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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第4戦 in スポーツランドSUGO

開催日
2014年6月28日(土)〜29日(日)
開催サーキット
スポーツランドSUGO
天候(決勝)
ウェット
出場クラス
JSB1000/J-GP2/J-GP3
ライダー
高橋巧/亀谷長純/浦本修充/水野涼
予選結果
高橋巧:3位/亀谷長純:3位/浦本修充:5位/水野涼:6位
決勝結果
高橋巧:2位/亀谷長純:5位/浦本修充:2位/水野涼:1位

レース結果

基本的にスプリントレースで行われる全日本選手権だが、スポーツランドSUGOで行われるJSB1000クラスレースは最低1回のピットインが義務付けられるセミ耐久として昨年から行われている。今回もJSB1000クラスは52周、120マイルレースとして行われる。 開催コースであるスポーツランドSUGOはこのシーズンオフにコースを全面改修。路面コンディションが大きく変わっていることから、1週間前に行われた事前テストでは意欲的な走り込みが行われた。しかし雨も降ってしまい、しかもかなりの雨量で走行ができないほどのものだったため、十分なセットアップは残念ながらできなかった。 今回のレースにMuSASHi RTハルク・プロから、JSB1000クラスに高橋 巧、J-GP2クラスに亀谷長純と浦本修充、J-GP3クラスに水野 涼というレギュラーメンバーで参戦した。 

JSB1000

120マイルのセミ耐久レースのため、ライダーは一名でも二名でも可能とされている。しかしチームは例年、高橋 巧一人で戦っており、今回も高橋一人で120マイル走りきる。 今シーズン、好調さを維持している高橋は今回のウイークでもそれは変わらず、金曜日のART合同テストでは毎セッション、トップレベルのタイムをマークし続ける。ドライで行われたこの日のセッション、午前、午後共に2番手のタイムをマーク。しかもトップタイムとの差は0.003秒と僅差だった。 しかし予選日となる土曜は朝から雨が降ってしまい、ウエットコンディションの中で行われることとなった。 「雨は苦手」と言う高橋だが、それでも安定したペースでウエットコンデイションの中をラップ。トップから0.282差で3番グリッドを獲得した。 決勝日も朝から雨。しかも朝はかなり強い降りとなっており、レースへの影響が心配された。多少雨が小降りになった中で朝のウォームアップ走行開始。30分間のこのセッションで高橋は1分36秒566のトップタイムをマーク。改めて好調さをアピールすることになった。またチームもこの短い時間の中、3回のピットワーク作業を実行。万全の体制でレースをバックアップする準備をする。 午後最初のレースとしてスケジュールに組まれていたこのクラス。スタート進行が始まる直前に激しい雨が降り出してしまった。そのため、スケジュールはディレイ。気象レーダーで雨雲の切れることが確認できたこともあり、いったん午後3時からコース確認のために15分間のフリー走行を行うことがアナウンスされた。しかし雨脚が弱まらないことから、そこから2度延期され、結果的に午後3時20分から15分間のフリー走行が行われ、レースは40周でスタートされることとなった。また周回数減算に伴い、義務付けされていた給油作業はしなくてもOKとされた。 ウエットコンディションでの40周は、チームにとって微妙な距離となる。ペース次第では無給油でも走りきれるのだ。とは言え、雨量が減ってラップタイムが上がれば必然的に燃費は悪化する。ガソリン補給するならスタート時は満タンにせず、車重を軽くしたい。しかしチームは無給油前提の満タンにしてマシンをスターティンググリッドに並べることにした。 レースがスタート。高橋はまずまずのスタートを切り、序盤から4台で形成するトップグループに加わる。注目されるペースだが、時折雨がパラつくものの、やはり1分38秒前半から37秒台とハイペースでのラップとなっていく。 雨が降ったり止んだり、しかも基本的にライン上は乾いていくためにハイペースという厳しい状況の中、それぞれのライダーは細かいミスを重ねながらもラップしていく。それは高橋も同様で、小さなスライドを抑えながらもペースを上げてトップとの差を詰めていたが、19周目あたりで大きくスライドをさせてしまい、3秒ほどトップグループとの差が付いてしまう。 34周目、ハイポイントからバックストレッチあたりにオイルが出てしまい、高橋はこれに乗って大きくタイヤをスライド。なんとか転倒は免れた。その直後にセーフティカーが入り、全車ペースダウン。オフィシャルがコース修復にかかろうとする。しかし限られた時間内でコース修復が難しいほどのオイルが出てしまっていることから37周目に赤旗提示。レース成立周回数が26周でこれをクリアしていたことからこのままレースは終了。セーフティカーが入ったタイミングで上位のマシンがピットに入っていたことから高橋は2位でフィニッシュ、ということになった。

