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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 最終戦 in 鈴鹿

開催日
2013年11月2日(土)〜3日(日)
開催サーキット
鈴鹿サーキット
天候(決勝)
曇り-路面状況:ドライ
出場クラス
JSB1000/ST600/J-GP2
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充
予選結果
高橋巧:(R1)4位、(R2)2位/亀谷長純:12位/浦本修充:3位
決勝結果
高橋巧:(R1)5位、(R2)4位/亀谷長純:12位/浦本修充:1位

レース結果

 第8戦岡山大会から約1ヶ月のインターバルをはさみ、いよいよ今シーズン最終戦MFJ-GPを迎えることとなった。今回の最終戦をMuSASHi RTハルク・プロの高橋 巧はポイントランキングトップの立場で臨む。今季はまだ勝利こそないものの、安定して上位を走り続けたことにより、このリザルトになっている。特に高橋の参戦するJSB1000クラスはこの最終戦で2回レースが行われ、しかもランキング2位以下との差が僅か2点と僅差のため、是非とも二つ勝ち、タイトル獲得を果たしたいところだ。最終戦MFJ-GPにはMuSASHi RTハルク・プロから、JSB1000クラスに高橋、J-GP2クラスに浦本修充、ST600クラスに亀谷長純とレギュラーメンバーで参戦した。事前テストは行われなかったため、通常は金曜日からスタートするレーススケジュールが今回に限って木曜から走行開始とされた。

JSB1000

 木曜日の走り出しから好調で、順調にタイムを詰めていく高橋。金曜日のART合同走行では2分7秒283で総合2番手に付け、翌日の予選に向けて確かな手応えを感じていた。土曜日の予選はノックアウト方式で、最初のセッションがレース1、2回目のセッションがレース2、それぞれのスターティンググリッドとなる。高橋は最初のセッションを2分7秒113で4番手、2回目のセッションが2分6秒661で2番に付けた。一発タイムこそライバルに譲ったが、ハイペースで連続走行ができており、非常に良い状態で予選を終えることができた。
 いよいよ決勝日。朝のウォームアップ走行で2回の決勝へ向けたタイヤの皮むきもしっかりとこなし、タイムも2分7秒335で2番手。決勝への期待が高まる。そうした中でレース1がスタート。高橋はまずまずのスタートを切り、上位グループの中に加わり、前に出るタイミングをうかがう。2周目に2分7秒0、4周目に2分6秒853とスパートをかけ、3位に上がる。さらに前に出ようとする高橋だったが、このあたりから若干のマイナートラブルがマシンに発生してしまい、さらにタイムを上げていけない。6周目には8秒台までタイムを落としてしまい、トップグループの最後尾となる5位でラップを重ね、そのままフィニッシュとなった。これでランキングは3位に後退。しかしトップまで僅か4点差であり、レース2で勝利すれば一気に逆転も可能だ。
 レース2はこの日のスケジュールの中の一番最後に行われる。天気予報では夜になってから雨になると伝えられていたが、雨雲の動きは予報よりやや速くなったようで、空を覆う雲が厚くなってきた中でスタートを切ることとなった。ややスタートで出遅れてしまった高橋はオープニングラップを5位で通過。しかしレース1でも6秒台を入れており、速さには自信を持っていることから焦らずに1台ずつパスし、2周目4位、3周目にはレースのファステストラップとなる2分7秒934をマークして3位とポジションを上げていく。さらに4周目にはトップを走る中須賀克行選手を捉え、ヘアピンでインを突いて前に出る。
 しかし5周目あたりから大粒の雨がパラパラと不規則に降り出し、ライダーを惑わせる。5周目のオーダーは秋吉耕佑選手、中須賀選手、高橋、柳川明選手。大粒の雨のため、コースサイドではレッドクロスの旗がオフィシャルによって振られている。こうした予断を許さない状況のため、トップを走る秋吉選手が手を挙げ、後ろに付いていた中須賀選手、高橋、柳川選手もペースダウンした。しかしオフィシャルからライダーのこれらのアクションに対して何の反応も示されず、レースは続行する。上位グループのライダーがペースを落とした中、6番手を走っていた渡辺一樹選手がペースを落とさずに一気にトップに立つ。結局レースは止まることなくそのまま続行。雨はそれ以上降らなかったが、いったん切らした集中力を再び取り戻すことはトップライダーでも難しい。それでも何とかペースを取り戻した高橋だったが4位でゴール。シリーズランキングは3位となった。

