MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第5戦 in SUGO

開催日
2011年8月27日(土)〜28日(日)
開催サーキット
スポーツランドSUGO
天候
決勝 晴れ-路面状況ドライ
出場クラス
JSB1000/J-GP2/ST600
ライダー
高橋巧/中上貴晶/小林龍太・浦本修充
予選結果
高橋巧 3位/中上貴晶 1位/小林龍太 5位・浦本修充 13位
決勝結果
高橋巧 2位/中上貴晶 1位/小林龍太 6位・浦本修充 34位

レース結果

 8月上旬に2&4レースとしてJ-GP2クラスのレースが行われたが、すべてのクラスが開催されるのは7月上旬の第3戦以来。第5戦にしてやっと、すべてのクラスが開催される2レース目となる。今回レースが開催されるのは宮城県スポーツランドSUGO。エントラントの一部もそうだが、レースの運営に携わる多くのオフィシャルが被災。亡くなられた方もおり、今回のレースには仮設住宅からサーキットに来ている方もいる。しかし決勝日には多くのファンがサーキットに詰め掛け、笑顔がサーキットのあちこちで見られたことからも、十分な体制ではなかったかもしれないが、このタイミングにこの宮城のサーキットで全日本が開催できたことは大きな意味があったはずだ。
 今回のレースにMUSASHI RTハルク・プロからは、JSB1000クラスに高橋巧、J-GP2クラスに中上貴晶、ST600クラスに小林龍太と浦本修充というレギュラーライダー四人が揃い、それぞれのクラスで戦うこととなった。好コンディションの中でスケジュールを消化したかったが、金曜日は朝から濃い霧がサーキットを覆ってしまい、午前中のすべての走行はキャンセル。午後も霧が瞬間的に晴れ、タイミングを見て走行をスタートするのだが、濃くなる霧によって視界が妨げられ赤旗中断が繰り返されることとなった。このため、十分な走行ができなかったJSB1000、J-GP2、ST600クラスは土曜日の朝に20分間のフリー走行が設けられ、そのための時間を作るために当初予定されていた40分間の予選時間を5分短縮。さらにノックアウト方式が予定されていたJSB1000クラスは計時予選に予選方式が変更された。

JSB1000

 朝から小雨がパラつく予選日となったが、このクラスの予選がスタートする時には太陽が顔を出し、安定したコンディションで行われることとなった。MUSASHI RTハルク・プロの高橋巧はテストで2番手のタイムを出しており、さらに予選日朝のフリー走行では、ウエット路面ながらトップタイムをマーク。好調さを維持して予選に臨むこととなった。その結果、トップ3台が1分27秒台に入り、高橋も1分27秒949でその中に入った。3番手の高橋から4番手のライダーとの差は約1秒あり、予選上位3台で決勝は争われそうだ。
 決勝はやはり、ポールポジションの秋吉耕佑選手、2番手の加賀山就臣選手が前を走り、高橋がこれを追う展開となった。序盤から積極的にペースを上げる高橋は4周目に加賀山選手を捕らえると、周遅れを交わしながらトップ秋吉選手を追走。3秒開いていた差を20周目には0.04秒差まで詰めることに成功していた。なんとか前に出たい高橋だが、秋吉選手も隙を見せない。勝負は最終ラップのシケインまで持ち越されたが、ここで周遅れが秋吉選手と高橋の間に入ってしまって勝負できず。2位でチェッカーとなった。

J-GP2

 今季ここまで2連勝しているMUSASHI RTハルク・プロの中上貴晶。上位を争うライバルたちはMotoGPのモト2クラスで使用されているオリジナルシャーシのマシンを持ち込んできているが、チームは独自にモディファイしたスタンダード改のメインフレームにオリジナルのスイングアームを組み合わせる全日本J-GP2仕様でここまで結果を残してきている。来シーズン、再びグランプリに戦いの場を移したい中上にとって、連勝記録を伸ばすことはもちろんだが、レースアベレージタイムをより高いレベルに引き上げることが最大の狙いとなっている。今回のレースは、かつて行われていたGP250クラスのコースレコードである1分30秒4を破ることが一つの目的であり、レースでは30秒台で安定したラップを刻むことが最終的なミッションとなった。しかし金曜日のART合同テストがなくなり、土曜朝のフリー走行と35分間の予選でタイムを詰めることは難しく、予選タイムは1分30秒608で、もはや指定席となったポールポジションを獲得。このタイムは当然のことながらニューコースレコードとなった。
 ドライで決勝がスタート。スタートでやや出遅れた中上は1周目を2番手でクリアする。しかし速さで勝る中上は2周目にトップを走る関口太郎選手をパスし、予定の1分30秒台へタイムを入れていく。関口選手も31秒前半で走るが、1周につきコンマ5秒ほどの差があることから、周を重ねるごとにその差は広がっていく。レース終盤になっても手綱を緩めず、課せられている30秒台での周回を刻む中上。4周ほど31秒台に落ちてしまったが、それでもゴール時には関口選手との差が19秒になっていた。

