TOPメッセージ

テクノロジーで社会を支え、
常に社会から必要とされる
“エッセンシャルカンパニー”でありたい。

取り巻く事業環境の変化

代表取締役社長

はじめに、この度の新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになられた皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。そして、感染拡大防止にご尽力されている医療従事者の皆様、生活インフラの維持・運営で社会を支えてくださっている皆様に深く感謝申し上げます。

今回のコロナ禍といわれる状況において、当社はお客様、お取引先、従業員とその家族を含め、すべてのステークホルダーの皆様の健康と安全を最優先に考えた取り組みを展開してまいりました。リスクマネジメントオフィサーの指揮のもとグローバルでマネジメント体制を整備し、国内外のグループ拠点の状況をモニタリング、技術的または物質的なサポートを続けております。
また、全社を挙げたリモートワークの推進やMR(複合現実)を活用した遠隔での生産現場支援など、引き続き感染拡大を防ぎながら、事業の継続に注力してまいります。

今回の出来事から当社の80年以上の歴史を振り返ると、今までにも何度も大きな事業環境の変化に直面しており、その際には必ず「ピンチをチャンス」と捉えた新たな挑戦をし、その後の一段の成長につなげてきました。祖業である航空機用部品の製造技術を応用してミシン産業に参入し、その後もミシン部品の製造技術を活かして二輪車・自動車部品へと、時代の変化をばねに新たな事業に転換してまいりました。この挑戦の歴史こそが当社のDNAであり、今回のコロナ禍もチャンスと捉えて次の成長につなげるべく、未来に向けた取り組みを進めております。

テックカンパニーとしての当社の社会貢献

テックカンパニーとしての 当社の社会貢献テックカンパニーとしての 当社の社会貢献

我々を取り巻く環境は、自動車産業が100年に1度の大変革期を迎える中、従前より危機感を持って対応しており、グローバル展開の加速、電動化時代に適応した新商品の研究開発など、様々な取り組みを行ってまいりました。カーボンニュートラルの大きな柱である自動車の電動化は、当社にとって大きなチャンスです。電動車に搭載される減速ギヤやデファレンシャルアッセンブリィは、従来の内燃機関車向けのものと比べ、強度や小型化、静粛性など高い性能が求められます。これらは当社の商品開発力と独創的なものづくり、鍛造から組み立てに至る一貫生産体制によって実現を可能にしております。より高い付加価値と安全性をお客様へ提供することで電動化を通じたCO2の削減に貢献し、持続可能な社会を実現していきます。

新しいテクノロジーが世の中を革新的に変えていく時代を牽引するため、新事業の創出に力を入れています。2019年にイスラエルのパートナー企業SixAILtd.と合弁でMusashiAI株式会社を立ち上げました。イスラエルの「最先端AI技術」とムサシの「ものづくり」を掛け合わせ、人がよりクリエイティブな仕事に従事できるよう、スローガンである“HumanJobsforHuman(人にはもっと人らしい仕事を)”を実現していきます。従来の技術では実現が難しかった人による製品の目視検査や工場内外での物流といった単純かつ高負荷作業の自動化に取り組んでいます。さらにはこのテクノロジーを農業や流通などの異業種へ展開し、より広域での社会貢献につなげていきます。

新蓄電デバイスで持続可能な社会へ

世界の人々に信頼され、地球社会の発展に貢献する企業であるために世界の人々に信頼され、地球社会の発展に貢献する企業であるために

カーボンニュートラルを目指した社会では、電動化の進展により蓄電デバイスへのニーズが高まっています。また、今後の技術革新、環境・安全規制の強化などの様々な要因により、蓄電デバイスの利用形態は多様化していくものと考えられます。

2020年4月、当社はリチウムイオンキャパシタ(LIC)および蓄電デバイスに関連する装置の開発・製造・販売を手がけるJMエナジー株式会社(2020年11月、武蔵エナジーソリューションズ株式会社に社名変更)を子会社化しました。LICは、急速な充放電特性を持ち、発火リスクも少なく、長寿命で劣化しにくいことから、緊急時におけるバックアップ電源の信頼性や使用後の廃棄といった社会課題を解決する新しい蓄電デバイスです。再生可能エネルギーシステムにおける充放電や、水素による燃料電池システムの充放電アシスト、5G基地局向けの安全なバックアップ電源などの用途で導入が期待されます。持続可能な社会を実現するエネルギーソリューション事業として、今後さらに展開を加速してまいります。

