MUSASHI RT HARC-PRO

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レースレポート

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全日本ロードレース選手権 第3戦 in もてぎ

開催日
2011年7月2日(土)〜3日(日)
開催サーキット
ツインリンクもてぎ
天候
決勝 晴れ/曇り-路面状況ドライ
出場クラス
JSB1000/J-GP2/ST600
ライダー
高橋巧/中上貴晶/小林龍太・浦本修充
予選結果
高橋巧 (R1)3位・(R2)3位/中上貴晶 1位/小林龍太 8位・浦本修充 17位
決勝結果
高橋巧 (R1)2位・(R2)3位/中上貴晶 1位/小林龍太 6位・浦本修充 7位

レース結果

 東日本大震災によりコースの大部分が損壊し、大幅な改修が必要となった栃木県ツインリンクもてぎ。 そしてその改修も関係各位の多大なる努力によって短期間で完成し、1週間前の事前テスト、7月2日・3日の全日本第3戦を無事に迎えることができた。レースウイーク中の土曜には「ツインリンクもてぎ 元気と笑顔の復活デー」と題し、「がんばろう!日本」の人文字をコース上に書いたり、ホンダ往年の名車を実走させるなどのイベントも行われた。
 ここまでの2レースは、第1戦がJSB1000、第2戦がST600クラスだけの2&4スタイルで行われ、今回がやっと二輪だけでの全クラス開催となり、J-GP2、J-GP3、GP-MONOクラスにとっては開幕戦となる。
 今回のレースにMuSASHi RTハルク・プロからは、JSB1000クラスに高橋巧、J-GP2クラスに中上貴晶、ST600クラスに小林龍太と浦本修充というレギュラーライダー四人が揃い、それぞれのクラスで戦うこととなった。

JSB1000

 開幕戦は予選3番手、決勝4位とまずまずのシーズン滑り出しを見せた高橋巧。しかしトップとの差は歴然としたものがあり、それを詰めることが高橋に課せられた最大のテーマとなっている。1週間前の事前テストから積極的にラップを重ね、マシンのセッティングを詰める高橋とチームだが、思ったようにタイムが詰まらない。不完全燃焼状態で事前テストは終了となり、いくつかの宿題を持ってレースウイーク入りすることとなった。
 心配されていた天気は雨に降られることもなく全セッションドライで走行することができた。高橋とマシンの状態も、周回を重ねるごとに上向きとなり、ノックアウト方式の予選ではQ1を3番手、さらに最終セッションとなるQ3も3番手でクリア。2レースともにフロントローという好位置からスタートすることができることとなった。
 第1レースがスタート。高橋はまずまずのスタートを切り、4番手でオープニングラップをクリアする。2周目に3位に上がりトップ2台を追うが、ここでペースが今ひとつ上がらない。トップ2台よりコンマ3秒から5秒ほどラップタイムが落ちるため、周を重ねるごとに差が付いていく。2位を走っていたライダーが転倒し、これで自動的に2位に浮上。そのまま18ラップを走りきり、今季初表彰台獲得となった。
 続く第2レースも4番手でオープニングラップをこなし、4周目に3位に浮上。何とか前との差を詰めたい高橋は激しくプッシュし、トップから離された2位のマシンに迫っていく。前を走るライダーが1分51秒台にタイムを落としているのに対し、50秒台で差を詰める高橋は13周目に前に出るトライをして一瞬2位に上がったが、再び抜き返さてしまう。なんか前に出たい高橋だったが、そのままテールtoノーズのままファイナルラップを迎え、3位でチェッカーとなった。

J-GP2

 昨年のチャンピオンマシンであるホンダCBR600RRハルク・プロJ-GP2仕様を全面的にモディファイし、さらにポテンシャルアップを図って5月下旬のスポーツランドSUGOでのシェイクダウンに臨んだチームと中上貴晶。このテストでは、走り出しからハイペースでラップすることができた。1週間前のツインリンクもてぎでのテストも好調で、そのままの勢いを維持したまま今回のレースウイーク入りとなった。
 金曜日のART合同テストから2位以下を大きく引き離す速さを披露し、レースでの勝利はもちろん、それを前提として予選、さらに決勝でのターゲットタイムが大きな目標となっていった。このツインリンクもてぎでは年に1回MotoGPが開催されており、4サイクル600ccというJ-GP2クラスと同じエンジンを搭載したMoto2クラスが走っていることから、そのタイムが世界との比較を可能とする国内唯一のコースなのだ。昨年のMoto2クラスのタイムは1分53秒0。エンジンやサスペンションなどの仕様がレギュレーションの違いによって同じではないことから、J−GP2のマシンスペックでは約1秒落ちであれば相当のレベルであると推測され、このあたりが中上のターゲットタイムとなった。
 予選では走り出しから中上はハイペースでラップを刻み、2位に1秒1差、従来のコースレコードを約1秒短縮するニューレコードをマークしてポールポジションを獲得した。しかしタイムは1分54秒822で、狙っていた53秒台には届かず。これが決勝でのターゲットタイムとなった。
 決勝がスタート。ホールショットを奪った中上は積極的にコースを攻め、後続を大きく引き離していく。オープニングラップを終えた時点で2位との差は既に1秒19。レースは10秒の大差を付けて独走優勝となった。しかし暑さもあり、レース中のファステストタイムは1分55秒1。Moto2クラスへのタイムチャレンジは、8月の第4戦に持ち越しとなった。

