技術部門
武蔵エナジーソリューション(株)
セル開発Gr. マネージャー
S.A. 2013年入社/物質科学専攻 修了
「武蔵エナジーソリューションズ」は、ムサシグループのEnergy Solution事業を担う企業です。私はそこで、ハイブリッドスーパーキャパシタ(以下、HSC)の研究開発に携わっています。HSCは、高エネルギーと高出力を両立した次世代の蓄電デバイスです。当社の前身企業が世界で初めて開発し、量産化にも成功しました。もともとは自動車バッテリーの代替をめざして開発されたものでしたが、リチウムイオン電池を大きく上回る瞬発力と高い安全性を備えており、その応用範囲が大きく広がっています。たとえば生成AIの演算処理を担うAIデータセンターでは、学習や推論の際に瞬間的に膨大な電力を消費します。一方で、演算が止まると電力使用量は急激に減少します。こうした電力需要の乱高下が続くと、電力インフラに過大な負荷を与え、電力の安定供給を脅かす要因にもなります。しかしHSCなら、キャパシタの急速充放電性能によって電力の変動を吸収し、サーバー内部でピーク電力を平準化できるのです。
こうした特性から、今やムサシのHSCは、世界的なITプラットフォーマーをはじめ、さまざまな分野で注目を集めています。社会の基盤を支えるエネルギー技術として、HSCが果たす役割はますます大きくなっています。
私は現在、HSCの核となる「セル」の開発Gr.で、マネージャーとして第4世代HSCの改良開発を主導しています。第3世代を上回るエネルギー蓄積量と高出力性能の実現をめざして、開発計画の策定やプロジェクトの進捗管理を行い、研究を推進していくのが私の役割です。蓄電デバイスの世界には依然として未解明の現象が数多くあり、解析が追いついていません。また材料の種類も膨大で、組み合わせや配合比率の最適解もまだ探求の途中です。そのような状況ですが、私たちは世界で唯一無二のHSCメーカーとして、知見を積み重ねていかなければいけません。まだ誰も解明していない課題に挑み、ひとつずつ答えを発見していく。HSCの開発を通して、エネルギー利用の進化に関われることに大きな誇りと喜びを感じています。
研究開発を進めるなかでは、思い通りにいかないことも少なくありません。むしろ壁にぶつかることのほうが多いもの。一気に答えを出そうとすると、途方に暮れて前に進めなくなってしまいます。だからこそ私たちは、最終目標に向けて複数の小さなゴールを設定し、ひとつずつ着実にクリアしていくようにしています。得られた結果を確認し、軌道修正を重ねながら前へ進み続ける。その積み重ねが成果につながります。試行錯誤の末、自分たちの仮説が的中し、狙い通りの結果が得られた瞬間の喜びは格別です。この達成感こそ、研究者としての醍醐味だと感じます。
また、ムサシには「失敗を恐れず挑戦する」文化が根づいています。成果が見込める安全策だけを試していく企業も多いなかで、当社は大胆なチャレンジに対しても非常に寛容です。たとえば、前例のない材料を試してみるなどの突飛なアイデアであっても、上層部からの理解も得られやすく、自由な発想で研究を進めることができます。こうした風土は、研究者にとって大きな支えであり、ムサシならではの強みです。この恵まれた環境の中で、自分のアイデアを存分に形にできることに、日々大きな喜びと感謝を感じています。
現在開発している第4世代のHSCでは、これまで使用してきた正極材(電池のプラス極に使われる材料)を思い切って変更するという挑戦をしています。そのなかで私たちは、意外な発見をしました。第3世代HSCの開発時に検討されていながらも、使えないと判断して断念していた技術が、正極材を変更したことで、うまく使えるようになったのです。ごく稀にですが、過去に捨てた技術でも、環境や条件が変わることで突然役立つことがあるのです。しかしこうした発見は、常に「枠」を壊そうと挑戦する姿勢がないとなかなか気づかないもの。これからも固定観念に縛られないアイデアをどんどん試していきたいですね。
1日のスケジュールOneday Schedule
- 08:00出社&メールチェック
- 08:30グループミーティング
- 10:00実験
- 12:00昼食
- 13:00取引先との会議
- 15:30実験データまとめ
- 16:00報告書作成
- 17:30メールチェック、翌日の業務内容確認
- 18:00退社
好きなバンドのライブや
音楽フェスで発散!
休日は、音楽フェスやライブに出かけて楽しんでいます。とくに、邦楽ロックやパンク系のバンドが好きです。最近、活動休止していたお気に入りのバンドが復活したので、今後の動向に期待しています。