東圏でのレースとなる全日本第3戦が、栃木県ツインリンクもてぎで5月25日に行われた。ここツインリンクもてぎは路面コンディションがよく、コーナーの奥が入り込んだタイトカーブとストレートが組み合わされていることから、ストップ・アンド・ゴーのコースと言われる。強力なエンジンと、ブレーキングに強いマシンがタイム、レース結果に大きく影響するサーキットだ。 今回のレースにMuSASHi RTハルク・プロから、JSB1000クラスに高橋 巧、J-GP2クラスに亀谷長純と浦本修充、J-GP3クラスに水野 涼というレギュラーメンバーで参戦した。 チームは1週間前のテストを行い、それぞれに課題を持ちながら、レースウイーク入りすることとなった。  

JSB1000

1週間前の事前テストから、ロングランテストを行ってレースシミュレーションを続けている高橋とチームスタッフ。まだまだマシン面でのセットアップ作業は残っているのだが、レースの中で出そうな問題点を実際の走行で確認し、洗い出しておきたいとチームは考えていたのだ。とは言え、ロングランテストができる最大の理由は高橋が高いアベレージでの走行を行うことができているからで、金曜日のART合同テストでも1回目が1分50秒251でトップ、2回目は1分49秒571で2番手と、常にトップ近辺のタイムを記録することができていた。予選もQ1で1分49秒488をマークし、トップで通過。Q2では1分48秒803のコースレコードをマークし、昨年の開幕戦以来、ほぼ1年ぶりのポールポジション獲得となった。 決勝朝のウォームアップ走行もただ一人だけ1分49秒台へ入れる速さを見せ、決勝への期待が高まる。 そうして決勝の時を迎えた。レッドシグナルからブラックアウトしてレースがスタート。ここでましても、高橋はフロントタイヤを高々と持ち上げ、さらに加速体勢に入る前にもう一度、フロントタイヤを持ち上げてしまった。大きく出遅れてしまい、1コーナーへは5番手前後でアプローチしていく。 前回に引き続き、またしてもスタートに失敗してしまった高橋だが、前回の轍は二度と踏まぬよう、ここで冷静に走ることを意識し、着実に1台ずつ抜いていく。2周目4位、4周目3位と順位を上げ、8周目には2位に。トップを走る中須賀克行選手のペースは1分50秒台前半。高橋は49秒で連続ラップしていることから、その差は一気に詰まっていく。背後から中須賀選手の状態を確認した高橋が動いたのは14周目。V字コーナーのインに飛び込み、前に出る。しかし翌15周目の5コーナーで高橋のインを奪い、再びトップに。続くS字入り口で並びかけ、マシンを中須賀選手に見せた高橋はその後のV字で前週同様にインから前に出る。周遅れが出ながらのトップ争いの中、高橋は1分49秒台に入れながら50秒前半でラップ。中須賀選手も追い付こうと49秒台へ入れるが、その差は徐々に広がっていく。結局1秒5ほどの差を付け、高橋は前回オートポリスに続く自身初のこのクラス連勝を飾ることに成功した。

