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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第8戦 in 岡山

開催日
2012年10月6日(土)〜7日(日)
開催サーキット
岡山国際サーキット
天候
決勝 晴れ-路面状況:ドライ
出場クラス
ST600/J-GP2/J-GP3
ライダー
小林龍太/浦本修充/徳留真紀
予選結果
小林龍太:14位/浦本修充:4位/徳留真紀:14位
決勝結果
小林龍太:9位/浦本修充:3位/徳留真紀:7位

レース結果

 いよいよシーズンも大詰め。今季のレースも残り2戦となった。全日本第8戦が開催されるのは岡山県岡山国際サーキット。このコースも山間に作られ、全長3.7kmの中に2本のストレートと13個のコーナーがレイアウトされている。路面自体のグリップは低めで、さらには毎年秋にレースが行われることから、朝晩と昼間の温度差が大きく、マシンのセッティングバランスを取るのが難しい。コース的にもコーナーの立ち上がりが閉じているコーナーがほとんどでしかもコーナー自体が連続することから、ライダーはアクセルを全開にして攻め込んでいく箇所が少なく、どちらかというと我慢しながら1周をまとめ上げるという作業が要求される。
 今回の大会にMuSASHi RT ハルク・プロはJ-GP2クラスに浦本修充、J-GP3クラスに徳留真紀、ST600クラスに小林龍太とこの三つのクラスはレギュラーライダーで参戦したが、JSB1000クラスの高橋巧は前回のオートポリス大会テストでの転倒による負傷が完治せず欠場。十分に休養を取り、最終戦の2レースに万全の体制で臨めるよう準備に当てることとした。

ST600

 改造範囲の狭いST600は、使用するバイク、パーツの基本性能がラップタイム、レース結果に大きな影響を及ぼす。小林が戦う上でその基本性能のハンディはどうしても否めないものがあり、この部分で苦戦を強いられている。事前テスト、金曜日のARTテストと何とかその改善を図ろうとトライしていたが、やはりこれまでの戦い方では現状の壁を越えられないとチームは判断。予選からの短い時間ではあったが、先につながる戦いをするためにここで新たな取り組みにチャレンジした。わずか40分という短い時間の中で新たなトライをしたため、予選順位自体は14位と上位陣からは遅れてしまったが、ライダー、メカニックともに手応えを感じるセッションとなった。さらに決勝日朝のウォームアップ走行でもセットアップ作業を進め、決勝のグリッドに並ぶこととなった。
 新たなセットアップの組み合わせの問題から、レース序盤は慎重なライディングが要求される。小林は丁寧なライディングをし、周りと自分の状況を確認しながら周回を重ねる。やはり新たな方向性を与えたマシンのフィーリングは良く、これまでとは違ったレース展開となった。しかし上位陣との差を短い時間でのセットアップで覆すところにまでには至らず、3周目に9位となると、そのまま単独でこのポジションを走行。9位でチェッカーとなった。

J-GP2

 今シーズン、テストで調子を上げていくと転倒という悪循環を繰り返してしまっている浦本。何とかその悪循環の中から抜け出そうと、転ばず、ペースを上げて自身のライディングスキルを上げようとトライしている。今回は金曜のテストから予選、決勝と転倒もなく、その点では順調にスケジュールを消化することができた。ここまで取り組んでいるライディングスタイルの変更も徐々に実を結びつつあり、予選自体はセカンドロー4番手とやや出遅れた感はあるが、決勝への手応えは十分に感じる内容となっていた。
 決勝がスタート。タイヤの特性の違いなどもあり、序盤は慎重にライディングする浦本。まずまずのスタートを切ってオープニングラップは4位。2周目に3位、さらに3周目に2位と着実にポジションを上げていく。タイムも2周目に1分33秒463と上げたが、そこから32秒台になかなか持ち込めない。そうしている間に1台に抜かれて3位にポジションダウン。浦本にとっては序盤に逃げ出したトップがよいペースメーカーになり、トップとの差が中盤から終盤にかけてどんどん詰まっていく理想的展開となった。しかし2位のマシンがラストラップでファステストラップを刻んで大きくトップのマシンの背後に迫ったのに対し、浦本はここで同じ走りが見せられず、そのまま前の二人の背中を見ながらゴール。クールダウンラップでは自分の走りに対して悔しさがこみ上げ、表彰台前でヘルメットを脱いだときに浦本の目は真っ赤になっていた。

