MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第2戦 in オートポリス

開催日
2014年4月26日(土)〜27日(日)
開催サーキット
オートポリス
天候(決勝)
晴-路面状況:ドライ
出場クラス
JSB1000/J-GP2/J-GP3
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充/水野涼
予選結果
高橋巧:2位/亀谷長純:12位/浦本修充:4位/水野涼:10位
決勝結果
高橋巧:1位/亀谷長純:12位/浦本修充:6位/水野涼:4位

レース結果

今季の第1戦は2&4スタイルで二輪はJSB1000クラスのみだったため、第2戦で初めて全クラスが集まっての全日本となり、改めての開幕戦という雰囲気でレースウイークはスタートした。九州大分県にあるオートポリスサーキットは、武蔵精密工業グループの九州武蔵精密が近くにあることもあり、鈴鹿に続くホームコース的位置付けとなる。  MuSASHi RTハルク・プロは今回のレースに、JSB1000クラス高橋 巧、J-GP2クラスの浦本修充に加えて亀谷長純が、J-GP3クラスには15歳の若手ライダー水野 涼を起用。4名のライダーで戦うこととなった。  1週間前の事前テストには高橋 巧が参加。優勝こそできなかったものの、最後までトップ争いに加わったその好調さを維持したままレースウイーク入りした。また水野は今年、若手育成プロジェクトとして新たにスタートしたアジア・タレント・カップのシリーズに参加。既に海外で1レースを終え、今回のレースを迎えることとなっていた。  全クラス開催は初ということで、通常は金曜からスタートするレーススケジュールだが今回は木曜日にも走行時間が設定されたことから、チームは水曜日にサーキット入り。準備を進めることとなった。 

JSB1000

事前テストから良いリズムで走ることができている高橋は、木曜、金曜日の走行も順調にこなし、金曜日はトップタイムをマークできた。チームは目の前の戦いはもちろんだが、今季のもう一つのメインレースである鈴鹿8耐に向けての準備も進めなけばならない。耐久マシンのセットアップ時間も取りながら、第2戦決勝へ向けたマシンセッティング出しも行っていた。  そうした多くのタスクを抱えながらも高橋は課せられた仕事を着実にこなし、タイム出しも行っている。非常に高いレベルで走行を進めることができていた。  土曜日のノックアウト方式予選Q1を高橋は2番手でクリア。Q2でのさらなるタイムアップに期待がかかった。結局、上位4名がコースレコードをマークするハイレベルなQ2セッションとなり、高橋は1分48秒327をマークして2番手から決勝をスタートすることとなった。ロングランもできており、マシンの仕上がりは良い。チームは大きな期待を持って決勝へ臨むこととなった。  決勝日朝はどんよりとした曇り空となり、風も強い。前日の予選の気温は19度だったが、朝のウォームアップ走行時は16度。肌寒さを感じるこのコンディションは、レースへの影響が少し懸念された。通常であれば時間の経過と共に気温は上がるが、この日は逆に下がってしまい、結果として前日より6度も低い13度の中でレースは行われることとなった。  スタートが一つの課題となっている高橋は、慎重にスタートをしたはずだったのだがこれまでにないほどフロントを高く上げてしまい、大きく順位を落として1コーナーをクリアした。1周目の順位は8位。しかしテストから好タイムを安定して刻んでいたことが高橋の自信となっており、着実に順位を上げてく。2周目5位、4周目4位、9周目には2位まで上がり、トップの背後に迫る。11周目、ついにトップに立つと、ここで一気にペースアップ。少し離れたところで2位争いが熾烈になり、このことが高橋にとって幸いし、その差は徐々に開いていく。結局、2位に3秒差を付けて優勝。2012年第2戦以来、2年ぶりの勝利となった。

