MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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2014鈴鹿8耐

開催日
2014年7月24日(土)〜27日(日)
開催サーキット
鈴鹿サーキット
天候(決勝)
曇-路面状況:ウェット 
ライダー
高橋巧/レオン・ハスラム/マイケル・ファンデルマーク 
予選結果
1位 
決勝結果
優勝 

レース結果

通常のスプリントレースは1時間弱ほどで終わるが、1年に1回鈴鹿で行われる8時間耐久レースはその名の通り、8時間を二人、あるいは三人のライダーで交代しながら走り続ける。  複数のライダーで1台のマシンを乗り続けるため、全員が安心してライディングできるバイクに仕上げなければならない。以前は豊富なテスト時間がレース前に割かれていたのだが、今年はわずか3回、合計でも五日間という短期間でマシンのセットアップを行わなければならない。  MuSASHi RTハルク・プロは昨年のウイナーチームとして、高橋 巧/レオン・ハスラム/マイケル・ファン・デル・マークという昨年と同じメンバーで、今年の8耐に参戦することとなった。ライダーのペアリングとしては理想的だが、一つ大きな問題は事前テストにハスラムがレーススケジュールの関係から参加できないということにあった。  とは言え、好材料がないわけではない。今季、マークが絶好調で、自身が参戦するWSS600で勝利を重ねているのだ。実際に7月上旬のテストに参加したマークは、その好調ぶりを鈴鹿でも発揮。時差による万全ではない体調ながらも、2分9秒から8秒台でのロングランをこなして見せたのだ。  レースウイークに入っても、マークの好調ぶりは変わらなかった。  ハスラムも限られた時間の中でマシンのセットアップを進め、着実にタイムを詰めていく。  金曜日の計時予選では高橋が2分9秒205、ハスラム2分9秒923、マークが2分7秒839をそれぞれマーク。マークのタイムがオーバーオールでトップとなり、暫定ポールシッターとして、翌日のトップ10トライアルに出場することとなった。  計時予選でチームの最速タイム、2番手のタイムを出したライダー二人が僅か1周だけのタイムアタックを一人ずつ行うというこのトップ10トライアルは、土曜日の午後に行われた。  今まで履いたことのない予選用タイムを装着し、トップ10トライアルに臨んだ高橋とマークだったが、タイヤのパフォーマンスをうまくタイムにつなげることができず、それぞれ2分8秒161、2分7秒827を記録。スターティンググリッド5番手から決勝スタートを切ることとなった。  決勝日朝に行われる45分間のウォームアップ走行の中でまずチームはレース用タイヤ15本の皮むきとピットワークの最終確認を、東コースを走ってピットに戻るということを7回繰り返し、決勝への準備を着々と進める。さらにはその後の走行で、新たなマシンセッティングにもトライした。  午前11時半にスタートし、午後7時半のゴールを目指す鈴鹿8耐。今年もいつものように2周のサイティングラップが行われ、再びグリッドに着いてル・マン式スタートが切られるはずだったのだがそこで雨が降り出してしまったことからスタートはディレイ。仕切り直しになった。  結局フルウエット、1時間5分遅れの12時35分にレースはスタートされた。  スタートライダーを務める高橋は序盤、慎重な走りを見せる。それでも全日本で2勝する速さを見せている高橋は、その速さをこの最初のスティントで披露。路面が乾いていくコンディションの中、2位まで追い上げてピットインする。レインタイヤで乾いた路面を走るのは非常に厳しい状況となっており、一刻も早いピットインが必要だったが、サインミスもあり、トップを走るマシンより1周余分に走ってピットに戻ってきた。  スリックタイヤを履き、コースに出るハスラム。ところがまたしても大粒の雨が振り出してしまい、テストに参加できていない上にウエットコンディションをスリックで走らなければならないハスラムは、非常に厳しい状況に置かれてしまった。  ミスを冒さないよう細心の注意を払って走るハスラムにタイムアップを望むことは厳しく、徐々にトップとの差を広げられてしまう。24周してピットイン。雨の走行には鈴鹿のコースに慣れている高橋を走らせるのがベストとチームは考え、ここで再び高橋を投入する。  高橋がコースインしてすぐセーフティカーが入り、まだタイヤを暖める前の状態だったことから、6位まで順位を落としてしまう。14分後にレースは再スタート。高橋は徐々にペースを上げ、4位まで上がったところでピットイン。  乾いた路面でいよいよ、マークのその速さにチームの運命を託すこととした。  マークはその期待に応え、3位にポジションアップ。さらに93周目から連続8秒台ラップも見せ、2位との差を一気に詰めていく。94周目には2位にポジションアップ。ここで再びセーフティカーが入る。  マークは28ラップしてピットインし、マシンを再び高橋に戻す。高橋は時折9秒台へ入れながら、ほぼ1周付けられたトップとの差を詰めるべくコースを攻める。このライディングがトップにプレッシャーを掛けたのか、108周目の130Rで先頭を走るマシンが転倒。これで高橋がトップに立った。  その後、後続車両が転倒したことからセーフティカーが2回も入る難しい状況となったが、レース終盤にファステストマークを記録するマークの好走もあり、大荒れのレースを制して見事2連覇達成となった。  

