MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第1戦 in もてぎ

開催日
2013年3月30日(土)〜31日(日)
開催サーキット
ツインリンクもてぎ
天候(決勝)
雨-路面状況:ウェット
出場クラス
JSB1000/ST600/J-GP2
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充
予選結果
高橋巧:10位/亀谷長純:8位/浦本修充:3位
決勝結果
高橋巧:2位/亀谷長純:6位/浦本修充:5位

レース結果

 いよいよ2013シーズン開幕となった。
 今季、MuSASHi RT ハルク・プロはJSB1000クラスに高橋巧、J-GP2クラスに浦本修充と昨年同様のライダーを起用しつつ、新たにベテランライダー亀谷長純を迎入れてST600クラスの王座奪還をねらうこととなった。2週間前に全日本事前テスト、さらに1週間前にホンダのテストが行われ、2013仕様のマシンを各ライダーとも意欲的に乗り込んだ。さらに今回のレースウイークは開幕戦ということで、木曜日に特別走行がスケジューリングされ、テストすることが出来た。事前テストはいずれも小春日和の暖かいコンディションの中で行うことが出来たが、レースウイークは一転、10度を下回る寒さに見舞われ、この気温への対応に追われることとなった。

JSB1000

 今年からホンダのMotoGPマシン開発の仕事も行うことになり、このシーズンオフには世界トップレベルのマシンで走り込むことができた高橋巧。さらにライディングテクニックを磨こうと、往年の名ライダーであるケニー・ロバーツのアメリカの自宅内にあるダートトラックコースへ出かけてトレーニングもしてきた。
 木曜日の走り出しからフィーリングはよく、寒い気温への対応も順調に行うことが出来た。気温の上がらない金曜日のART合同テストでは1分49秒320のタイムでトップに付けた高橋。土曜日もやはり気温が上がらず、路面温度は20度と超低温の中でノックダウン方式の予選が行われることとなった。Q1で高橋は順調にタイムを伸ばし、1分50秒168のトップタイムでこれをクリア。10台に絞られるQ2セッションへトップタイムで進むこととなった。Q2ではさらにタイムを上げようと狙ったが、タイムを上げたい何台かのマシンが高橋の背後に付けて走行することから、これを嫌ってペースダウン。様子を見てさらにタイムを上げようとした矢先、ペースダウンによってタイヤ温度が下がってしまったことからリアタイヤを大きくスライド出せてしまった。特にツインリンクもてぎは右コーナー中心のレイアウトで左コーナーが少ない。鬼門とも言える左コーナーである3コーナーでハイサイドを起こし転倒。幸いなことにケガはなかったが、スターティンググリッドは10番手と、やや厳しい位置からの決勝となってしまった。
 迎えた決勝は朝から小雨が降り出してしまい、気温も上がらない真冬のコンディション。テストは終始ドライだったことから、今季初のウエットコンディションになってしまったが、高橋は朝のウォームアップセッションで2番手のタイムを出し、この状況への対応も問題ないことを証明して見せた。レースがスタート。高橋はスタートダッシュを決め、さらに周囲を大きく上回るスピードで1コーナーに飛び込み、一気に3、4台を抜き去って上位に。着実に前のマシンをパスし、6周目のS字コーナーで2位に上がる。さらにトップを走るマシンに迫りたいところだったが、この時点でその差は既に大きく離れてしまっており、何とかそれを詰めようとチャレンジしたが、17秒差での2位チェッカーとなった。

ST600

 JSB1000、ST600とホンダCBR-RRを乗り、さらに他メーカーのタイヤ開発も行うというレーシングライダーとして豊富な経験を持つベテラン亀谷長純のチームへの加入は、マイナーチェンジを果たしたCBR600RRの開発、さらにブリヂストンのタイヤ開発という仕事をするMuSASHi RT ハルク・プロにとって大きな力となる。しかしまだ十分なテストが出来ていないチームと亀谷にとって、真冬を思わせるコンディションとなったレースウイークへの気温の対応は頭の痛いものとなった。
 予選は8番手で終了。さらにセットアップを進めたいところだったが、翌日の決勝は雨の予報が出ており、ニューCBR、そしてレインタイヤというパッケージングでのテストはまだ出来ていない。決勝日朝のウォームアップ走行、その後の決勝までの限られた時間の中でウエットの準備をしなければならない。しかも雨の量によっても対応は変わってくることから、予断を許さない決勝日となりそうだった。
 日曜日はやはり朝から小雨がぱらつき、ウエットコンディションで朝のウォームアップ走行を行うこととなった。15分という短い走行時間だったが、それでもマシンの方向性を見いだし、8番手でこの走行を終えた亀谷。ピットに戻ると雨の対応をどうするか、チームは長いミーティングに入ることとなった。肌寒いコンディションの中、決勝がスタート。亀谷は1周目を6位でクリアし、3周目には5位へとポジションアップ。さらに前を狙いところだったが、なかなかここからさらにタイムを上げることが出来ない。それでもレース終盤になってタイムを上げ、ラスト2周でこのレースでの自己ベストをマーク。6位でゴールとなった。