J-GP2

事前テストではウエット、ドライ共に好タイムをマークしている浦本修充は今季、アクシデントなどのために今一つ結果こそ出ていないものの、好調さを維持している。一方の亀谷はスケジュールの関係で事前テストには参加できず。レースウイークで、マシンのセットアップを進めることとなった。 金曜日のART合同テストで午前、午後のセッション共に浦本が2番手のタイムをマーク。しかしドライのセットアップに苦戦する亀谷は両セッション共に12番手と、まだその状況から抜けきれずにいた。 土曜の予選は雨となってしまった。しかもかなりの雨量の中での走行で、難しいコンディションの中での予選となった。そんな中、亀谷はトップタイムをマークする快走を見せる。亀谷の乗るNH6は3月のシェイクダウンが雨で、数少ない走行でもウエットのライディングは比較的回数が多い。またこのマシンとタイヤ、ウエットの相性が良いようで、トップレベルの走りを見せている。浦本も順調に走行を重ね、終盤でのタイムアップが期待された。 結局、亀谷は3番手でフロントローという今季最高予選グリッドを獲得。浦本は最後にタイムを伸ばせなかったが、それでもマシンの仕上がりは良く、5番手からのスタートとなった。 これを証明したのが決勝日朝のウォームアップ走行。ウエットで行われたこのセッションで、浦本がトップタイムをマーク。さらに0.138秒差で亀谷が続き、チームのライダーが1、2位でこのセッションを終了した。 JSB1000クラスのレースが大幅にディレイとなったため、このクラスのスタートは午後6時という前代未聞の遅さとなった。レース周回数は当初予定されていた20周から4周減算の16周。ウエット路面でレースはスタート。このコンディションに自信を持つ亀谷は慎重にスタートを切るものの、2周目に3番手に上がり、さらに上位進出をねらう。浦本も4番手に付ける。しかし雨は止み、路面は乾いていく。こうなってくるとドライでのセットアップが詰め切れていない亀谷にとって厳しい状況となってしまう。周囲のタイムアップに対して今一つ上げられない亀谷は順位を下げていく。対照的なのが浦本で、序盤はタイヤをじっくり暖め、状態が確認できたところでペースアップ。トップグループのタイムを上回るペースでラップし、6周目に3位、さらに12周目に2位にポジションを上げ、さらにトップを追走する。しかし既にその差は5秒離れており、それを2秒まで詰めたところでチェッカー。浦本は2位、亀谷5位となった。

J-GP3

全日本選手権と平行してアジア・タレント・カップに参戦する水野 涼。事前テストはちょうどアジア・タレント・カップのレースがあったために参加できず、テストなしでレースウイーク入りすることとなった。前回のもてぎのレースでは全日本初表彰台を獲得し、トップを走る経験もできたため、その勢いでアジア・タレント・カップに臨んだが、不完全燃焼でレースを終えることとなった。走りのイメージはより良いものになってきているだけに、今回のSUGOで結果を残したいところだ。 金曜日のART合同走行は午前7番手、午後8番手と順位は今一つだったが、走りの感触自体は悪くない。ドライで行われた予選もトップとの差1秒344差で8番手となったが、走りのイメージはよく、さらなるタイムアップが期待できた。 決勝日は朝から雨。朝のウォームアップ走行では途中、トップタイムをマークする走りを見せる水野。最終的にこのセッションは4番手となったが、決勝に向けて良いイメージを持って臨むことができていた。 レースがスタート。2番手で1コーナーに飛び込み、すぐトップに立った水野。オープニングラップを終えてメインスタンド前に戻ってきたとき、2位との差は既に0.7にも広げている。後続が1分45秒台で走行するのに対し、水野は44秒台へ入れ、2周目終わりで後続との差は1秒6。コンディションが回復していくため、水野はさらにペースを上げ、43秒台でラップ。さらに後ろとの差が広がっていく。途中、雨が降ってきたり止んだりというベテラン勢でも転倒していく難しいコンディションの中、タイムを的確に上げ下げし、それでもトップレベルの速さを維持する水野。まったく不安を感じさせない安定した走りを見せ、このクラスでは珍しい、2位以下に5秒9という大差を付け、自身初となる全日本優勝を果たした。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