J-GP2

このクラス3年目となる浦本修充は乗り慣れたHP6で、事前テストから好調さを維持していた。一方のニューマシンNH6をライディングする亀谷長純は早くマシンを仕上げ、トップ争いに加わっていきたいところだったが、事前テストでは雨にたたられてしまったりと、なかなか思うようにマシンを仕上げることができない。それはタイムを見れば明らかで、金曜日のART合同テスト1回目、2回目共に浦本がトップタイムをマークしたのに対し、亀谷は1回目17番手、2回目16番手と下位に沈んでしまっている。ライダーのポテンシャルは間違いなく高いのはこれまでの実績で分かっており、少しでも早くオリジナルフレームを使用したNH6を仕上げたいところだが、なかなか解決策が見えずにいる。 土曜日の予選で浦本は自己ベストとなる1分52秒814のコースレコードをマーク。ポールポジションは残念ながらグランプリから戻ってきた高橋裕紀選手に奪われてしまったが、スタンダードフレーム改のマシンでの1分52秒台は見事なタイムであり、決勝での活躍が楽しみとなった。亀谷は1分56秒6でスタートしたこのウイークの走り出しから、さらに1秒タイムを詰め、15番手で予選を終えた。この予選ではトップ6台がコースレコードを破り、クラス全体のレベルアップが図られている印象を強くした。 決勝日朝のウォームアップ走行では浦本がトップタイムをマーク。朝のまだ路面温度が上がりきらない中での1分53秒313のタイムは、好調さを物語るものとなった。亀谷も1分55秒604と、予選と大差ないタイムで、さらに進めたマシンのセットアップがうまく進んでいることが確認できた。 決勝がスタート。2番手で1コーナーに飛び込み、浦本はまずまずのスタートを切ることに成功した。序盤に高橋選手はペースを上げ、そこでアドバンテージを作ろうとしたようだが、浦本もタイヤを暖めながらハイペースを維持。オープニングラップこそコンマ9秒と差を広げられてしまったが、2周目コンマ5秒、3周目コンマ2秒と大きく高橋選手の背中に序盤から迫ることができていた。硬めのタイヤをチョイスしている浦本にとって、レース中盤から後半のペースアップが間違いなくできるだけに、序盤のペースがおおきなカギとなる。しかし序盤からトップに迫っているのは、後半に向けて理想的なレース展開と言えた。7周目のV字入り口で浦本は前に出たが、ヘアピンで高橋選手がすぐトップを奪い返す。次の周のS字で浦本が再び前に出て、めまぐるしいトップ争いが展開されていく。 勝負はレース終盤まで続き、浦本はトップを維持。ラスト2周の90度コーナー立ち上がりでフロントが切れ込み、コースアウト。かろうじて転倒は免れ、3位でコースに戻ったが、最後の最後に4位を走っていたマシンに抜かれ、4位チェッカーとなった。また亀谷は徐々に順位を上げ、レース終盤に勝負を掛けようとしてたが、13周目にオレンジボールを出されてしまった。パーツがリアタイヤに接触してしまい、白煙が上がってしまったことによるもので、これを出されると即座に走行を止めなければならないことから、コースサイドにマシンを止め、そこでレースは終わってしまった。

J-GP3

チームとして若い水野 涼のレベルアップを図るためには、まずマシンに頼らずにライディング面の幅を広げさせることが現状では優先すべきことと考え、事前テストからいくつかメニューを組み、それをまず基本的にロングランをしながらこなすことを課した。今までであれば走行を開始し、問題を感じたらピットに戻ってきてセットアップ、という流れだったのだが、基本がロングランなので、何か不具合を感じても走行する中、ライディングで改善するしか方法はない。今回は一つのレースウイーク中に、このクラスは2回の決勝が行われる。シリーズを優位に戦うためには、一つも取りこぼしのない慎重さが特に求められるレースウイークとなった。 金曜日のART合同テストは2分3秒009の6番手でスタートしたが、2回目に2分1秒339までタイムアップ。レース1へ向けた予選ではさらにタイムを上げ、2分1秒243で4番手となった。 土曜日の昼にレース1は行われ、午後にレース2へ向けた予選があり、日曜日の午前中にレース2とされている。 2列目4番手からレース1に加わった水野はまずまずのスタートを切り、3番手で1コーナーへ入る。トップ2台がペースを上げていく中、そこに付いていきたいところだったが、3位争いで抜きつ抜かれつを展開するうちに前との差が広がってしまった。そのため、このグループの前でゴールすることに頭を切り換え、最終ラップで3位に出ると、そのままゴール。全日本初表彰台獲得となった。 翌日のレース2は、とにかくトップ争いに最初から加わることに集中。見事これに成功し、3周目にはトップに出るシーンも展開する。トップ争いはラストラップまで展開され、2位で走行している水野の頭の中にはトップとの差を詰め、その前に出ることしかなかった。最後の勝負所となるラストラップの90度コーナーでベストラインを取った水野のイン側には飛び込むだけのスペースがあり、そこを大久保選手に突かれてしまい、もう一度前に出るチャンスはなく、レース1に続く3位表彰台となった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

