MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第6戦 in ツインリンクもてぎ

開催日
2010年10月16日(土)〜17日(日)
開催サーキット
ツインリンクもてぎ(栃木)
天候
決勝 曇 路面状況:ドライ
出場クラス
JSB1000/J-GP2/ST600/J-GP3
ライダー
高橋巧/小西良輝/小林龍太・中上貴晶/浦本修充
予選結果
高橋巧6位/小西良輝4位/小林龍太5位・中上貴晶19位/浦本修充8位
決勝結果
高橋巧6位/小西良輝7位/小林龍太7位・中上貴晶17位/浦本修充3位

レース結果

  いよいよ今シーズンも残り2戦となった。 今回レースが開催されるツインリンクもてぎは、 2週間前にMotoGPが開催されたばかり。今では世界的に知られたサーキットとなっている。 全長4.8kmの中に中・低速コーナーが組み合わされ、コーナーの多くが閉じており、 しっかりと減速しなければならないカーブが多い。 さらにはコーナーを立ち上がるとその先には5本のストレートがあることから (J-GP3クラスは高速コーナーも全開で走るのでストレートは6本となる)、 ストップ&ゴーが連続するサーキットだ。 減速に強く、しかも加速の良いマシンが要求される。
 今回はJ-GP2クラスがこれまでのJSB1000クラスと混走から初の単独開催となり、 1000ccマシンとのバトルを気にせず戦えることになった。  この大会にMuSASHi RT ハルク・プロは、 JSB1000クラスに高橋巧、ST600クラスに小林龍太と中上貴晶、 J-GP2クラスに小西良輝、J-GP3クラスに浦本修充の5名のライダーが参加した。  

JSB1000クラス

 鈴鹿8耐で優勝を果たした高橋巧だが、その後のレースで本来の速さを見せられずにいる。 今回の開催サーキットはシーズン前の3月、高橋がチームのマシンを初めてライディングしたコースであり、 好タイムをマークしたことから巻き返しには絶好のステージと言える。  ところがレースウイークが始まり、ゲンが良いはずのこのサーキットでの走行を開始しても、 これまでの流れは変わらない。ライダーは意欲的にコース攻略にトライするが、 アクセルを開けてもマシンが思うように前に進まないのだ。
 今回の予選もノックダウン方式が採られ、 高橋は最終のQ3セッションまで進出し、6番手となった。
 今ひとつフィーリングの良くないマシンを大きく変えようと、 決勝日朝のウォームアップ走行を終えて、 チームスタッフと高橋はミーティングを行い、一か八かの賭けに出た。 うまく合えば高橋本来のライディングが出来、大きく順位を上げていくことが可能になるが、 外れれば予選順位キープか、それすらも難しくなってしまう。 しかし最後まで攻めの姿勢を保ち、最善の努力を続けるのがMuSASHi RT ハルク・プロの戦いの基本スタンスだ。
 いよいよレースがスタート。チームスタッフは祈るような気持ちで高橋のラップタイムに注目する。 しかしチームの願いはかなえられず逆方向に出てしまったようで、高橋のタイムは上がってこない。 オープニングラップを6位でクリアし、ここから順位を上げたいところだが、 周回とともにライバルたちがタイムを縮めていくのに対し、高橋のタイムは上がらない。 レース終盤になり、上位陣のタイムが大幅に落ちていくが高橋は変わらず。 残念ながら順位を変えるまでには至らないが、上位とのギャップを詰めることには成功していた。 このまま20周のレースはフィニッシュ。残念ながらランキングトップの座は明け渡すこととなったが、 それでもランク1位との差はわずか6点。最終戦は2レースあるため、十分に逆転の可能性がある。 火曜日から行われる事前テストでしっかりとマシンを詰め、 最終戦も最後まで攻めのレースを展開しようとトライするMuSASHi RT ハルク・プロのクルーだ。

J-GP2クラス

 夏休みを挟んだインターバルを利用して大幅にマシンのモディファイを行ったチームだったが、 スリックタイヤに対応できるよう車体側の許容幅を上げようと狙った剛性アップが、 マシンの状態をライダーに的確に伝わりにくい状況となってしまった。 このことから、小西本来の切れのあるライディングがしにくい状況を生んでいた。 今回のレースウイークも、このあたりの解決を図るべくマシンのセットアップを進めていった。
 金曜日のART合同テストはタイヤテストに専念。 マシン開発とともに意欲的に行っているタイヤ開発作業も、小西とチームはこなした。
 土曜の予選はやはり、マシンからのインフォメーションが伝わりにくいという状況は大きく改善できず、 4番手と不本意なスターティンググリッドとなってしまった。 しかし決勝朝のウォームアップ走行の時間もフルに使いさらにセッティングを進め、 レースでは十分戦えるレベルにマシンを仕上げることが出来た。
 決勝がスタート。序盤、スリックタイヤを履く小西はタイヤを丁寧に温めることに専念し、 1周目は5位で通過。タイヤの温まりを確認すると、4周目に4位、5周目3位、6周目2位と、 トップとの差は既に7秒開いてしまっていたが、2位集団の前に出た。 ここからタイムを上げてトップを追いたいところだったが、 詰めてきたマシン状態の把握の部分がまだ完全ではない。 慎重なライディングを心がけていた小西だったが10周目の3コーナー入り口で、 シフトダウンミスからグラベルに飛び出してしまった。かろうじて転倒は避けられたものの、 順位は大きく落としてしまい、結局7位でチェッカー。
 それでも小西は2位に5点の差を付けランキングトップで最終戦に臨むことが出来た。 事前テストで課題をクリアし、勝利でシリーズタイトル獲得をねらう。