グローバルに事業活動を展開する企業の責任として、従業員、お客様、お取引先、地域社会など世界中のステークホルダーの皆様とともに、より良い社会の実現に向けて取り組んでいく必要があると考えています。商品責任、人権、労働慣行、環境など事業に関連する社会的な課題は多岐に渡りますが、当グループが社会への責任を果たすため、SDGs(国連の持続可能な開発目標)へ対応し、各課題への取り組みを着実に進めております。
当グループは、地球社会の持続的な発展に貢献し、皆さまから信頼していただける企業グループであるために、様々な取り組みを続けております。

「世の中のためになるテクノロジー」が、新規事業の条件

世界の人々に信頼され、地球社会の発展に貢献する企業であるために世界の人々に信頼され、地球社会の発展に貢献する企業であるために多様な人たちを集め、ガバナンスの質を高める

当社は、既存事業の枠に捉われない新規事業の創出により、さらなる事業成長と社会課題の解決を目指しています。2017年に社内で開催した新規事業創出プログラム「MusashiInnovator’sGate2017」では、2チームの社会課題解決型の企業内スタートアップが誕生しました。また、2018年12月には東三河発のイノベーション創出を目指し、豊橋駅前に「MUSASHiInnovationLabCLUE」をオープンしました。イノベーションを起こしたい「本気の人」たちの出会いを導き育て、東三河から新しい事業を創出していくインキュベーション機能を提供しています。

当社が新規事業のテーマとして定めている唯一の条件は、人々の生活を豊かにしサステナブルな社会を実現する事業であることです。2017年の新規事業創出プログラムで生まれたアグリトリオは、気軽に働きたい個人と人手不足に悩む農家のマッチングサービスを提案し、現在は法人化して活動を継続しています。製造業で築き上げた生産作業の標準化やマニュアル化技術を農業に展開し、農家の方が持つノウハウを農業未経験の方と共有することで、短時間就業を可能にしたマッチングサービス「農How」や、福祉サービス事業所と障がい就労者を受け入れ可能な農家をつなぐ農福連携サービス「農Care」を展開しています。全国にフランチャイズ展開を開始しており、事業活動を通じて、農家の人手不足や高齢化による耕作放棄地増加などの問題解決を目指しています。

本社が位置する愛知県の東三河地域は、豊かな自然に 恵まれた日本有数の農産地です。この地は中央構造線※が表面化している稀有な場所であり、地表の黒ボク土壌には多くの鉄分や希少なミネラルを蓄えています。この土壌に育つ桑、菊、ゴツゴラ、スギナ、ヨモギといった植物には、人々の健康に有用な機能性成分(フィトケミカル)を非常に多く含んでいることが判っています。これは、愛知県豊橋市出身で日本の植物療法学(フィトテラピー)の第一人者である森田敦子氏の長年の研究の成果です。当社は、森田氏が立ち上げた植物療法学に基づくインナー・アウターケア商品ブランド、株式会社Waphyto(ワフィト)への出資を行いました。スキンケアやヘアケアなどの化粧品を皮切りに、今後はサプリメントや介護領域へ展開し、人々の健康へ寄与する東三河を代表する新たなブランドへと育てていきます。

また、2020年10月には当社内に植物バイオ研究所「MLab」を設立しました。植物の機能性成分材料開発とその処方、さらにはその抽出技術の開発を進めるとともに、地元での製造も視野に入れ、「人生100年時代に寄り添う」事業に発展させたいと考えています。

多様な人たちを集め、ガバナンスの質を高める

海外売上高比率の高い当社におけるガバナンス構築においては、取締役会の健全性や透明性、ダイバーシティを高める取り組みを実践しています。社外取締役や外国人取締役、女性取締役のそれぞれの比率を高めるだけでなく、幅広い視点で積極的に意見を提言してくれる人を招聘しています。

