MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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鈴鹿8時間耐久ロードレース

開催日
2013年7月25日(木)〜28日(日)
開催サーキット
鈴鹿サーキット
天候(決勝)
晴れ/雨-路面状況:ドライ/ウェット
ライダー
高橋巧/L・ハスラム/M・ファン・デル・マーク
予選結果
3位
決勝結果
1位

レース結果

 木曜のフリー走行から三人ともに高いアベレージでラップすることができ、マシンも順調に仕上がっていく。特に二十歳の若いマイケルは走行毎にタイムを伸ばしていき、初めての1000ccマシンで初の耐久レースと本人にとって初のチャレンジばかりという状況の中、見事な成長を見せる。心配なのがレオンで、ワールドスパーバイクのレースで大転倒を喫し、全治5ヶ月のケガを負ってからまだ3ヶ月しか経っていないことため、ライディングに若干の不安を抱える。ところが走り出すとそのケガを感じさせない高いアベレージタイムで走り、チームサイドが抱いていた不安を一蹴する。
 金曜の公式予選では第1ライダーの高橋が2分8秒366、レオンが2分8秒472、マイケルが2分7秒879と非常に近いタイムを記録。総合4番手に付け、トップ10トライアルに進出した。
 土曜の午後に行われる予定だったトップ10トライアルは、雨により急遽上位10チームが同時に走行する計時予選に変更された。このセッションで新品タイヤを使ってのタイム出し、中古タイヤでレースのアベレージラップ確認などの作業を行い、その中でマイケルが2分7秒260をマーク。これがチームのファステストラップとなった。この結果、スターティングリッドは3番手を獲得。好位置から決勝をスタートすることになった。
 ライバルチームが決勝朝のウォームアップ走行でトラブルや転倒などが起きる中、ゼッケン634のマシンは安定して三人のライダーによってラップを重ねる。さらにチームは決勝中のピットインで投入する7本のタイヤを1周だけ使ってタイヤ表面の皮をむく作業を敢行。決勝へ向けた準備を重ねていく。
 いよいよレースがスタート。スタートライダーを務める高橋はまずまずのスタートを切り、トップグループに加わる。急に上がった気温の影響もあり、トップグループのタイムは2分10秒台と今一つ上がらない。そんな中で様子を見ていた高橋だったが、周遅れが出始めたタイミングでスパート。トップに出るとタイムも2分9秒台に上げ、一気に後続との差を付ける。
 そのままトップで第2スティントを担当するレオンにマシンを託す。これを受けたレオンは焦らず、自分の担当パートを安定したペースでラップ。2位に順位は落としたが、十分トップを射程距離に捉えた状態で第3スティントを担当するマイケルにマシンを渡す。
 初の鈴鹿8耐を戦うマイケルにとって次々と現れる周回遅れ、急に上がった気温など懸念される材料は多かったが、チームのファステストラップをマークするペースで周回を重ねて見せる。そうしたマイケルのハイペースライディングが、トップを走るチームにプレッシャーを与えたのか、デグナー2個目で転倒。これでマイケルがトップに出る。ところがそのマイケルに、以前の転倒で痛めたケガの影響が出始た。左手がしびれだしたことから、予定した周回数をこなせずにピットイン。以後、レースは高橋とレオンの二人で戦わなければならなくなった。チームの予定ではもっとも走行数を減らすはずだったレオンだが、この厳しい状況に応え、3スティントをこなす。安定したラップを刻む二人の走りにより、ラスト30分となったタイミングで2位との差は1ラップに広がっていた。
 ところがここで雨が降り出してきた。上位を追いかけるチームの中ではピットインし、レインタイヤに交換してラップタイムを上げるマシンも出てきたが、高橋は重ねてきた経験をフルに生かし、ミスのない丁寧なライディングを続けていく。無事、高橋は自身4スティント目となるこの厳しいパートを走り抜き、トップでチェッカー。チームに鈴鹿8耐2勝目をプレゼントした。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 今回のレースはハルク・プロとして初となる外国人ライダーとのジョイントとなり、不安は正直ありました。鈴鹿8耐というレースはチームクルー、ライダーすべてのコミュニケーションが取りきれないと、失敗やトラブルに即つながるからです。ですが二人の外国人ライダーはレースに対してとても真摯で、我々に対しても敬意を持って接してくれ、事前に懸念していたようなことはまったくの杞憂に終わりました。チームの作戦を100%受け入れてくれ、それが勝利につながったと確信しています。マイケルは古傷からくる腕のしびれが決勝中に出てしまい、そのためにチームはその後の周回数設定に変更を強いられましたが、レースウイーク中に大きな成長を見せ、その伸び代には大きな可能性を感じましたし、彼の走りが他の二人に与えた影響はかなりのものだったはずです。レオンは今季序盤にレースで負ったケガが完治していないことから本来のライディングをすることは厳しい状況でした。ですがそれを一切に見せず、レースではいちばん周回数を減らす予定だったのですがマイケルのアクシデントから3スティント走行してもらうことになりました。それでも置かれた状況の中でベストを尽くすそのプロフェッショナルな姿勢には、親子二代で世界選手権レベルのレースを戦う資質の高さを垣間見せられた思いがします。高橋巧はチームが期待したことに見事に応える走りをしてくれ、担当パート変更をして結果的に4スティント乗り、特に最後は雨中の走行とミスのできない厳しい状況での走りとなりましたが、見事それを切り抜けてくれました。我々がこれまでに経験したことのない組み合わせでレースを戦ったのですがうまくこれをこなすことができて今後、ハルク・プロのレースに幅を持たせることができた、大きな意義のあるレースとなりました。武蔵精密工業のスタッフもいい仕事をしてくれ、また大応援団が駆けつけてくれて、とても強力なバップアップをしていただきました。本当にありがとうございました。また来年もぜひこの三人で、8耐2連覇にチャレンジしたいと思います。