ST600

 1週間前に行われた事前テストではMUSASHI RTハルク・プロの浦本修充が2番手のタイムをマーク。小林龍太も上向きでタイムを出しており、好調さを維持して今回のレースウイーク入りをすることとなった。金曜日のART合同テストは霧のためにまったく走行できなかったが、土曜日朝に20分間のフリー走行が設けられた。このセッションで小林は9番手、浦本は12番手となった。午前中に行われた予選は、時折小雨がパラつく難しいコンディションとなってしまった。基本的にはドライなのだが、路面にはうっすらと水の膜ができており、フルドライほど攻め込めず、マシンが不安定な挙動を示す。特にタイムを出すのに大きなポイントとなるシケイン周辺が微妙に濡れており、ここを攻めきれるかどうかがタイムに響いた。この結果、小林は5番手とまずまずのポジションにつけたが、このクラス今年1年目の浦本にとっては厳しいコンディションとなり、13番手と大きく出遅れてしまうこととなった。
 ドライとなった決勝は序盤、小林が6番手、スタートでジャンプアップした浦本は8番手あたりを走行する。上位陣と同じペースで序盤を走る小林、浦本の二人。その後、トップグループは31秒台へタイムを入れて後続を引き離しにかかったが、そのハイペースがたたり、中盤から終盤にはペースを落とすのに対し、小林、浦本の二人は安定したラップを刻んでいく。特に浦本はレースの中でリズムをつかみ、13周目には4番手まで順位を上げていく。さらに順位を上げたいところだったが、5番手を走行していたラストラップの馬の背コーナーで転倒。リタイヤとなってしまう。小林は安定して走り切り、6位でチェッカーとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 JSB1000クラスの高橋巧はレースのスタート前、課題である序盤のスローペースをなんとか克服し、トップに食らい付いていこうと話をしてコースへ送り出しました。そのアドバイスを受け、1周目でタイヤが温まらずにペースを上げると思わぬ挙動が出るマシンにもひるむことなく果敢に攻め、その結果として先行していた秋吉選手に追い付いたのは、今までやりたくてもできなかったことで、高い評価をしたいと思います。これまでは序盤のスローペースがたたって追い付くことができませんでしたが、今回は追い付くところまで行った。次はぜひ、追い越すところにまで到達してほしいと思います。それができれば、巧の速さも本物になります。今後が非常に楽しみになりました。J-GP2クラスの中上貴晶は、結果的に今回もポールtoウインでその部分を見ればすごく良かったのですが、彼が自分自身に課している課題という点に関しては及第点とは言えなかったと思います。今回のレースで言えば1分30秒台で最初から最後まで周回する、というのが具体的な数値だったのですが、何ラップか31秒台へ落ちてしまった。それは自分の中で残念に思ってほしいし、そこをクリアしていけるように努力を続けていってほしいですね。そうすることで、彼ならさらに成長できるはずです。でも連勝を伸ばしたのは非常に良かったです。ST600クラスは若い浦本修充、ベテランの領域に入ってきた小林龍太ともに、それぞれの持ち味をしっかり生かしたレース振りだったと思います。残念だったのは小林のレース後半で、ペースが落ちてしまって順位もせっかく上げたのに落としてしまった点です。今後はその部分を修正し、成長していってほしいですね。浦本派はテストからいろいろなことを自分なりにトライして習得し、レース内容も非常に良かったと思います。点数をつけるなら99点。残り1点は何かというと、前ばかり気にして、レース終盤でマシンがどういう状態になっているかを把握できずに無理して転倒してしまった、という部分です。そこでは冷静な自己分析が必要で、そのあたりは今後の大きな課題として、マイナス1点にしておきたいと思います。ですが今後のレースに向けていい勉強になったと思いますので、ぜひ次のレースに生かしてほしいですね。今回もたくさんの応援、ありがとうございました。次のレースも頑張ります。

高橋巧選手

 周遅れをうまく交わして秋吉さんに追い付くことができたのは良かったのですが、最後にその周遅れが自分にとって不利になってしまいました。とても残念ですが、前に出るところまで至らなかったのは自分の責任ですので、次はさらにしっかりとマシンをセットアップし、前に出られるような準備をしてレースに臨みたいと思います。レース前、監督から1周目のペースに関してアドバイスをもらっていたので、とにかくそこに集中しました。かなりマシンが暴れたりして難しかったのですが、トップグループについていけたので、それは大きな自信になりました。

中上貴晶選手

 レースは最初から最後まで1分30秒台で走りたかったので、4周ほど31秒台に落ちてしまったのは残念ですし悔しいです。やはりミスが出てしまったり、集中が切れそうになったりするときがあるので、そこはしっかり修正して今後のレースにつなげたいと思います。素晴らしいマシンに仕上げてくれているので、チームスタッフには本当に感謝しています。

小林龍太選手

 序盤、前を走るマシンを抜こうとして無理な突っ込みを繰り返していたために、レース中盤には腕が上がってしまいました。こうならないように以前からライディングの改革をしたりして修正してきていたのに、悪い癖が出てしまい、自分自身に少しがっかりしています。もう一度自分の走りを組み立てなおし、こんなレースにならないようにしていきたいと思います。本当に悔しいです。

浦本修充選手

 とにかくスタート位置が悪すぎました。予選では濡れていて、シケインに思い切り飛び込めばタイムが上がるのは分かっていたのですが、なかなか濡れたあのシケインに飛び込むリスクは冒せなかったです。決勝も少しでも順位を上げたいと、そんなに無理をしたつもりではなかったのですがフロントが切れ込んでしまい、転んでしまいました。もう少し落ち着いてレースができるよう反省します。

高橋巧選手

中上貴晶選手

J-GP2クラス3連勝!

小林龍太選手

浦本修充選手