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

「非常に難しいレースで2連覇できたことは、本当に嬉しく思います。今日のレースはスタート前に雨が降ってきて、自分の中では経験のない1時間のディレイという状況になりました。立てていた作戦をどう組み直そうか、考える間もなくレースがスタートしてしまい、雨を得意とするTSRホンダチームに逃げられてしまって、さらには我々のチームにサインボードのミスもあり、差が大きく開いてしまったときにはどうしようかと思いました。ドキドキした部分もあったのですが、後半になって徐々に我々の持っているスピードが戻ってきて、特にマークのスティントでは彼の頑張りがあり、それはレースの流れを引き寄せるのにすごく価値があるものでした。2連覇できたということで、ぜひ3連覇目指したいですし、それを目標にまた頑張ります。今回もたくさんの応援をいただきましてありがとうございました。」

堀尾勇治チーフメカニック

「豊富な事前テストを行っていたかつての鈴鹿8耐を経験しているので、現在のように少ないテストでマシンを仕上げて行くことに対してどうしても不安を抱いてしまいます。今回はさらにハスラムが事前テストなしということで、それが大きな懸念材料として抱えながらのレースウイーク入りとなりました。実際にやはりその部分はチームにとって難しい問題となってしまったのですが、決勝日朝のウォームアップ走行でいいセットアップが出来上がり、自信を持ってレースに臨むことができました。ですがそれも天候ですべて振り出しに戻され、最後までハラハラしながらのレースとなりましたが、懐の深いセットアップというものが多少はできていたから、荒れたコンディションでも大崩れせずに走り切ることができたのかなと感じています。」

高橋巧選手 

「雨は元々好きではないのに、今日はウエットコンディションをたくさん走らなければならなくなり、とても疲れました。コンディションもコロコロ変わるし、鈴鹿のコースをよく知っているからと予定外のパートも走ることになったのですが、もう雨の走行はいいです。でも2連覇できてとても嬉しいです。応援、ありがとうございました。」

レオン・ハスラム選手 

「ウエットの中をスリックタイヤで走らなければならなくなってしまいました。自分だけのスプリントレースなら楽しく走れるけど、耐久は自分のミスでたくさんの人に迷惑を掛けてしまうので今まで経験したことのないようなプレッシャーを感じました。とにかくミスをせず、できる限り速いペースで走ることを心がけました。このチームは本当に素晴らしい仕事をしてくれるし、チームメイトも速いライダーたちなので心強かった。みんなに感謝したい。」

マイケル・ファン・デル・マーク選手

「自分は鈴鹿の雨の経験がないのでチームが配慮をしてくれて、ドライコンディションでの走行に専念させてくれた。その期待に応えようと、ドライコンディションの中で最後までハードにプッシュし続けた。その走りができたのも、チームがマシンを素晴らしい状態に仕上げてくれたからで、本当にこのチームはファンタスティックだ。ぜひこのチームで3連覇にチャレンジしたい。」

高橋選手

レオン・ハスラム選手

マイケル・ファン・デル・マーク選手

表彰台