J-GP3

 前回の岡山大会で優勝し、自身がコースレコードを持っている徳留。1週間前に行われた事前テストは課題を残しつつもレースへ向けた準備は着実に行うことができ、ランキングトップの座をより強固なものにすべく、高いモチベーションでサーキット入りすることとなった。しかし金曜日のART合同テストでは徳留のイメージとマシンの動きが思うように合わず、タイムを上げるレベルにまで至らない。走行後に時間をかけてミーティングを行い、セッティングの方向性を探った。
 しかし予選でも状況は好転しない。コースを攻め切る状態に至らないまま予選が終了。特に今回は時間の関係から予選のセッションは1回のみのため、マシンセッティングを大きく振ることができないのもチームにとっては痛かった。そうして得たスターティンググリッドは14番手という非常に厳しい位置となってしまった。しかしここ岡山国際サーキットはタイトコーナーの連続で、コーナー突っ込みや切り返しなどでのパッシングポイントは多くあり、ベテラン徳留にとって決勝でのポジションアップは難しい仕事ではない。問題は、徳留が攻めきることのできるマシンに仕上げられるかどうか、そこにすべてはかかっていた。決勝朝のウォームアップ走行でもセッティングを振り、さらにマシンの仕上げにトライしたが、徳留の理想とするレベルにまでは至らない。
 最後は自分の仕事と割り切り、徳留はスターティンググリッドに並んだ。うまくスタートを決め、1周目の順位は10位。4周目に8位に上がり、そこから前の2位争いのグループと同じ1分37秒台でラップするが、同じペースのために差が詰まらない。それでもラスト3周で一つ順位を上げ、7位でチェッカーとなった。この結果、ランキング2位に17点差のトップで徳留は最終戦を迎えることとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 J-GP3クラスの徳留は事前テストからなかなか良いセットが見つかず、ウイークに入ってからも苦戦が続きました。長いミーティングの後、最終的なセットは無難な方向性を選びましたが、結果的に最後まで適正なタイヤを選び出す事が出来ませんでした。それでも徳留は踏ん張り、低温低ミューに強いD社勢を向こうに回し7位でゴール。最終戦を、ランク2位に17点差を付けて迎えることになりました。
 ST600クラスですが、低温低ミューの岡山は我々にとってあまり得意なコースではありません。STでもその傾向は同じで、苦戦する龍太に対してチームとして大胆な手法を取り、可能性に掛けました。スタートポジションの悪かった龍太がどれだけスタートでジャンプアップ出来るかに掛かっていましたが、並みのスタートで苦戦が予想されました。 それで徐々に順位を上げ、9位でゴールする事が出来ました。新たなトライをしたことで新発見もありましたので、次回につなげたいと思います。
 このところ転倒の多いGP-2クラスの浦本は、若干ナーバスになっていて彼本来のキレのいい走りが見られません。ライダーには必ずある波の下の方でもがいている状態です。スタートはまずまずで、ポジション通りの順位をキープしますが、トップは少しづつ離れていきます。最初から最後まで激しい2位争いを展開しましたが、最後は突き放され。3位でのチェッカーとなりました。残念ではありますが、不調のなかでも3位表彰台を得られるあたりに彼の成長を見る事が出来ます。最終戦は死に物狂いで行くでしょう。

小林龍太選手

 今までの流れでマシンのセットアップを進めてもいいレース結果を臨むのは難しいと判断し、予選からの短い時間になってしまいましたが新たな方法にトライしました。決勝は途中までいいフィーリングだったのですが、ラスト5周で厳しい状況になってしまいました。でも今回のトライは最終戦に向けて必ずいい結果を生むものだと思うので、チームと相談して導き出したこのやり方を信じて最終戦も頑張ります。

浦本修充選手

 ポールポジションの渡辺選手が序盤に逃げることは今までのレースで分かっていたのでそれに惑わされず、中盤から終盤に必ず捕まえられるように自分の走りをしっかりとしようとそのことだけ心がけました。予想通り野左根選手と2位争いになって、そこで自分が前に出て引っ張れれば良かったのですが実際にはついていくのが精一杯で、最後の勝負所でも前に出られず、本当に悔しいレースとなってしまいました。でも現状で自分が持っている力はすべて出し切ったので、この結果を真摯に受け止め、自分のレベルアップを図るために努力を続けます。

徳留真紀選手

 オートポリスで気持ち良く走ることができて優勝し、自分がコースレコードを持っているこの岡山国際サーキットへ勝ち負けのできるレースをしようと乗り込んできたのですが、思うようなマシンに仕上げられず、不完全燃焼のレースで終わってしまいました。レース後にスタッフと時間をかけてミーティングをして問題点を洗い出したので、あとはしっかりとその課題について検証し、すっきりとした形で最終戦に臨みたいと思います。運もあってポイントをリードして残り1レースとなったので、今まで通り努力を続ければ結果は自ずと付いてくると思います。最後は気持ち良く勝ってチャンピオンを決めたいですね。頑張ります。

堀尾勇治チーフメカニック

 このコースは路面のミューが低く、さらに開催する時期の問題もあって寒暖の差も大きい。そういう点で我々の使っているハードとの相性的には厳しいものがあり、毎年何とかこのコースをうまく攻略しようとしているのですがなかなか克服することができません。今年もまさにそんな戦いとなってしまった印象で、事前テストからいろいろトライはしてみたのですが、うまくまとめ上げることができませんでした。通常であれば、あと1日時間があれば今日優勝したライダーに勝つことができます、と言えるのですが、このコースに限ってはあと三日ください、というそんな状況です。何とかこれは克服しなければならない問題ですが、次の戦いが控えていますから、今回の結果、そこから出た課題をしっかりと検証し、最終戦で勝ちに行けるよう準備したいと思います。

ST600 小林選手

J-GP2 浦本選手

J-GP3 徳留選手