ST600

 ベテラン亀谷長純を擁し、このクラスのトップチームとしての座を取り戻すべくチャレンジした2013シーズンだったが、非常に苦戦を強いられ最上位が6位という厳しい状況となっている。何とかその状況を打開しようと、このレースウイーク中も木曜、金曜、そして土曜の予選とすべてのセッションでマシンセッティングを大きく振り、打開策を探るのだが明確な答が導き出せない。そうした中で得たスターティングリッドは12番手と、非常に厳しい位置だった。
 決勝朝のウォームアップ走行後も長いミーティングが行われ、決勝へ向けたセッティングをどうするか様々な角度から検討された。決勝がスタート。スタートで少しで遅れてしまい、オープニングラップは14位で通過。予選並みの2分14秒中盤で走る亀谷だが、なかなかポジションを上げるところまでには至らない。9周目に12位まで上がったが、そのままゴールとなった。

J-GP2

 このクラスにスイッチして初レースとなる昨年の開幕戦で全日本優勝を遂げた浦本修充。しかしその後は表彰台に上がるものの、なかなか勝利を挙げられずにいる。このクラス2年目の今年は開幕戦から4戦連続の5位。オートポリスで2位表彰台を得たものの、続く岡山国際ではまたしても5位と、本来の速さを発揮できないジレンマに陥っている。何とかその状況を打開しようと、今回のレースウイークでは車載カメラを搭載。監督、チーフエンジニア、担当メカニック全員でデータロガーと併せて不調の原因を探った。そうした作業の中で根本的な問題が発見され、その改善に浦本は取り組んだ。これが見事に功を奏し、木曜、金曜と日を追う毎に走りの鋭さ、タイムが向上していく。金曜日のART合同テストでは2分12秒126で総合3番手に付けた。期待された翌日の予選では2分11秒691をマーク。結果的にこの11秒台で4ラップすることに成功しており、非常に安定したペースが刻めていた。
 決勝がスタート。自信を持って臨んだ浦本の気持ちが走りに明確に現れており、スタートこそやや出遅れてオープニングラップを5位で通過したが、次々と前車をパスしていく。ところが2周目の130R手前のシフトダウンでギアが抜けてしまい、この影響でエンジンがストップ。コースアウトして難を逃れたが、順位を大きく落としてしまう。それでも2分11秒台というタイムをマークしている自信が浦本を後押しし、再びペースアップ。6周目には2分11秒979と決勝でも11秒台を入れ、トップグループを追走する。しかしレース中盤、またしてもオーバーラン。多少気持ちが萎えたという浦本だったが、それでもサインボードで残り周回数がまだ十分にあると確認したことで再びペースアップ。10周目3位、11周目にはトップに。すぐに抜き返されたが、スピードで負けていない浦本は再びアタック。13周目にトップに立つとそのまま後ろを押さえ、ラストラップには再び2分11秒935のタイムをマークし約1年半ぶり、自身全日本2勝目を挙げた。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 ST600クラスは今年のうちのチームのレースを象徴するような厳しい戦いとなりました。他メーカーのタイヤを履いているチームが少しずつグレードアップしていく中で、我々のマシンはその部分でどうしても差を詰めることができませんでした。いろいろとトライしたのですが、結果としてこういうリザルトになってしまいました。タイヤだけの問題ではないのですが、来年はアプローチの仕方を考え、再びこのST600の名門チームとして復活したいと思います。
 J-GP2クラスは久々に面白いレースとなり、我々も最高に興奮しました。ああいうレースをすることによって観客の皆さんも喜んでくれるでしょうし、それが結果として観客増につながると思います。浦本は元々実力あるライダーですがここのところ、それが結果につながりませんでした。やっと本来の走りを見せてくれたので、今後はこれが維持できるよう本人に努力を期待しますし、我々もそれが継続できるようバックアップしていきます。
 JSB1000クラスはランキングトップで最終戦を迎えることになりました。高橋本人もかなり気合いを入れてレースに臨み、勝ちをねらっていました。第1レースは少しトラブルもあり、思うような結果が残せませんでした。すべてを賭けた第2レースは、結果として気分的に良くないレース内容となってしまいました。巧自身は精一杯頑張りましたし、我々もできる限りの手は尽くしましたので悔いはありません。来年に向け、いろいろな面でのアップグレードを図り、さらなるパフォーマンスアップをしたいと考えています。今年も1年、応援ありがとうございました。