ST600クラス

 このクラスのトップチームとしてクラス設立当初から戦ってきたハルク・プロだが、 今シーズンは原因不明のトラブルに襲われ、本来の戦いがまったく出来ずにいる。 前回の大会はトラブルによる走行不足が結果に出てしまったことから、チームはこのインターバルにマシンを徹底検証。 全力を挙げてマシンを組み立ててきた。金曜日のART合同テストでまたしても小林のマシンにトラブルが発生し、 チームには「また!?」という嫌な空気が一瞬漂ったが、 軽度なマイナートラブルであり、重症ではないことでスタッフ全員が安堵した。 実際に今回のレースウイークではトラブルが発生せず、久しぶりにライダーも走ることに専念することが出来た。
 しかしここまでのレース、および事前テストでしっかり走り込むことが出来ていない現実は変えがたく、 特に季節が変化している状況に対し、タイヤテストなどの走行不足の感は否めない。 中上はこれまでハードタイヤのみでレースを戦ってきているが、ライバルたちはソフトタイヤのテストも実施済みで、 今回のレースウイークではソフトタイヤを使用してきている。 そのため中上は、まだ履いたことのないソフトタイヤをこのレースウイークで使用することを決断した。
 小林も新型のタイヤでまだ十分にこのコースを走行できていないことから、ベースのセットアップからスタート。 やはりライバルに対し、ハンディは感じてしまう。それでも予選では意欲的にアタックし、5番手を獲得。 一方の中上はうまくマシンをまとめきれず、19番手と沈んでしまった。
 決勝がスタート。うまく飛び出した小林は1周目を4位で戻ってくる。さらにポジションを上げたいところだったが、 決勝前に上がった気温の変化に対応しきれず、マシンのフィーリングがあまりよくない。 そのため、周囲がタイムアップしていくのに対し、小林はうまくラップタイムを上げられない。 中上も1周目は17位まで順位を上げる。しかし小林同様、周回につれてタイムを上げたいところが上げられず、 そのためにポジションもアップしていけない。
 結局、小林は7位で、中上は17位でチェッカーとなった。 テスト不足で、そのことからレースで思うような走りを見せられないながら、 小林は今回の7位獲得で、ブリヂストンタイヤユーザーの中で最上位となるシリーズランキング6位に付ける。 一つでも上のランキングを目指し、最終戦鈴鹿大会に臨む。