J-GP2

昨年までST600クラスを走っていた亀谷が今季はJ-GP2クラスにスイッチ。しかもオリジナルのNTS製NH6フレームを導入したマシンでの参戦となる。シェイクダウンは3月末のツインリンクもてぎで二日間行ったが、このときは1日ドライで1日ウエット。レースへ向けたセットアップはこのレースウイークから、という状態だった。一方の浦本は2年間乗り続けたHP6で三年目の参戦となる。  昨年最終戦を優勝という形で締めくくった浦本は、そのいい走りのリズムを維持したまま、このレースウイーク入りすることができていた。Moto2という世界トップレベルを走るマシンのこのクラスへの参入もあり、かなりのレベルアップが図られそうなこのクラスだが、そのなかでも浦本の走りは際だったものがあり、今後のさらなる成長に大きな期待がかかる。  予選は浦本が4番手、亀谷は12番手となった。  決勝がスタート。まずまずのスタートを切った浦本はオープニングラップを4位でクリアする。一方の亀谷はやや出遅れ、この周は13位。トップ2台が抜け出して逃げ出そうとする状況の中、早く3位のマシンを抜いてトップを追いかけたい浦本だったが、なかなか抜くことができない。後ろからスタートでミスした1台が追い上げ、一気に3位に上がったタイミングで浦本も抜くのに手間取っていたマシンをパス。二人でトップグループを追いかける。  トップ2台が1分52秒台でラップするのに対し、前をふさがれたために一時は53秒台ラップとなってしまった浦本だが、これを追うマシンが前に1台いることもあり、再びペースアップして52秒台へ入れる。9周目にはこのレースのファステストラップとなる1分52秒340をマークしてトップグループを追走する。しかし11周目の最終コーナーで、浦本の前を走るマシンがハイサイドで転倒。マシンが浦本の目の前を横切ったことから、間一髪でこれを避けた。このため、1秒8まで詰まっていたトップとの差が再び2秒8まで広がってしまう。  それでもトップを追いかける浦本は、15周目にトップグループを上回る1分52秒371をマークしてその差を詰めたが、第2ヘアピン入り口で痛恨の転倒。幸いにもライダー、マシン共に大きな損傷はなかったことからすぐにマシンを起こしてスタート。6位チェッカーとなった。  マシンのセットアップに苦労する亀谷は思うようにマシンをコントロールすることができず、12位でゴールとなった。

J-GP3

期待されて臨んだアジア・タレント・カップ第1戦では、トップに出ながらうまくレースを組み立てられずに表彰台に上がることすらも果たせなかった水野。帰国してからチームスタッフに多くのアドバイスを受け、今回のレースウイークも自身のスキルアップを図るため、走行後にはメカニックと長いミーティングを重ねていた。  金曜日午後の走行では総合2番手のタイムをマークするところまで進み、予選への期待が高まった。結局、周囲がさらにタイムアップを図る中で大きくタイムを上げることはできず、スタートは10番手からとなった。  決勝はまずまずのスタートを切り、オープニングラップを10位で通過。トップグループが3台、水野が加わるセカンドグループも複数台でのバトルとなっている。予選で出せなかった1分57秒台をこの集団でのバトルの中で水野は連続してマーク。メカニックが決勝中のバトルで上がるであろうラップタイムを想定してセットアップしたマシンが、水野の走りをしっかりと支える形となっていた。  8周目にセカンドグループの前に水野は出て、トップグループを上回る1分57秒台でラップ。一時は2秒5まで広がっていたその差を詰めていく。  11周目、ついにトップグループに追い付き、そのままの勢いで3位へ浮上する。しかし同じような展開でアジアタレントカップでは前に出たあと抜き返され、その後はなす術がなく負けてしまうという経験をしていることから、水野はここで冷静にこのグループの動きを見ながら自分のアクションを考えていた。しかし冷静に状況を確認すると、追い上げの時にマシンの良い状態は使ってしまい、既に消耗してしまっていた。何とか表彰台に上がろうとチャレンジするが、再び3位に上がることはできず、表彰台目前の4位でチェッカーとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