J-GP2

 ニューカマーの参入、さらにライバルたちのマシンの進化など、大きなレベルアップが予想されるこのクラス。そんな中、チームもこのシーズンオフにオリジナルマシンHP6を大幅にモディファイ。昨シーズン、本田監督がかつてのチームメイト中上貴晶のサポートのためにほぼ全戦、グランプリの場へ足を運びセットアップを手伝ってきたが、そこで600ccエンジンを使ったレーシングマシンのあるべき姿に触れてきたことから、そのノウハウをHP6に投入。Moto2マシンにステップアップ出来るライディング技術を学ぶことができるベースマシンとしての進化をさせてきた。
 浦本はこのマシンにテスト序盤は手こずり、なかなか従来のマシンでマークしたタイムを越えることが出来ずにいたが、レースウイークになってそれまで行ってきたトライが徐々に形になり始め、寒いコンディションの中でも1分54秒943のタイムで3番手になることができた。
 決勝は雨。昨年の最終戦も寒いコンディションの中での雨となり、屈辱的な順位でレースを終えた浦本とチームにとって、そのイメージが真っ先に浮かんでしまったが、ここまで進めてきたセットアップを雨に対応させ、朝のウォームアップ走行で確認。よいフィーリングを得られたことから、これをさらに進めたセットアップで決勝を走ることとした。うまいスタートを見せた浦本は1周目を2位でクリア。雨への対応が順調なことを証明して見せた。しかしここからさらにタイムを上げていくことがなかなか出来ない。そのために順位も2周目3位、4周目4位、5周目5位と下がっていく。それでも一時は2分8秒まで落ちたラップタイムを6秒台まで上げ、そこで維持。順位もそのまま5位でフィニッシュとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 ST600クラスに今年はベテランライダーである亀谷長純を迎入れて戦うことになりました。豊富な経験を持つライダーだけに、マシンのセットアップも順調に進んでいましたが、このレースウイークの低温、さらに決勝は雨となり、彼自身、ブリヂストンのレインタイヤを履いたことがないという状況になってしまい、厳しいレースとなってしまいました。結果的にめざましいものはありませんでしたが、そうした状況の中で彼が見せた走りは今後のレースに対して大きなモチベーションを与えてくれるものでした。今後に期待したいと思います。
 J-GP2クラスの浦本修充は、昨年の最終戦以来のウエットレースということで、本人はいいイメージを持ちにくい状況だったと思います。それでも新たなトライを今季はすることで順位こそ5位でしたが、ライバルたちと同等のレースができたという事実は、やっと彼のスタートラインに立てたという印象です。まだまだ成長しなければならないところは多々ありますが、さらに切磋琢磨し、レベルを上げていけるように我々も全力でサポートしていきたいと思います。
 JSB1000の高橋巧は昨日の転倒がすべてでした。決勝は雨なのでウォームアップ走行からしっかり飛ばしてタイヤを暖めて、1周目から積極的にペースを上げられるように指示をして送り出しました。実際にそれを巧は遂行し、スタート直後の1コーナーから2コーナーにかけて複数台を一気に抜いて順位を上げましたがその後、前車を抜くのに手間取ってしまい、2位に上がったときにはトップの秋吉耕佑選手から大きく離されてしまっていました。ゴール時のタイム差は17秒ほどありましたが、その内の10秒強は前車を抜くのにロスした時間であり、ペース的には秋吉選手と遜色ありませんでした。スタート位置がレース結果にどんな影響を及ぼすか、本人もよく理解できたと思うので、次のレースではこうしたことがないよう慎重に走り、勝てるように準備します。今回もたくさんの応援をいただきありがとうございました。

堀尾勇治チーフメカニック

 ST600の亀谷長純は初めて履くタイヤで決勝となり、苦戦を強いられてしまいました。我々のチームにとって苦しい状況は続いていますが、それでも徐々に進むべき方向は見えてきています。さらにそれを進め、勝てるレベルにまで引き上げていきたいと思います。J-GP2の浦本修充はこのクラス2年目ということで、さらなるレベルアップを果たせるよう、我々もHP6をフルモデルチェンジさせ、新たなトライをいくつも投入しました。去年、監督が中上貴晶のサポートのためにGPへ何度も足を運び、そこで得たノウハウをHP6に投入。浦本が将来、Moto2クラスへステップアップ出来るように、その下地作りが出来るような方向でマシンを造っています。当初は戸惑いを見せていましたが、徐々にマシンへの対応も出来ていたので、今日がドライであればまた違ったレースが見せられたのではないかと思いますが、それでもウエットの中、5位でチェッカーを受けられたのは評価したいと思います。JSB1000の高橋巧は、昨日の予選がすべてでした。予選位置がどれだけ大事か、それを学ぶことが出来たレースでした。そのあたりはしっかりと反省をし、次は勝てるように準備したいと思います。

高橋巧選手 JSB1000

 スタート位置が悪かったので、とにかく早いタイミングで前に出られるように集中してレースに臨みました。順位を上げるのに少し手間取りましたが、それでも2位まで上がることが出来たので、さらに前を追いかけようと思ったのですが差は既に大きくなっていました。絶対に転んでノーポイントになるようなレースはしたくなかったので、そこでポジション維持に切り替えました。次は去年勝っている鈴鹿2&4なので、そこで勝てるように頑張ります。

亀谷長純選手 ST600

 レースウイークはとても寒く、テストで経験したことがないようなコンディションだったのでその対応に終始追いかけられた感じです。決勝は初めて履くレインタイヤだったので厳しかったですが、もうベテランで長くレースをしているわけですから、そのあたりもしっかりと対応出来て当然なのですが、そういう意味で自分の不甲斐なさを反省しています。こうしたことがないようしっかりと準備をし、次はいい報告が出来るよう頑張ります。

浦本修充選手 J-GP2

 決勝は悔しいです。まだまだ新しいマシンも完全に自分の思い通りにコントロール出来るレベルではありませんが、いい感触で走ることができ、今日の自分のレベルでやれることはやったという感じではあるのですが、まだウエットは出来ないことがたくさんあるので、できればよい状態で走ることができていたドライのレースがしたかったです。残念ですが気持ちを切り替え、次のレースは勝ってタイトルが獲れるよう頑張ります。

2013シーズン開幕

JSB1000高橋巧選手

2位表彰台の高橋選手

ST600亀谷長純選手

J-GP2浦本修充選手