J-GP3の水野 涼は、このところ大きく成長してきていて、本人ももっと上と意欲的に取り組んできています。予選も上の方のグリッドに付けることができて、レース1、レース2ともに3位という結果を出すことができました。でも評価したいのは、3位表彰台に上がったからと喜ぶのではなく、負けた悔しさを全面に出していた部分でした。その負けた悔しさを感じてくれれば、次戦以降の彼のレースはさらに成長していくと思います。そういう点から今後の活躍に期待できる、いい表彰台でした。J-GP2クラスの浦本修充は、テスト、このウイークとずっと好調で、アベレージタイムもとてもよいものでした。でも決勝へ向けてのセッティングで、我々サイドの詰めが少し甘い部分があり、修充に苦しいレースを強いてしまいました。結果的には4位ですが、それでもグランプリから帰ってきた高橋裕紀選手相手に堂々と渡り合いましたし、その内容も評価できるものですので、彼のレースも今後が楽しみです。亀谷長純は新しいマシンのセッティングに苦しみました。決勝朝のウォームアップ走行を終えてやっといいセッティングが見付かり、手応えを感じながら決勝に臨んだのですが、運営側のジャッジミスがあり、レースを途中でリタイヤせざるを得なくなってしまいました。マシンのマイナートラブルからオレンジボールを出され、これを出されるとライダーは即座に走行を止めなけばならないことから、亀谷はそこまでのシリアスさは感じないながらも指示には従わざるを得ないので、走行を止めました。この件に関しては競技監督から正式に判断ミスで迷惑を掛けましたとお詫びがありました。レース結果は戻ってきませんが、バイクのセットアップの方向性も見えてきましたので、今後のレースが楽しみです。JSB1000クラスの高橋 巧は、このウイークずっと好調で、十分に勝てるという手応えがありました。前回のオートポリスで勝ったことで、巧の中に自信が芽生えてきているのだと我々は感じていました。セッティングを進める上でも余裕があり、決して楽勝ではありませんでしたが、マシンのポテンシャルを100%引き出した巧の実力の高さを回りに知らしめることができたレースだったと思います。今後がまた楽しみです。今回もたくさんの応援をいただきました。ありがとうございます。

堀尾勇治チーフメカニック

浮き沈みの激しいレースウイークになってしまいました。高橋巧は事前テストからいい準備ができていたので、それをレースでしっかりと発揮してくれてました。浦本修充もテストから好調だったので、レースまでそれを維持させたかったのですが、調子がよかった分、いけるだろうという我々の読みが油断を生んでしまったのかもしれません。亀谷はやっとセットアップの方向性が見えてきましたので、これをさらに進め行きたいと思います。水野 涼は常に自己ベストを更新し、非常に前向きなレースをしてくれました。少しマシントラブルが出てしまったのですが、それも本人のレベルアップがあってのものだと感じています。チームサイドでいいバックアップをし、彼の走りをさらにレベルアップさせていきたいと考えています。

高橋巧選手 JSB1000

テストからアベレージがよかったので、決勝ではスタートミスをしましたが、とにかく落ち着いていこうと頭を切り換えて走りました。残り3周で行こうと考え、それがうまく結果につながりました。

亀谷長純選手 ST600

だいぶマシンのセットアップも進み、レースはいい手応えを感じながら走っていたのですが、オレンジボールを出されてしまい、そこでレースを終えざるを得ませんでした。レース終盤にはさらにペースを上げられそうだったので残念です。

浦本修充選手 J-GP2

自分ではそれほど激しくプッシュしていたいわけではなかったのですが、それまで一度も出ていないフロントの切れ込みが突然起き、自分としては転んだと思ったのですが幸いなことにそうならずにコースに戻ることができました。走りのリズムもずっと良いですし、この好調さを維持して走り続けます。

水野涼選手 J-GP2

メカニックにいろいろアイデアを出してもらい、それを自分なりに消化していくテスト、レースウイークの流れだったのですが、すべてがとても良い勉強になりました。2レース続けての3位は悔しいですが、勝利も十分に見えてきましたので、早くそこにたどり着けるようトライしていきたいと思います。

JSB1000高橋選手

J-GP3水野選手3位

J-GP2浦本選手

J-GP2亀谷選手

高橋選手優勝