堀尾勇治チーフメカニック

 ST600は、いろいろと手を尽くしたのですが最後まで亀谷長純に気持ち良く走れる状態を作ってあげることはできませんでした。いろんな条件があって前に進めることが結果としてできず、ベストの条件が揃っても最高位6位、これが現実で、本当に厳しいシーズンでした。
 J-GP2浦本修充は、彼の持っている速さを発揮でない原因は何なのか、車載カメラとデータロガーを併用し、監督や担当メカニックと分析した結果、大きな問題点を発見し、その改善を浦本に取り組んでもらいました。浦本自身もそれに対応する走りを見せ、走行毎にタイムを上げ、同時に本来の自信も徐々に取り戻して行けたのは大きな収穫でした。今回の走りを忘れないようこの後、テストも予定しているのでそこでしっかり再現できるよう努力をしてほしいと思います。
 JSB1000クラスの高橋巧はポイントリーダーで最終戦を迎えたわけですが、今季はまだ勝ち星がなく、残り2レースをこの鈴鹿で戦う上で自分たちのストロングポイントはどこにあるのか、勝ってない故に明確にできていませんでした。鈴鹿8耐では勝っていますから、鈴鹿のコースとの相性は良いはずですが、結果として自分たちの武器を磨き上げるところまでには至れませんでした。巧のシーズンとして、鈴鹿8耐は勝ちましたが、さらにJSBタイトルという称号を付けてやることができなかったのは残念です。最終戦ですが、不完全燃焼なレースとなってしまいました。

高橋巧選手 JSB1000

 とにかくライバルは中須賀さんと照準を定め、中須賀さんに勝つことだけを考えていました。レース1、レース2ともに良いリズムで走ることができ、中須賀さんの前に出られる手応えも感じていたのですが、レース1はちょっとしたトラブルで、第2レースは雨でみんながペースダウンする中、一人だけ状況判断をしないライダーが出てしまい、そのままレースは続行され、まったく納得のいかない形で終わってしまいました。だれも転びたくないし、大粒の雨が落ちてきていてみんながペースを落として様子を見ようとしたのに、まったく理解できません。こんなレースは初めてで言葉がありません。

亀谷長純選手 ST600

 自分の引き出しの中からいろんなものを出して結果につなげようという努力を今シーズン、ずっと続けてきたのですがまったくそれが実を結んでくれない1年となってしまいました。それでもいろんなアイデアを出したりマシンを造ってくれたチームは感謝していますし、これで終わりにはしたくないので、何らかの形でまた一緒に戦って恩返しできればと思います。

浦本修充選手 J-GP2

 レースウイークを通して気持ち良く走れるようになってきていたので決勝はすごく楽しみにしていたのですが、1周目の130Rでギア抜けしてエンジンも止まってしまってコースから飛び出してしまい、出遅れてしまいました。でもまだ十分に残り周回もあるのでガムシャラにトップを追いかけました。初優勝から約1年半かかってしまいましたが、その間もいろんな方に支えていただき、今回の勝利はそのおかげと本当に感じています。これを忘れず、続けていけるようさらに努力します。

最終戦 鈴鹿

JSB1000 高橋選手

ST600 亀谷選手

J-GP2 浦本選手

浦本選手が今期初勝利!