J-GP3クラス

 後半戦になってやっとチームの雰囲気にもなれ、浦本本来の走りが戻ってきた。 前回の岡山国際大会では順位こそ6位で終わったが、トップグループと遜色ないスピードでレースを走り切り、 その勢いのまま今回のレースウイーク入りした。
 ところが金曜日のART合同テストの1本目で勢いあまって転倒。 ライダー、マシンともに問題はなかったが、若い浦本だけに、うまくリカバリーできるかチームに不安が走った。 やはり予選は今ひとつ勢いが戻りきれず、8番手で終えた。
 ライダーのコメントを元に、決勝日朝のウォームアップ走行でセッティングを進めたところ、 ライダーのフィーリングが良く、確かな手応えを感じながら浦本は前向きな気持ちで決勝に臨むことが出来るようになった。
 そうしてレースがスタート。絶妙のスタートを決めた浦本は、オープニングラップを終えてメインスタンド前に2位で戻ってくる。 4台での激しいトップ争いになり、その中で浦本はチャンスがあれば前に出ようとトライ。 10周目には遂にトップでメインスタンド前に戻ってくる。本人もチームも認識している、浦本の身長の高さから来る重量ハンディを、 アグレッシブなコーナーへの突っ込みと高い旋回スピードで補おうという姿勢が、この快走につながっていた。 2位でラストラップに入った浦本は最終的に3位でチェッカー。前の2台はリザルト上、その差が0.000秒、 浦本はそこから0.34秒差という僅差での3位獲得となった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 J-GP3クラスの浦本は、やっと彼が持っている速さを前回のレースあたりから見せることが出来るようになり、 今回は最後までトップ争いに加わることができました。 彼の持っているポテンシャルから行けば、もっと早い段階でこうしたレースが出来ていたはずですが、 この走りは今後の彼の成長につながるものだと思います。 チーム入りして初となる表彰台獲得は、私にとってもとても嬉しいものとなりました。
 ST600クラスはこのところトラブルが続いていて、チームは頭を痛めています。 そのことによる走行時間不足が前回、そして今回も、結果に大きく影響してしまいました。 そうした中でも小林は最大限の努力をし、頑張りを見せてくれたのは好材料です。 7位という結果は残念ながら、現状の我々が持っているパッケージングとしては最善の結果だと認めざるを得ません。 今後はさらにタイヤとの熟成を含め、いいレースが出来るようにしていきたいと思っています。 中上も小林同様、セッティング不足の感は否めません。彼のポテンシャルからすればもっと上位に行けるはずで、 それを考えると残念な結果ですが、最終戦までにしっかりとマシンを煮詰め、さらに上にいけるよう頑張ります。
 J-GP2クラスの小西は、レース序盤のタイヤの暖まりの難しさというスリックタイヤの特性に対し、 ST600クラスの溝付きタイヤの初期グリップの立ち上がりという特性の差でレースの主導権を握られてしまい、 それが大きく結果に影響してしまいました。気持ちを切り替え、最終戦ではきっちり勝ってチャンピオン獲得し、 シーズンを締めくくれるようにしたいと思います。
 JSB1000の高橋は、予選までのセッティングに対してもっと上を狙おうと、 決勝ではギャンブルに出てセッティングを大きく変更しました。 ところがこれが裏目に出てしまい、思うようなレースが出来なかったのは残念です。 ライダーの高橋は最大限の努力を見せていたのですが、速く走ろうとするライダーの頑張りに対してマシンが応えられず、 いい仕上がりにもっていけませんでした。この結果、ランキングトップからは落ちてしまいましたが、 それでもわずかな点差で最終戦を迎えることが出来ますので、残り2レースをしっかり戦い、 逆転でタイトル獲得が出来るよう頑張ります。
 今回もたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。残り1戦も全力で戦います。応援、宜しくお願いいたします。

高橋巧選手

 決勝に向けてギャンブルセッティングをしてみたのですが、逆方向に行ってしまいました。 ライダーは頑張ってチャレンジしているのですが、なぜかマシンが思うように応えてくれないレースウイークでした。 最終戦鈴鹿は8耐で十分に走っているコースなので、セットアップは問題ないと思います。 思い切り攻めのレースが出来るよう、事前テストでいい準備をしていきたいと思います。

小西良輝選手

 マシンからのインフォメーションが伝わりにくく、 なかなか攻める状態までマシンを持っていくことが出来ませんでした。 それでもスリックタイヤ勢の中では最上位でいたいとトライしたのですが、 自分のミスでコースから飛び出してしまい、不本意な順位でレースを終えることになってしまいました。 マシンをさらに煮詰め、最終戦では勝てるレベルに仕上げていきたいと思います。

小林龍太選手

 予選まで流れは良かったのですが、決勝日は思った以上に気温が上がってしまい、 それに対応できず不本意なレースになってしまいました。 言い訳ばかりしているようで心苦しいのですが、しっかり事前テストからマシンを造り上げ、 結果で皆さんの応援にお返ししたいと思います。最終戦も全力で頑張ります。

中上貴晶選手

 これまでハードタイヤを使ってきたのですが、 今回はコンディション的にそれを使うのは難しそうなので、 テストしていなかったのですがレースウイークから初めてソフトタイヤを使ってみました。 テスト不足が最後まで足を引っ張り、セットアップがまだまだ足りませんでした。 しかしマシンの方向性は見えてきたので、このまま事前テストからマシンを詰め、 最終戦はきっちり勝って今シーズンを締めくくりたいと思います。

浦本修充選手

 チーム関係者、スポンサーの皆さん、HRCの皆さんに心からお礼申し上げます。 皆さんのバックアップがあり、金曜日に転倒してしまったのですが、 まったく問題なくその後の走行をすることが出来ました。 自分としては転倒でそこまでの勢いがそがれてしまうかちょっと心配で、 予選はその予感通り今一歩でしたが、決勝日の朝フリーでとてもマシンがいい仕上がりになっており、 これならいけると手応えを感じました。実際に決勝も思い切り走ることができ、 結果的に負けてしまいましたが、久しぶりにレースらしいレースが出来た気がします。 皆さんの強力なバックアップにしっかり応えられるよう、最終戦も頑張ります。

高橋巧選手

小西良輝選手

小林龍太選手

中上貴晶選手

浦本修充選手