堀尾勇治 8耐チーフマネージャー

 正直、事前テストがうまくいっているとは言えないような状況で、さらにはチームとして初めて外国人ライダーを迎い入れて8耐を戦うということで懸念材料は山積みでした。ですがチームサイドとして事前に準備したことがレースウイークに入ってすべてをうまく運んでくれて、三人のアベレージタイムも高いレベルで安定。アクシデントも起きなかったので決勝用として温存したマシンを予定通り、いちばんよい状態でレースに投入することができました。途中、マイケルのアクシデントがあったり、また事前に十分練習を重ねてきたピット作業でミスが出たり、その部分では不本意でしたがそれでもレース中、担当メカニックとミーティングをしてしっかりと修正することができ、そうしたチーム全体のパフォーマンスが勝利につながったのだと思います。二人のライダーが我々チームに対して絶対的な信頼を置いてくれ、作戦も100%理解し、その遂行に全力で臨んでくれたことは本当にありがたかったですし、強力な武器となりました。レオンはケガを早く治し、この経験を生かしてワールドスーパーバイクで活躍して欲しいですし、マイケルも今回のパフォーマンスを600のレースで見せ、来年、さらにたくましくなって鈴鹿に戻ってきてくれることを期待します。来年もまた、この三人で戦いたいですね。もっと強いレースができると思います。

高橋巧選手

 体力的には自分の3回目のスティントが厳しくてタイムが上げられず、苦しい走りとなりました。雨となった最後のスティントはとにかくミスを出さないよう、コンディションを冷静に見極めることだけに集中しました。前回の優勝は足を引っ張ってばかりだったのですが今回は多少、チームに貢献できたかなって思うので嬉しいです。

レオン・ハスラム選手

 ケガをしていて8耐を戦うことはとても厳しいということは認識していましたが、世界レベルのチームでホンダの素晴らしいマシンを走らせる機会なので、話があったときに出たいと即答しました。テストからチームに合流し、このレースウイークも一緒に戦いましたがすべてに渡って素晴らしく、レースに集中することができました。こんな素晴らしい環境でレースが戦えるチャンスを与えてくれたホンダ、ハルク・プロ、武蔵精密工業を始めとしたたくさんのスポンサーの皆さんに感謝します。また来年もぜひ鈴鹿に戻り、このチームで2連覇に挑戦したいと思います。

マイケル・ファン・デル・マーク選手

 初めての鈴鹿8耐、初めての1000ccマシンということで不安はありましたが、最初に声をかけてくれたHRCのスタッフが『いいチームでマシンもいい状態だから、持っている力をフルに発揮させられるはず。自信を持ってチャレンジしてみるべき』とアドバイスしてくれたので、参戦を決めました。実際にテストに合流して、チームスタッフ全員が素晴らしい仕事をしており、マシンも走行毎に確実に進化していくので自分は速く走る、ということだけに集中することができました。決勝では以前痛めたケガの影響で1回しか走行できず、チームに迷惑をかけてしまったのは本当に申し訳なく思います。この経験を生かし、来年はさらに成長してハルク・プロに戻ってきたいと思います。

第36回鈴鹿8耐

決勝がスタート

高橋巧選手

L・ハスラム選手

M・ファン・デル・マーク選手

チーム2回目の優勝!