J-GP3クラスの水野 涼は、MuSAShi RTハルク・プロのライダーとして今回が初のレースとなりました。金曜日のART合同テストではいい走りができていたのですが予選でそれが見せられず、少し心配しました。決勝前に最終セッティングを施し、それが功を奏したようでレースでは自分のペースで走ることができ、かつ自己ベストもその中で更新しながらトップグループを追いかけることができました。でもスタート位置の悪さが最後まで響き、表彰台に上ることはできませんでした。今後の課題としては予選でもっと前にいることができるようポジション取りをすることで、それができれば表彰台も間違いなく見えてくるはずです。今後に期待します。
 J-GP2クラスの浦本修充は、序盤に少しポジションを落とし、ペースの遅いライダーを抜くのに手間取っている間にトップ2台が逃げていき、やっと前に出たと思ったら今度は後ろから追い上げてきたライダーに抜かれてしまい、そのライダーが目の前で転倒してこれを避けなければならない状況になったりと、思うようなレース展開に持ち込むことができませんでした。最終的には転倒してしまったのですが、それでもすぐに再スタートをし、6位入賞したその勝負を諦めない姿勢は評価したいと思いますし、今後に期待したいと思います。亀谷長純は今年から投入した新しい車体であるNTS製NH6の実質上のシェイクダウンという状態で、なかなか仕上げに苦労しました。ただ、レースへ向けていいセットアップができたと思って期待したのですが、決勝では原因不明のエンジントラブルが発生してしまい、ペースを上げられずに不本意な結果となってしまいました。今後はさらにこのマシンの仕上げを進め、ポテンシャルは相当あると思うのでもっと上に行けるよう頑張ります。
 JSB1000クラスの高橋 巧は、一昨年の第2戦以来となる久々の優勝となりました。レースはスタートがかつてないほど最悪の展開で、一時は10位近くまで落ち込んで少し心配しましたが、このレースウイークはコンスタントに高いレベルでアベレージを刻めていたことからライバルに対して確実にアドバンテージがあったので、それがレースでも発揮できたと思います。今後もこういうレースを続けていけば、勝ち数も増えるし結果として念願のチャンピオン獲得も見えてくるはずです。レースとしてすごく内容の濃い、良い決勝だったと思います。応援、ありがとうございました。

堀尾勇治チーフメカニック

愛知県豊橋にある武蔵精密工業にとっての鈴鹿、そして九州武蔵精密のある熊本県のそばにあるこのオートポリスでのレースは我々にとってとても大切で、しかもホームコースだから絶対に負けられない、という特別な気持ちでいつも臨んでいます。JSB1000クラスで、たくさん応援に来ていただいた皆さんに勝利をお見せすることができて、それが何よりも嬉しく思います。本当にありがとうございました。

高橋巧選手 JSB1000

最悪のスタートで自分でもビックリしてしまいましたが、レースウイーク通じていいペースで走ることができていたので、とにかく集中して自分の走りをすることだけ考えました。久々でこの前何時勝ったのか自分でも忘れるくらいですが、これを続けられるようさらに努力します。

亀谷長純選手 J-GP2

マシンのテストが十分にできていないので、マシンの持っているパフォーマンスをまだぜんぜん発揮させることができていません。まずはしっかりとマシンを造り上げ、トップ争いできるようにしたいと思います。

浦本修充選手 J-GP2

転倒してしまったので何も言い訳することはありませんが、ペース的にはいいリズムで走れましたし、トップグループを上回るタイムで周回できていたようなので、そこは評価したいと思います。ですがまだまだ課題が多いので、それを一つ一つしっかりとこなせるようにします。

水野涼選手 J-GP3

追い上げてトップグループに追い付いた時、とにかく冷静に状況を判断するようにしました。やはり予選までにしっかりマシンを仕上げていかないと、トップ争いになったときに余力がなくなってしまうので、そこは本当に大切だということを痛感しました。今回はきちんとトップ争いの中に加われたので、そこは評価したいと思います。ミニバイク時代のライバルが今回のレースで優勝したので、次は負けないように頑張ります。

JSB1000高橋選手

J-GP3水野選手

J-GP2亀谷選手

J-GP2浦本選手

高橋選手優勝