ST600

 チューニングのできないST600レギュレーションでは、タイヤの性能が大きくレース結果に影響を及ぼす。昨年は海外のタイヤメーカー1社の性能が抜け出ていたため、それ以外のタイヤを使うユーザーは苦戦を強いられていたが、今季は国内メーカーも大幅にポテンシャルアップを図ったタイヤを投入。MuSASHi RTハルク・プロが使用するブリヂストンタイヤも新型のR10というタイヤをリリースし、差はなくなった。あとはこのタイヤの性能をうまく引き出し、速さにつなげていくことが結果につながっていく。
 まだ完全にニュータイヤの性能を発揮できるレベルに達していない小林、浦本とチームは、早くマシンのベースセットを出せるよう積極的に周回し、走行後には長時間のミーティングを重ねていった。予選は小林がポールポジションからコンマ8秒差で8番手、浦本は1秒4差の17番手と、厳しいスタート位置となってしまった。
 決勝は小林、浦本とも序盤にペースアップが図れず、集団の中に埋もれて苦戦を強いられてしまう。しかし周回を重ねるごとにペースをつかみ始める。序盤は12位あたりの集団に飲まれていた浦本だったが、9周目に10位、11周目9位と着実に順位を上げていく。小林も11周目に6位にポジションアップ。浦本の勢いはさらに増し、12周目に8位に浮上。13周目には7位となる。さらに上を目指したい二人だったが、序盤にペースが上げられずに付けられた差は覆せず、小林6位、浦本7位でチェッカーとなった。

チームメンバーのコメント

本田重樹監督

 ST600の小林、浦本ともに事前テストからマシンセッティングに関するいろいろな問題を抱えており、それをレースまで引きずってしまった感があります。セッティングが決めきれず、レースではタイムが上げられず、その問題を象徴するレースとなってしまいました。予選結果が非常に厳しいものだったので決勝での苦戦を覚悟していましたが、レース終盤までしっかりと走り切り、予選タイムを上回る決勝順位でゴールした点は評価できると思います。二人とも課題は明確になっているのでその点を修正し、今後のレースでは更なる飛躍が果たせるようチームとしてバックアップしていきたいと思います。
 J-GP2の中上は事前テストから好調で、その勢いを維持したままレースウイーク入りしたのですが、予選でトライした一発タイム出しのマシンセットがいい感触だったため、レースではそれにトライしてみたのですが、セッティング不足は否めず、思うようなタイムを出すことができずに終わってしまいました。とはいえ、レースは後続に10秒以上の差を付ける速さで勝つことができており、我々のやっていることの方向性の確かさは確認することができましたし、また中上貴晶というライダーのポテンシャルの高さも証明できたので、さらにこの速さに加速を付けていきたいと思います。
 JSB1000の高橋は、レース1、レース2ともに表彰台へ上がることができましたが、我々として彼に期待するものはそこからさらに一歩上がったところのものなので、そういう点では満足できる結果にはなりませんでした。序盤のペースアップの仕方が現状での最大の課題で、その部分がしっかり克服できるよう、マシン作りも含めて全体的なレベルアップを図りたいと考えています。
 今回もたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。これで全日本は少しお休みになり、我々は鈴鹿8耐へ向けた本格的な準備に入ります。昨年に引き続きV2が果たせるよう頑張りますので応援よろしくお願いいたします。

高橋巧選手

 第1戦の鈴鹿から序盤のペースアップが自分には足りないところなので、その点を意識してテストからトライしてきているのですが、まだ思うようにならないというのが現状です。ですが克服すべき点は明確なので、それがクリアできるよう努力していきたいと思います。これから鈴鹿8耐へ向けた準備に入ります。昨年は十分なテストができず、結果的に優勝することはできましたが、ライダーとして自分の仕事をきっちりとやりきったという実感はありませんでした。今年はしっかりと準備ができそうなので、昨年できなかったことを今年はしっかりとできるようにして、2年連続優勝を果たしたいと思います。

中上貴晶選手

 予選はポールポジション。決勝は独走優勝して当然という周囲の雰囲気でしたし、自分自身も結果が何位というものよりも、とにかくMoto2のタイムに迫りたいとそこの数字を意識して予選、決勝と走りました。なんとか53秒台に入れたかったのですが、そこに届かなかったのはとても残念です。1ヵ月後にまたこのコースでレースがあるので、Moto2のタイムへのチャレンジはそこで果たしたいと思います。マシンはとてもよい仕上がりですし、あとは自分の走りの問題だけで、クリアできる手応えはあります。

小林龍太選手

 去年は一発タイムが出せてレースのアベレージタイムが上げられないという悪循環に陥っていたのですが、今年は逆に一発タイムは出ないけれど決勝でのアベレージがいいという状況になっています。タイムも出てアベレージも高いという状態にしたいのですが、まだ今年型のタイヤのいいところを引き出せずにいます。決勝中も自分なりにいろいろとトライしてみたのですが、いい感触を得る部分もあったので、これを次のテストで試してみて、早くいい状態にマシンを仕上げたいと思います。

浦本修充選手

 すべては予選結果の悪さが足を引っ張ってしまいました。まだマシンへの順応ができていないと感じていることから、予選では単独で走ることができず、速いライダーを探しているうちに予選が終わってしまった印象です。でも今回の決勝を走り、徐々に600のマシンにも慣れてきたので、次からは単独でしっかりと走れると思います。まだまだ600を勉強中の身ですが、マシンは速いしチームスタッフも経験豊富なので心強いです。早く表彰台が上がれるようさらに努力します。

がんばろう! 日本

高橋巧選手

中上貴晶選手

J-GP2クラス優勝!

小林龍太選手

浦本修充選手