社外取締役には経営情報を全てオープンにしており、時には厳しい指摘を頂くこともありますが、それにより助けられたことも数多くあります。特に今回のように急速な社会の変化が起きる時は、より幅広く最新の社会動向に精通するだけでなく、IT企業や海外のグローバル企業での経営経験など、製造業に長く身を置いてきた他の経営陣とは、全く違う視点を持った取締役が必要です。新型コロナウイルス感染症拡大のような大きな社会変化が起きた際に、大胆な舵取りができるのは経営者であると自覚し、中長期の視点で未来を見据え、強い意思を持って変化に対応してまいります。

デジタルトランスフォーメーションには自律性の高い人材が必要

多様な人たちを集め、ガバナンスの質を高めるデジタルトランスフォーメーションには自律性の高い人材が必要

時代の変化を先取りした挑戦の一方、当社グループが基軸として持ち続けているものがあります。それは、「創業の精神」「社是」「行動指針」の三位一体で形成されるムサシフィロソフィーです。その中でも創業者の意思が込められた「創業の精神」である「質実剛健・至誠一貫」は、当社グループにとって変わることのない原点です。しっかりとした基軸があれば、皆が迷うことなく未来への歩みを進めることができます。やはり企業は、軸足と目指すところが明確であることが大切だと感じています。

2020年に向けて掲げたムサシ・グローバル・ビジョン「BeUnique!!~ユニークで行こう~」の最終年となった現在、創業100周年となる2038年に向けた長期ビジョンの策定に取り組んでいます。

この度のコロナ禍では「会社全体が世の中のために存在しなければならない」ということを改めて強く認識しました。だからこそ、私たちは「世の中のためになる」事業を目指していきます。「地球社会をもっと豊かに」、「人々をより幸せに」というテーマを掲げ、20~30代を中心としたプロジェクトチームで新たな長期ビジョンを考えています。若い世代に委ねたのは、新しい時代は常に若者が創るものであり、自発的な考えで未来のムサシ像を描いてほしいとの想いからです。

今年は新型コロナウイルス感染症対策として社内の親睦行事が中止となる中、社員たちが「"ムサシとつながる"SNS LIVE EVENT」を発案してくれ、多数の手づくり動画がオンラインでライブ配信されました。若い世代による新しいコミュニケーションに好感触を抱くと同時に、社員が自発的に取り組んだことが何にも代えがたい大きな財産となりました。やはり、自律的に考えられる社員が多い会社は強いと実感しています。

情報が氾濫している世の中だからこそ、必要な情報は自ら取りに行き、咀嚼することが重要です。自律性のある人でなければ、デジタルトランスフォーメーションの時代に生き残ることは難しいと考えています。

コロナ禍で導入を拡大したリモートワークにおいても同様に、エンゲージメントと自律性が問われています。やるべきことを自分で考えず待ちの姿勢の人は、10年後にはAIやロボットに仕事を奪われるでしょう。監視や報告義務ではなく、自ら目標を設定して力を発揮し、チームがお互いに信頼し合うことが大切です。

これからはどんな仕事のアウトプットを出すプロになるかを意識しながら、日々の業務に取り組むことが出来る人材を育てていきます。

世の中に必要とされる“エッセンシャルカンパニー”でありたい

世の中に必要とされる“エッセンシャルカンパニー”でありたい

今回のコロナ禍で改めて認識したことは、医療従事者をはじめ世の中になくてはならない“エッセンシャルワーカー”が多く存在するということです。
人間は一人で生きられるものではなく、誰しもが他の誰かに支えられて生きていることを強く体感しました。我々も社会から必要とされる存在になるため、改めて2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールを掘り下げ、当社の経営上の重要課題(マテリアリティ)を特定しました。最優先事項として、テクノロジーを核にサステナブルな次世代社会システムの創出を目指します。その実現のために、経済成長基盤の強化、サステナブルなエネルギーシステムの構築、そして多様な働き方の実現と雇用の質の向上に取り組んでまいります。
我々の事業で継続的に“地球社会の発展に貢献”することが当社の存在意義であると考え、社会からその存在を必要とされる会社、つまりは“エッセンシャルカンパニー”を目指していきます。