「J-GP3クラスの水野涼は、ウエットコンディションに自信があるとスタート前に語っていました。その言葉の通り、1周目からハイペースで飛ばす涼に今回は誰もついていくことが出来ませんでした。全日本で自身初優勝。次はドライ路面での優勝が目標です。J-GP2クラスはJSB1000のスタート進行の遅れから極端にレース開始が遅れ、モチベーションを保つのが大変な状況となりました。ですが浦本はスタートこそ出遅れましたが、ペースを上げ始めてからは徐々にトップとの差を縮めて行くことに成功。序盤の遅れが響き、残念ながらトップには届きませんでしたが、レース中に何度もファステストラップを出しながらの追走はとても良かったです。今後は序盤のペースアップが課題ですね。亀谷は素晴らしいスタートダッシュでトップを追走しましたが、思ったより早くタイヤが消耗してしまい、後半はペースが落ちてしまいました。それでも自身最上位のリザルトは評価出来、今後に期待が持てる結果となりました。JSB1000クラスはスタート前に豪雨があり、大幅にタイムスケジュールが遅れました。当初は120マイルで設定されていたレースが40ラップ、150km弱のレース距離に変更になりました。我々の想定していたレースとはだいぶ様子が変わりましたが、巧は自分のペースを崩すことなくスティディなレース運びを実行。刻々と変わるレースの流れの中でピットインも考慮に入れていましたが、ギリギリのところで赤旗。そのままレース終了となりました。巧は摩耗しきったタイヤに足を取られ、何度も転倒しそうになりながら踏ん張り、2位でゴール。ランキングトップを維持しております。」

堀尾勇治チーフメカニック

「水野 涼はここまで抱えている問題の解決ポイントが見え、それをマシンと本人にフィードバックしたところ、いい方向に進んでいたので、それが結果になって良かったと感じています。これをベースにさらに成長してくれることを期待していますし、さらにいいバックアップをしていきたいと思います。J-GP2の浦本は今季、好調でありながらまだ勝ち星がないので、まずは1勝ですね。仕上がりはいいので、持っている力をそのまま出せれば問題ないと思います。亀谷もウエットでは良い状態だったので、これをドライでも発揮できるように持っていきたいところです。JSB1000の高橋は、ドライでもウエットでもトップレベルの走りができるようになってきているので、そこは評価に値すると思います。今日のレースは難しいコンディションで、セーフティカーが入るという予測できないこともあったので、2位というリザルトは良かったと思います。マシンの方も徐々に仕上がってはいますが、未だ未知数のところもあるので、それはテストで確認し、いよいよ本番の鈴鹿8耐へ持っていきたいと思います。」

高橋巧選手 JSB1000

「雨は自信がなかったのですが、トップグループに付いていくことができたので、最後まで付いていければ勝負できると感じていました。結果的にはミスして離されてしまい、もう一度追い上げることも考えたのですが、何度も転びそうになっていたので、そこでシーズンを考えた走りに切り替えました。ピットインのタイミングはチームに任せていたのですが、スクリーンがすごく汚れていてピットサインはまったく見えませんでした。2位という結果に満足はできませんが、シーズンを考えれば悪くないリザルトだったと思います」

亀谷長純選手 J-GP2

「ウエットではいい感触で走れるので、決勝も雨の状態が続けばいいと願っていたのですが、思った以上に路面の回復が早く、ドライのセッティングが出ていないというネガがそこで出てしまいました。でも、ウエットのいい状態と、ドライで抱えている問題の摺り合わせができたので、ドライのセッティングもいい方向に進めると思います。早くそこの問題を解決し、どんな路面コンディションでもいい走りができるようにしたいと思います。」

浦本修充選手 J-GP2

「決勝前のサイティングラップで思った以上にタイヤがスライドしたため、レース序盤は丁寧にタイヤを暖めようと我慢しました。もう少しそこで早くペースを上げられればトップに視野に入ったのかもしれませんが、今回の状況では仕方なかったと思います。今年、調子自体はいいのですがまだ勝ちにつながっていないので、次戦以降はそこにこだわりたいと思います。」

水野涼選手 J-GP3

「金曜日からタイムと順位は決していいものではありませんでしたが、走りの手応えはいいものがあったので、それを大切に各セッション、走るようにしました。決勝は自信があったのですが、それを過信せず、着実に走るように監督、メカニックからレース前に言われたので、それをしっかりと守れるように最後まで集中して走りました。」 」

水野選手優勝

高橋選手2位

浦本選手2位

高橋選手

JSB1000スタート風景